「戦争で夫を失った女たちの正しい選択とは?」ガール・ウィズ・ニードル 辻井宏仁(放送作家)さんの映画レビュー(感想・評価)
戦争で夫を失った女たちの正しい選択とは?
本題に入る前に本作を見て思い出した
「火垂るの墓」のあるシーンについて触れたい。
両親を亡くした清田と節子は親戚の家で
世話になるのだが、
二人はそこの家庭の子供と食事の内容が
まるで違うというあからさまな差別を受ける。
では、この食事を出した叔母は責められるべきか?
きっとこの叔母は戦前は優しい人物だった筈だ。
だが戦争が彼女を変えた。
十分な食料があればこんなことはせずに済んだ。
大人になってから本作を見返すと
清田と節子を追い詰めた彼女もまた
戦争の被害者であることが分かる。
銃弾が飛び交う戦場を描かずして
生み出された反戦映画の傑作。
「火垂るの墓」がそう賞賛される理由が
僅か数分の食事シーンからも垣間見える。
本作「ガールウィズニードル」は
モノクロによるグロテスクな作風で
残酷な描写ばかりが話題になりがちだが
その奥にはこのような高尚な演出により
人間そのものを描き出すアプローチが見えてくる。
続きはnoteにて
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