劇場公開日 2024年9月6日

「河合優実の女の引き出しを開けてみた」ナミビアの砂漠 momoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0河合優実の女の引き出しを開けてみた

2024年9月13日
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今、1番輝いている女優、河合優実の数ある引き出しの中から、女の引き出しを開けた感じの映画。

大人の引き出しともちょっと違う。主人公は大人の女ではない。大人になりきれていない女という生き物だ。

まずはこの女は料理はしない。彼氏が作るハンバーグをこねるのを手伝うのは小学生の子どもレベルのお手伝いだ。

女が料理するって誰が決めた?
堕胎も妊娠も女だけが背負うの?

監督はそういう価値観を伝えたいくて料理しない女にしたのだろう。
必ずしも女が作る必要は無いというのは正しいけど、お腹すいたと繰り返し言うなら、性別関係なく、自分で何か作るのが大人だ。

女の部分は露骨で、浮気相手とのチェリーの種交換キス、一緒に便座に座っておしっこするイチャイチャ、荷物届くから何か着なよと言われた後の猫のように背中を伸ばす半裸シーン。
Tシャツ1枚着せてわざわざ太ももの隙間を狙うアングルで何度も撮る。
女が撮った生々しい女。
河合優実の女の部分が堪能したい方にはおすすめなシーンの数々。

貧困と少子化が進んで、希望も何も無い。 これからは生存だけが目標になると言う殺伐とした心を抱えて、ナミビアの砂漠の動画ばっかり見つめてる。
堕胎のサインは誰がしたのだろう。元彼今彼どちらにも告げず...
女は快楽の先に、必ず妊娠のリスクがある。
まるで男への復讐なの?
彼氏に変なイルカのタトゥーを入れさせて、痛みに耐える彼氏の手を握って立ち会い出産みたい。
男も女の痛みを知れ!というドSぶりだ。
自分も鼻ピーを入れるので、痛み分けか?

とにかくこの作品に出てくる男たちはお金稼いで料理して、水も飲ませて、殴られて...虐げられているように見えて仕方ない。
それでも逃げていくどころか男から追われる立場でいるのは河合優実が演じている女の魅力がそうさせるのだろう。
元彼も今彼も優しすぎるよ。
更には、妙に理解のある今彼の両親、手土産なしのガーデンパーティ訪問も鼻ピーもものともせず背の高さや美しさを褒められて...
今彼のママとはタバコ一緒に吸ってたもんな。度胸あるわ。
今彼の元カノのかなこちゃんが遅れてやってきたり。かなこちゃんが堕胎後だったりする匂わせ。その反面、妊婦がそのパーティーにいたり、内面を隠した表面的な会話の数々に逆に内部に潜む女のドロドロした部分を感じてしまった。

乖離したもう1人の暴力的な自分の、彼氏を殴る動画ををランニングマシーンから俯瞰して眺めてる姿にゾクッとした。

今彼は殴られながら寄り添うだけで大変だ。なかなか心の問題は解決しないが生きていくしかない。
唐田えりか演ずる隣人の女の子は救いの女神なの?
キャンプだホイを歌いながら夜は更ける。
なんだかんだ言って中国の家族からテレビ電話も来るし、赤の他人の隣人含め元彼、今彼みんなに愛されてる。

病むことなんてない。
愛されてることに気がつけ!
そしてもっと周りを愛していけ!

世の中はナミビアの砂漠だと思い込んでるんだ。砂漠ばかり見つめてないで、水がそこにあることをありがたいと思えるようになったらなにか変わるかもな。
水を飲ませてくれる彼氏をもっと愛せよ。
最後はそんなことを考えながら水を飲む動物を見ていた。

momo