「アメリカとは」シビル・ウォー アメリカ最後の日 ぞのさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカとは
独裁化したアメリカ国家とテキサス・カリフォルニア州のWF軍の内戦を描いた近未来作品。
冒頭からトランプ感満載の独裁大統領が出てきて、監督の意図がバシバシ伝わってきます...笑
アメリカとは、ジャーナリズムとは...と色んなことを考えさせられる作品でした。
また、緊迫感のある戦闘から自然の美しさ、カメラフィルターによる切り取りなど、色んなカットが盛り込まれていて映像としても素晴らしかったです。
特に素晴らしかったのは終盤の森が燃える戦場のシーン。(若干火垂るの墓味があって、戦場を美しいと感じてしまうことへの罪悪感も相まって、心が震えます。。。)
主人公のリーが「これまで色んな戦地から戦争はだめと警告してきたつもりなのに祖国でこんなことになって、ジャーナリズムって何だったの」と嘆くシーンがありますが、服屋の店員やリーの親達が「見ないフリ」をしているように、世界中がそういった悲惨なことから目を背け続けた結果、色んな争いは今も起こり続けているのかなと思いました。
また終盤、武装した男達が「お前はどんなアメリカ人?」と問い、出身地だけで生かすか殺すかのジャッジをするシーンがありますが、まさに差別主義を濃縮したようなゾッとするシーンでした。
あの男にとってのアメリカとは何だったのだろうと考えては、人種の坩堝であることがアメリカのアイデンティティではないの...?そもそも「アメリカ人」にとってのアメリカとは...?と日本人の私には想像が難しく見終わった後もぐるぐると考えてしまいました。
作品の全体感として、フィルター越しに淡々と切り取っていく雰囲気があり、
グロいシーンが多い割に拝観後は意外としんどくならないところも良かったです。