「嵐を手懐けた女」ツイスターズ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
嵐を手懐けた女
オクラホマの青い空が印象的だった。
草原が広がっていて、空はどこまでも青く広い。とても牧歌的で都会の喧騒とは無縁のような場所。
そんな大地を蹂躙していく嵐の凄まじいことったらない。実際目にした事はないのだけれど、予告にあった地球上で最大級のモンスターって触れ込みに嘘はなかった。
渦巻く黒雲、雷と雨を伴い地表のあらゆる物を根こそぎ天空へとばら撒く。コンビナートを巻きこみ天高く聳える火柱には絶望しか感じなかった。
とてつもない説得力を誇示しながら押し寄せる映像にあてられっぱなしだった。
ちなみに俺は「竜巻観戦ツアー」なるものがもしあったとしたら、1も2もなく参加する不心得者だ。
好奇心に勝てないので、タイラー達の気持ちが理解できる。
ケイトはリアルヒーローなのだと思う。
現地の人達には希望であり救世主のような存在で、ごれが実話に基づくなんて事になったら、とんでもない偉業を成し遂げる女性だ。
竜巻を制圧する。
…海を割ったモーゼに匹敵するかのようだ。
このケイトのキャラも良かったなぁ…。
過去を克服していく訳なのだけど、母親が語るケイトはギフトを与えられていたかのようで…運命や宿命のようなエピソードがあったのも好きだった。
そのケイトの相棒になるタイラーも魅力的で…命知らずのストームチェイサーで、こいつは竜巻に恋焦がれてる。好きなものの全てを知りたいのだそうな。
頭のネジがぶっ飛んでるとも思うのだけど、その状態はわからなくもないし、ケイトはもっとぶっ飛んでるかのような描き方でもあった。
タイラーのチームはしっかりキャラ立ちもしてて、無鉄砲な行動とは裏腹に、被災地を人々を救援もする心優しき無法者なのである。
ケイトの母親も素敵だった。
ケイトの昔からの研究を「捨てればいいのに」というケイトに対し「世界を救うのを待ってるのよ」なんて返すとこなんざ、カッコ良すぎてたまらない。
全然、イケてる感じではなくオクラホマにいるおばちゃんなのに超絶カッコいい!
冒頭から惜しげもなく起こる竜巻にテンションは爆上がりだ。竜巻の目(?)を真下から眺めるカットとか、光の柱みたいに神々しい。
その竜巻が及ぼす被害の甚大さ…。
ケイト達も作中で幾度となく死にそうな目にもあってる。超弩級の竜巻に突っ込んだ時のケイトは、死を覚悟したかのような潔さまであった。
台風一過もとい竜巻一過…
晴れ渡るオクラホマの空の下、尚も竜巻を追っかけるケイトとタイラーが談笑している。タフな連中だなぁと頼もしくなってくる。
そんな連中に、いかなる障害をも打破し突き進む人間の強さを垣間見たりもする。
爽快なヒーロー譚でもあった。