「反省から入ります」ツイスターズ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
反省から入ります
期限が短い(が、割引率は高い)バースデイクーポンをどの映画に使うか考えていましたが、本作『ツイスターズ』の評価が非常に高そうなのでこちらに決定。ただ、個人的にディザスタームービーに対する思い入れは深くないため、アップグレード無しの通常版を選択です。公開週の土曜でしたが、丸の内ピカデリーは本日も空き気味。私、普段は大概前方の席で観ることが多いのですが、余裕をこいて2階席から鑑賞です。
で、早速に反省から入りますが、これはやはりドルビーシネマ案件でしたわ。なめてかかってましたが、単に迫力が凄いと言うだけではなく、普通にストーリーとしても面白く、またキャストの皆さん魅力的。夢中で観た122分はあっという間でした。前作から28年ぶりと言うことですが、気候変動の影響が大きい現代にリブートする価値がある一作だと思います。
と言うことで、まず本作はヤン・デ・ボン監督による『ツイスター(96)』の続編となりますが、こちら観ていない方でも全然問題ありません。取り敢えず、本作の序盤に出てくる古めかしい装置「ドロシー」が何なのか、ってことくらいかな。まぁ現在はアマプラ、U-NEXTで配信していて比較的観やすい状況です。先に観ておけば本作からの「めっちゃアップデート感」も感じるのでもし時間があれば。
注目ポイントとして、個性豊かなキャラクターたちの中から、まずはメインとなるケイト役のデイジー・エドガー=ジョーンズ。Disney+オリジナルの『フレッシュ(22)』、『ザリガニの鳴くところ(22)』と立て続けに長編映画の主演を務め、きっちりと印象に残る演技の彼女、本作でも鉄板です。学生時代、ただただ夢中に追い続けたツイスターに想像を遥かに超える返り討ちで深い傷を負うケイト。故郷を離れてNYでデスクワークをする彼女ですが、5年が経ち、仲間との再会、新しい体験と新しい出会いの中で自分を取り戻していく彼女に感情移入が止まりません。そして、自分がやるべきことを再認識し、終盤には無心でツイスターに立ち向かう彼女を見て、もうこれこそ上がらざるを得ません。ディザスタームービー+ケイトの成長物語として、見事に「紛れもない主役」を体現する活躍です。
そしてタイラーを演じるグレン・パウエル。1週間限定で現場に復帰したケイトの対抗馬としてのタイラー。この対立構造に前作『ツイスター』を思い出すわけですが、このタイラーのキャラクターがケイトと真逆の対比に見えて実は・・・、という関係性と距離感が絶妙。タイラーは一見軽薄に見えつつ、実はとっても信念のある人間で、しっかりグレンと重なり違和感がありません。また、このタイラーにみるバランス感覚こそが、ディザスタームービーとしての本作を単なる「作り物」にはせず、現実の気候変動を真剣に考えさせる意図を感じさせてくれる気がします。
さらに、他にも皆さん素晴らしいのですが特に、お気に入りの俳優サッシャ・レインがリリーという素敵な役を演じ、けして登場シーンが多いわけではないのにしっかり印象に残るシーンが複数あって嬉しい限り。今後も活躍を期待しております。
夏休みに合わせて大作の公開が続いておりますが、個人的にはこの夏一番になりそうな本作。言うまでもありませんが、これは配信じゃないでしょう。興味があれば是非劇場でどうぞ。