劇場公開日 2024年10月4日

「現実味のある終末」シビル・ウォー アメリカ最後の日 yutes79さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5現実味のある終末

2024年10月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

簡単に言えば、「もしアメリカで内戦が起きたら」という想定で描かれた作品ですが、多くの方がそう感じているように、ここには何かの啓示のようなものがあるような気がしてなりません。

「アメリカの内戦」 ≒ 「アメリカの崩壊」という図式ができるのですが、まずこの地球上にある国家で最強とも言える「アメリカの崩壊」なんてことはなかなか考えづらいです。しかし、2017年に誕生して以降、アメリカ国内では様々な形で分断が強調され、2021年の連邦議会襲撃事件を見れば「アメリカの内戦」は決して考えにくい未来ではないのかもと思えてきます。つまりは「アメリカの崩壊」も否定し切れないわけです。

PR映像の中で、本作は「終末を描いた作品」と言っていましたが、正しくその通りだと思います。映画はこれまで数多く終末を描いてきました。それは自然災害であったり、宇宙人の襲来、巨大隕石の衝突、ゾンビの大量発生だったりするわけで、そのどれもがSFであり、まさか現実に起こるとはといった内容。しかし、世界の終末がアメリカの崩壊であったなら。一転、終末が現実味を持って迫ってくるわけです。

ここまで、その企画の素晴らしさを述べましたが、ストーリー上では戦争という極限状況の下での人の変化、成長や狂気をうまく描いており、本当によくできた作品です。

主人公を演じたのはキルスティン・ダンスト。若い頃はその役柄に違和感だらけでしたが、本作でのベテラン感、冷めた視線など、素晴らしくハマっていたのは特筆すべきかと思います。

大々的にCMを打っているので大味な作品だと勝手に思っていましたが、しっかり芯のある映画。これがただの絵空事であることを祈るのみです。

yutes79