「皆が好き勝手にやる戦争の恐ろしさ」シビル・ウォー アメリカ最後の日 だしまきたまごさんの映画レビュー(感想・評価)
皆が好き勝手にやる戦争の恐ろしさ
クリックして本文を読む
常に銃口を突きつけられているような緊張感のある映画。鑑賞中、何度も銃声に驚いてビクッとなってしまいました。
何より国家間の戦争とは違う独特の不気味さが印象的でした。
戦闘をしているのがどの勢力なのかも、どんな正義があって戦っているのかもわからないまま主人公たちが理不尽で不透明な暴力に巻き込まれていきます。
中には明らかにどの勢力にも属さない人が銃を取り戦っていたり、内戦を見て見ぬ振りをしながら平和な生活をしている人達がいたり、一体感がなく皆が好き勝手にやる戦争の狂気が感じられました。
ラストはホワイトハウスの職員や大統領が命乞い虚しく西部同盟の兵士に問答無用で射殺され、大統領の遺体の周りを兵士たちが笑顔で取り囲む写真の一枚絵が映り、どこか明るい曲調のエンディングテーマが流れて終わり。
多少無能で国民から信頼されていない描写はあったとはいえ、大統領がここまで命を狙われているの理由が詳しくわからない中でのこのラストは狂気に感じられゾッと背筋が寒くなりました。
しかも、登場人物の一人が仄めかしていましたが、大統領が亡くなった後もおそらく内戦は続くのでしょう。
一番怖かったのは他の人も挙げていますが、やはり赤いサングラスをかけたレイシストに絡まれたシーンでしょう。
普段の生活の中で「こいつは話が通じないな」と感じさせる人間にはよく出会いますが、これこそが戦争の本質なのかなぁと思いました
コメントする