「「罪」も、いろいろ。」夏目アラタの結婚 ぺーさんの映画レビュー(感想・評価)
「罪」も、いろいろ。
原作未読で、予告編に引かれて観に行きました。
主演のお2人は熱演でした!特に黒島さんは新境地といえる役柄なのでは?
少ないキャストでじっくり見せる作劇。本筋に集中することができましたが、だからこそ展開が気になったところもあります。
予告から拘置所の面会室での会話劇が主になるかと想定してましたが、まさかの一時釈放→かけおち!笑
展開は意表を突かれましたが、そこからが長く感じてしまいました。コミック原作のせいもあるでしょうか?丁寧に辿っているように見えましたが…。
堤監督のはちゃめちゃな作風が抑え目だったので、そこは少し残念でした😅
主題について感じたことがあります。
エンドロールにて、アラタと真珠が昔会っていたことが明かされます。その時の真珠は、アラタ曰く「虐待に遭っていた女の子に見えた」。劇中の描写から、真珠が母から受けていたのはネグレクトでしょう。
ここで奇しくも、今夏のドラマ「降り積もれ孤独な死よ」が思い浮かびました。この2作品は、いずれも"虐待と肉親関係"が重要なテーマになっているところが重なります。
育てるのが苦しくなった母から「一緒に死のう」と誘われるも、承諾できなかったことを後悔した真珠。「お母さんを楽にしてやれなかった」という気持ちは、今回の殺人につながります。
他方、様々な虐待を受けて(と思われる)「降り積もれ〜」で灰川十三に見出された子どもたち。
同じように虐待を受けながら違う人生になったこの2作品。親子関係が人格形成に多大な影響を与えるとともに、こうした主題の作品が世間の耳目を集めることに今の社会の病み具合を感じます。
そういえば、鑑賞中に映画館に落雷があったらしく、一時中断→少し前から巻き戻して再開、という珍しい経験をしました笑
突然のトラブルにも迅速に対応してくださったスタッフさん、ありがとうございました!