「「祖国」「国民」の尊厳」ボストン1947 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
「祖国」「国民」の尊厳
「走る」映画にハズレなし
レースの抜きつ抜かれつのシーンだけでもドラマになります。
孫基禎の、ベルリンオリンピックの屈辱の金メダルの件は知っていたが、南昇竜が銅メダルだったことも、ボストン・マラソンの逸話も知りませんでした。
実話ベースなので、政治的思想等や、近現代韓国史的事実に照らして微妙だったりするようだが、映画としてみたら、熱量のある、爽快な作品でした。
主演の3人が良い。特に、スンニョン「先輩」、ポジティブで、しかも粘り強く、諦めない。35歳にしてフルマラソンに復帰して大舞台で走り、12位で完走したときには見ていてガッツポーズ、心のなかでスタンディングオベーション。奥さんも、奥さんとのやり取りも良かった。
ユンボク、生活のために走り回って自然に足腰と心肺能力を鍛えていたのね、ボストンの心臓破りの丘のシーンでは、お供え物の盗み食いで培った足腰とノウハウで軽快に飛ばす、アクシデントに見舞われながらもいつのまにか優勝争いに食い込んでの回想シーン、「勉強もしないで将来何になるの?」と言う母に、「ソン・ギジョン」と答えた小さいユンボクに涙が出そうでした。
アメリカ側の身元引受人の、胡散臭いけどいい奴なペクさん、良い味です。
最初はお金だけ取っていなくなる詐欺師かと思った。
3人の、いや、朝鮮の人々の念願の、太極旗をつけて走る、が叶ってよかった。
ソン・ギジョンの打ち立てた11年前の記録を、教え子のユンボクが(太極旗を付けて!)破ったところは、実話と知っていても胸が熱くなる。アクシデントがあっても結果がこれなんて、どれほどの選手だったんだろう。
全体的にユーモアがあり、人々の優しさも感じるムネアツ映画でした。
レースのシーンが素晴らしい。カメラワークと実況とで臨場感にあふれ、手に汗握った。
巷の人が、「朝鮮の3大英雄、李舜臣、安重根、孫基禎」と言っていて、伊藤博文を暗殺した彼が英雄とされていることに、改めて日本の憎まれぶりが分かった。日本統治下での無念の金メダルのソン・ギジョンの話なので、こういう話が出てくるのも当然といえば当然ですが。
日本は世界から切り離された島国で、歴史的に国民のアイデンティティーが問われることが少なかったような気がします。さらに日本人は、第二次世界大戦で敗戦した瞬間から、国民とか祖国の尊厳というものにあまりこだわらなくなったかもしれません。(そう思っただけで確固たる根拠はないのでそのように読んでください。)
だからといって、日本の自主独立国としての権利や国益を侵害するような他国の行為を傍観して良しとしているわけでもないと思います。
おはようございます!
3人が3人90歳オーバーには驚きでした、てかこの3人に共通するマラソンで鍛えられた心肺能力なんですかね?!長生きの秘訣は?それかホントにキムチの乳酸菌?(笑)
ラストの回想シーンにはグッときましたね。