劇場公開日 2025年2月14日

「妙にヘンテコな知識が問われるのが厳しいが…原作テレビ版ファン向け?」劇場版 トリリオンゲーム yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5妙にヘンテコな知識が問われるのが厳しいが…原作テレビ版ファン向け?

2025年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年54本目(合計1,596本目/今月(2025年2月度)17本目)。

 いわゆる合法カジノができていた時代を描く、カジノ経営を裏に持ち、表ではカジノ建設の反対運動等を描いたり、あるいはライバル企業との争いなどを描くストーリーです。

 前半のカジノ建設の岡山の反対運動の話はまぁわかるとして(大阪でもカジノ構想で大揉めした)、まぁそこも無難な描写になっています((近い将来にできるであろう)合法カジノの設置許可に対して住民が取消しを争う取消訴訟の展開にすると、マニアックな展開になってしまうため)。

 後半もアクションありの賭博シーンありの…で良かったところでしょうか。しいて法律系資格持ちで気になった点を言えば、そもそも論で会社の合併云々といった株主にも当然物事をいう権利がある重要な事項を、ただ単に賭博(ポーカー)の勝ち負けで決める行為は後から取消し(←商法会社法)の対象になりえる等はありますが、それをいうとストーリー成立しませんし…(個人経営の会社ならまだしも、あの規模の会社に誰も株主や関係者がいないというのは変な話)。

 ただ個人的に思ったのは、この映画で描かれるポーカーは、一般的に日本では「賭けない」ことを前提に、ブラウザ版やアプリ版で一般的に採用されることが多い「テキサス・ホールデム」が描かれていますが(共通札と、自身に与えられた札との組み合わせで役を作るタイプ。自身に配られた札がゴミだとそもそも論で勝ちようがないので、相手をおろしたりする心理戦的な部分が強く、映画内で扱われているのもこれ)、表記が海外基準になっているため、日本でいうところの「スリー・オブ・ア・カインド」(5枚のうち、3枚が同じ数字で、他の2枚は問わない。他の2枚も(別で)同じなら(例:5,5,5,9,9)、「フルハウス」)が、海外基準でいう「three trips」とだけ表記されていたり(同様に「フォー・オブ・ア・カインド」も同じ。海外では「Quads trips」、あるいは単に quads といい、映画内では海外表記されている)、この一部の部分は日本の一般的な部分にそろえるか、かっこ書きでもよかったのではと思えます。

 また、展開の趣旨的に英語も多少出ますが、英語ができるのかできないのか、英検5級レベルの謎会話から、準1~1級レベルの何の支障もきたさない会話とが混在しており、それらも何のトリックもない(なお、この関係で一部字幕は出ます)のも、やや何だかなといったところです(日本では中学、そして事実上高校も義務教育なので、英検5級レベルの会話しかできない、というのは、いわゆる「英語嫌い」のレベルで起きるか、程度)。

 総じてみると、ポーカー好きか原作好きであれば推せるかな…といったところです。アクションシーンは一応あることはありますが、おまけ程度なので、その向きで見る場合はちょっと…といったところでしょうね。

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/ポーカーシーンについて、海外の表記基準の理解を要求する)

 ただこの点は原作から含めて、そもそも2000年(20年前)と違ってネットが発達している今日では海外情報を集めるのも容易で、そのくらい自身で情報をかき集めてこい、あるいはもっと言えば「原作基準なんだ」とも言い得るので、採点幅としては限定的です。

 (減点0.2/(近い将来の)合法カジノの許認可がどうこうの話)

 まぁ、ここまで突っ込んでもしょうがないし、そもそも現在では違法な行為になりますが、これが合法化された場合、その許認可を扱うのは行政書士と思われます(麻雀店等、すでにあるそれらを扱うのも行政書士(の、それに特化した仕事を選択した方)。一方でその話はその後出てこず(「賭けない」ポーカーやマージャン店等でも結構大変です。店舗の図面などを出さないといけないため、行政書士と建築士の共管業務的な部分も一部あるが、それらの話は一切出てこない。その展開にしても誰も理解できないので飛ばしたのでしょう)。
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 (減点なし/参考/いわゆるボドゲカフェとポーカーのお話)

 最近、いわゆる「ボドゲカフェ」というものが増えてきました。飲食ができるタイプのものですね。これは条件によっては風俗営業法の1号営業にあたりえます(実際に、東京、神奈川等ではそれらに沿って運営しているお店もある。その場合、18歳未満立ち入り禁止等の制限がかかる)。

 ※ このあたりは、やはり行政書士の受け持ち範囲。なお、「風俗営業法」でいう「風俗」は、日本語でいう「風俗」よりも広い意味の語句です。

 ただ、1号営業の許可を得ようが、一般の飲食店扱いであろうと、警察(この点を取り扱うのは、各都道府県警察)は、これらのお店に対して「トランプ・花札・麻雀を置くな」という指導の扱いで、それを無視すると「1号営業(場合により5号営業)を取っていない」ということでお縄がきます。この「トランプ等を置くな」は、それらが結果として賭博に使われることの未然防止の点にあるのであって(たとえ1号営業でも賭博行為は当然できない)、ここを無視すると結構警察はうるさいです(よって、特に「麻雀」については、そもそもボドゲカフェの類では麻雀それ自体を置いている店舗自体が少ないが(仮に置いても日本麻雀の普及上問題となる「得点計算」が、客どうしでできず置物になる)、その「麻雀をおいてはいけない」の指導の趣旨から「見かけ上麻雀に見えるようなボドゲ」の類」(いわば「麻雀タイプのボドゲ」というもの)もおかないポリシーを置くお店もあります。

yukispica