「明解なメッセージ、重厚なテーマ」シビル・ウォー アメリカ最後の日 パンダさんの映画レビュー(感想・評価)
明解なメッセージ、重厚なテーマ
端的に言うと「これが戦争だよ」と観客に見せつける映画。今まさにガザやウクライナで起きていることをアメリカの市街地で再現したのが本作のテーマである。
内戦に至った経緯の説明はないが、それで良いと思う。戦地では善も悪もなくなり、敵も味方も判然としない。暴動や犯罪も加わって混乱を極める。「戦う理由」なんて殺す側の屁理屈に過ぎないだろう。
メッセージも明解だ。戦争の根源は、私はこちら・貴方はあちらと線を引いて叩き合うこと。それはまさしく、普段ネットで罵りあっている私達ではないか。
本作はヒーローが活躍するわけではないし、あえてミスマッチのBGMなど、A24らしい個性的な作風は見る人を選ぶと思う。しかし、途轍もなく見応えのある作品であることは間違いない。
最後に一言。モデル的美人ではないキルステン・ダンストを主役に据え、中年女性の貫禄と葛藤を見せたのも画期的である。
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