「見応えはバッチリのA24らしい戦争映画」シビル・ウォー アメリカ最後の日 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
見応えはバッチリのA24らしい戦争映画
いろんな映画のエッセンスをこの「アメリカで内戦があったら」に放り込んでいるが、プロットは記者たちが大統領のスクープを狙いにニューヨークからワシントンD.C.に向かうロードムービーとして、そこからしか見えない「内戦」の中のアメリカを描き出す。なので思いの外『地獄の黙示録』とか『恐怖の報酬』的なミッションはきっちりあり、中盤の追っかけてきた記者仲間が介入してからはあっという間に血の匂いが濃厚になり、更にワシントンD.C.に入ってからはここまで見せていくのかと思うくらいにドンパチやってホワイトハウスに突入。多くの人が「日本だったらどうだろうな。でも皇居の手前くらいで終わりだよな」というところをしっかり描けていてうらやましい。
若手カメラマンの乗りこんじゃったクルマが消えてからの赤メガネの一連がかなりマッドな感じでいい。映画は予想以上に面白く、A24らしく音楽もポップな方向に傾けているが、キャスリングビグローの映画を見直したくもなったりする。実はこの映画は架空の内戦を描いてる訳ではなく、あこがれのカメラマンになりたい女の子の話であって、だからサクサク進んで面白いのだけど、誰も内戦にいたる現代との設定が強く出てないのでそれ以上のものにはならない。途中でてくる時間が止まった町もそんなに劇的な機能を果たしてないのでもったいない。特に主人公ふたりの女性の中にあるものがもう少し映画に出てもよかったと思う。
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