「赤いサングラスは露骨だよねー」シビル・ウォー アメリカ最後の日 ヘマさんの映画レビュー(感想・評価)
赤いサングラスは露骨だよねー
この映画はドキュメンタリー映画として観たほうがしっくりするかも。
フィクション映画として観てしまうと、冒頭から内戦の真っ只中から始まり、なぜ内戦が始まったのか? 双方の主義主張は何か? どっち側の視点で綴られるのか? が提示されることないので、つい戸惑ってしまう。まー今のアメリカの現状を共通文脈としてのifなんだろうけど、然もありなんと、みんなが認識できるぐらい、アメリカの分断は行き着くところまでいっちゃっているのかしら。
観ていて思うのは、アメリカ人の自分たちを脅かす敵の設定がロシア、中国、テロ、ゾンビ、宇宙人では現実感が得られず、身内のアメリカ人になってしまったんだなと。ウォーキングデッドな荒廃した街並みに、脅威の対象となるのは迷彩服を着てライフルを構える一般人。軍隊のような指揮系統も、大局に立った行動理念も存在しておらず、狂気に近い偏った思想がその場(ライフルで殺傷できる範囲)を支配していく様は、空恐ろしい。
しかし「赤いサングラス」は露骨で笑った。ヒロインの女の子は「ミズーリ州」出身で助かるし。香港生まれのアジア人はサクッと射殺されるし。
大統領選を控えている今、かなりタイムリーな映画。楽しい面白いとはまったく感じられなかったが、終始、色々と考えさせられながらのめり込めた作品でした。
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