「複数形にはなっているが・・・」ツイスターズ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
複数形にはなっているが・・・
竜巻を主役に据えた「怪獣映画」的な展開と、破壊スペクタクルを期待したのだか、この点については少し物足りなかった。
その分、過去にトラウマを負ったヒロインが、2つの竜巻チェイサーのチームの間で揺れ動く姿が描かれるのだが、その割には、トラウマを克服する過程が案外あっさりとしているし、何よりも、そんなヒロインだけでなく、登場人物の誰にも、自然の猛威に対する畏敬の念や、謙虚な姿勢が見受けられないのはどうしたことだろう?
いくら異常気象とはいっても、たった数日の間に、あれだけ多くの竜巻に遭遇するのはご都合主義的だし、竜巻多発地帯のはずなのに、モーテルにも映画館にも地下シェルターがないというのも不自然だ。
竜巻を3基のレーダーで立体的に観測するという話も、竜巻の水分を吸い取って消滅させるという話も、竜巻の被害者をカモにして金儲けをするという話も、どれも興味を引かれるエピソードなのだが、すべてが中途半端で、掘り下げ不足の感が否めない。
その一方で、これだけ科学が発達した現代においても、竜巻の発生場所や進路等を予測するのに、個人の「勘」に頼らざるを得ないというところは面白いし、スノッブなエリートよりもワイルドなカウボーイの方が好まれるという、アメリカ人の「いかにも」な気質がしっかり描かれているところも微笑ましい。
ヒロインの気象学者と竜巻チェイサーのカウボーイが急接近する展開は「お決まり」ではあるものの、あまりベタベタとしたラブストーリーにはなっていないところにも好感が持てた。
ところで、レーダーを設置しようとして車から降りて、そのまま置き去りにされてしまったMIT出身の科学者は、その後、どうなったのだろうか?