「今一つリアリティに乏しい」シビル・ウォー アメリカ最後の日 Whiterockさんの映画レビュー(感想・評価)
今一つリアリティに乏しい
製作費が相当なものだとのことだが、画像的には建物のセットなのか、登場するクルマやミリタリーワークなのか、役者さんの数なのか、だが、全体的な印象としては謳い文句の没入感を得られなかった。
その理由は以下の3つにあるような気がした。
①映画の主題が不明。
・ダンストが演じる主人公(なのか?)のLeeさんの描写から、この映画がどういう主題を表現したいのかがよくわからない。
・サミーが出血多量で亡くなるときは、ジョエルが慟哭したりLeeが撮ったデジタル写真を捨ててしまうが、Leeが撃たれて死んだときには、誰かが彼女のカメラを回収するわけでもなく彼女の亡骸も放置。
・西軍の皆に、従軍カメラマンにまで、一人生き残った大統領をその場で殺す前提が共有されている意味は何なのか。
②全てが安易。
・丸腰のシボレーVANでパンクもしないで長大な戦場を通り抜け、そのまさに最前線まで丸腰の記者達が容易に辿り着いてしまう。
・政府軍の抵抗がほとんどない(ような)のも不思議だ。
③戦場や殺戮の生々しさをリアルに表現したいように見えるが、全く現実味がない。
・サミーは、仲間の記者達を脅すM16を持つ2人の軍人だけを、遠くからシボレーで大音量を出しながら近づいて来て易々と轢き殺せてしまう。
・ジェシーが撃たれそうになった際に、Leeは咄嗟に彼女を突き飛ばして代わりに棒立ちになってしまうが、倒れこんだジェシーはカメラのフィルムを巻き上げLeeが代わりに撃たれるのを写せてしまう(そんな暇が有ったらLeeも逃げろよ)。
・ジェシーは戦場カメラマンにあこがれているが、NIKONの古いフィルムカメラを使っている(戦場で現像、露光している)。
アメリカン・スナイパーやプライベート・ライアンとは随分差がある。