「一見単純なエンターテイメントだが」シビル・ウォー アメリカ最後の日 じゅんぢさんの映画レビュー(感想・評価)
一見単純なエンターテイメントだが
この映画の前に極右が作った正義を装った「サウンド オブ フリーダム」があまりに中身空っぽのマッチョ映画だったので呆れてしまったが、対する左派が作った今作は見応え十分で、過激な内容ながらも様々な視点から成り立つ物語で、映画としての出来はこちらが圧勝。
ニューヨークからワシントンDCに向かう道中の惨事はアメリカと世界の問題の象徴している。
ガソリンスタンドは格差社会の歪み、赤いサングラスは人種差別、戦争に無関心で一見平和な街は日本ではないだろうか?
新人女性ジャーナリストの視点から内線を捉えているのが、物語に共感を呼び分かりやすくしているし、成長の物語としても良いのだが、もう少しキルスティン·ダンストとの絡みをドラマチックに描いて欲しかった感じ。
内戦の対立軸はハッキリとは描かれていないが、もしもトランプ大統領が独裁者として政府に居座り、それに対抗する州がワシントンD.Cを落とすイメージ。まるでスター・ウォーズの帝国vs反乱軍同盟のような構図で、大統領を殺せば平和になるという話はあまりにも単純過ぎるけど、エンターテインメント的には分かりやすくて楽しめますね。
独立プロの作品だけどこんな内容の映画を堂々と作れるアメリカって、やっぱりすごい。
この映画を見て、右翼左翼の作った映画のどっちが勝ちか負けか!って、とてつもなく幼稚な視点しか出てこないのは唖然としてしまった。
そのしょうもない対立の果てに、本作みたいな地獄が待ってる、って映画なのに、それがまったくもって伝わってないという。本当に理解できない人間には理解できないんだなぁ