パルテノペ ナポリの宝石のレビュー・感想・評価
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海中出産
ナポリの宝石とまでは言わないけど、とても魅力的な女優さん。
パオロ・ソレンティーノ監督作品はLOROイタリアの欲望がゲス過ぎて全然面白いと思わなかったのですが、この作品はイタリア映画のわりにはよかったです。
人類学は懐が深いというか、守備範囲が広い。
その根底にはみっともない人間に対する愛情があるんだと思いましたね。
ナポリの海もステファニア・サンドレッリもとても綺麗。
昨晩寝ていたら、明け方にエアコンのリモコンがピーピー鳴って、私のスマホが鳴ったと思ったカミさんに怒られて、ムチャクチャ腹が立ったので、そのまま朝早く出勤し、海の宝石箱と言っては大袈裟なのですが、池袋でパスタではなく、海鮮丼を食べてから20時からの上映を観たもので、前半ウトウトしてしまいましたが、後半は全然ウトウトしませんでした。
最後の方で「神は海が嫌いだ」というセリフがありましたが、神も嫉妬するぐらい懐の深い命の源なのだからでしょう。
パルテノペのお陰で、ひろーいココロで、些細なことで人を責める愚かな人間を赦す仏のような気持ちで帰宅出来ました😎
視覚的には満足
賛辞なし
後半部の展開とパルテノペ=ナポリの美を楽しむ
文豪ゲーテをして「ナポリを見てから死ね」と言わしめたイタリア南部の美観都市ナポリを舞台に、古代ナポリの都市名だった「パルテノペ」の名を背負った女性の生涯を描いた抒情詩でした。主人公パルテノペを演じたセレステ・ダッラ・ポルタがとにかく美しいこととともに、舞台であるナポリの風景が超絶に美しく撮れており、物語以前に”絵”を楽しむ作品という感がありました。
一方ストーリー的には、富豪の家に生まれたパルテノペの苦悩を描いてはいるものの、貧乏人の僻み根性からか彼女の悩みにあまり共感できず、かつ社会的意義も感じられない展開で、映像の美しさに比べてちょっと退屈な前半部でした。ただ物語が後半に入ると、仲の良かった兄ライモンド(ダニエレ・リエンツォ)の自死もあって徐々に彼女の感情の襞が見えるようになってきて、遅ればせながら物語世界に引き込まれて行きました。
美貌を活かして女優の道に歩むかと思いきや、学究の道を進んで人類学の大学教授となるパルテノペ。マロッタ教授(シルビオ・オルランド)との「人類学とは何か?」という会話は永遠のテーマになっていて、個人的には彼女の学者としての姿をもう少し掘り下げてくれたらもっと面白かったような気もしますが、ナポリの司教らしいテゾローネ神父との情事や、マロッタ教授の人外の姿をした息子との邂逅など、物語らしい後半の展開は非常に印象的でした。
そんな訳で、本作の評価は★4.2とします。
あまりおすすめ致しかねる映画
苦手なタイプの映画だが、美しい
パルテノペとナポリ 二つの美の極致
前半はミューズ パルテノペの誕生、そして兄ライモンド(シャラメ似)、恋人サンドリーノとの思春期の関係性を中心に物語が進行します。
ナポリの究極のパノラマや洒落たMTV風映像とサンローランの衣装で魅了していきます。
中盤以降はパルテノペの成長に合わせて、愛の遍歴と知性溢れるキャリアヒストリーを、様々なエピソードを交えて披露していきます。
まさにソレンティーノワールドに誘い込まれ、136分間ずっと、美の異空間を体験する感覚です。
一方で各キャラクターの掘り下げは意外と浅く、映像と雰囲気で魅せる作品なので、ストーリーテリングを期待してしまうと、少々肩透かしをくらうかもしれません。
パルテノペの老年期をステファニア・サンドレッリが演じています。「暗殺の森」からの変わらぬ気品と可愛らしさを拝見できて、とても嬉しかったです。
美しい映画
どこまでも美しくて切ない洗練された作品
内容と映像があまりにキレイすぎて、しかも笑っちゃうぐらいのチラ見的な官能?というところでかなり戸惑ってしまうのですけど、映像と音響が本当に素晴らしくて、唯一無二のナポリを伝えきってやろうという情熱が伝わってくるような、見事な作品でした。
美男美女、生も死も、端麗醜悪、すべての事柄がとことん美しく描かれていて、良きも悪きも愛おしいものとして感じることができるような楽しい作品でした。確かに全体的にセンチメンタルで切ないものを感じさせられましたが、それでもなお楽しいと思わせてくれる素晴らしい作品です。
一代記、イタリア現代史、哲学的・・・人類学的な─、そして家族、エロスと三角関係、死と生、結局ティフォージ・・・パルテノペイ?、正直見たものを文字で記してみましたが、個人的にこれを読んでまったく興味が湧いてきません。でも、こんな陳腐な言葉がかすんで消えてしまうぐらいに力強い映像と音響─音楽も素晴らしくて格好良かったなぁ─それを存分に堪能できれば至高の作品になるのではないでしょうか。
本物の贅には虚飾はなく極める悦びがある
贅沢を比較の意味合いでなく、人間の本質として見直せば、なんと豊潤で美しいものでしょう。衣食足りて礼節を知る、その先にある余裕を堪能するのが当然の世界。イタリアのフェデリコ・フェリーニの後継と言っても差し支えないと私は思っているパオロ・ソレンティーノ監督の新作は、ズバリ彼自身の故郷たるイタリア南部のナポリへの賛歌のごとき。「グレート・ビューティー 追憶のローマ」2014年、「グランドフィナーレ」2016年、「LORO 欲望のイタリア」2019年に続き、たとえスノッブだと揶揄されようとも、確固たる美意識はそんな野次を容易く吹き飛ばす堅牢を持ち合わせている。なんだかんだ言っても、イタリアと言う国の圧倒的ポテンシャルに基づく自信ってのが羨ましい。
もっと平たく言えば、古くて恐縮ですがハリウッド映画「避暑地の出来事」1959年 A Summer Place のテーマ音楽は誰でも聞いたことがあるはず。マックス・スタイナー作曲のテーマ音楽をパーシー・フェイスがカバーした「夏の日の恋(Theme from A Summer Place)」のイメージを画にすれば、そっくりそのまま本作のシーンとなる。煌めく陽光の地中海を背景に、大理石の広大なテラスのひんやりとした触感と、大きく膨らむカーテンに現れる涼風に、この曲は相応しいと勝手に私は思っております。Netflix版「リプリー」も同様な贅に包まれており、本作ナポリにも近いあのアマルフィが舞台。
ベルサイユから超豪華な宮廷馬車をそっくり運び込みベッドに仕立てるなんて程にクレイジーな贅沢な家に1950年に生まれた女の子の一代記。ですが、主人公が人類学を追究し形而上の様相で、ストーリーも半分しか理解出来ません。ですが、それでいいのです、殆ど美の化身として成長する主人公と取り巻きのイケメン達のライフ・スタイルを眺めるだけで十分に眼福なんですから。テラスに向かって置かれた椅子にさりげなく掛けられたビキニ水着が風にそよぐなんて、天国ですよ。崖の下からボートの男どもの手が止まるのも当然ですよ。
賛美が付く程の満点の成績なんてのをサラッと獲得してしまうパルテノペ、2023年まで描くのですから数多の男たちとの交流を深め、人類の深淵を探ってゆく。唐突にゲイリー・オールドマンが登場し哲学的示唆を説いたり、ナポリの貧民窟の実態に接したり、教皇にオンナのどこに魅力を感ずる? なんて質問に「背中」とあっさり答えるカソリックの権現にも驚かされる。なにしろ重厚の極みのような教会内部でのロケーションだから、よけいに。信頼していた教授が遂に退任とのことで、やっと会わせてくれた彼の息子の異形ぶりが凄まじい。この辺り典型的なフェリーニ嗜好が顔を出す。
そしていよいよ現代に突入し、上品に年を召したパルテノペがまさかステファニア・サンドレッリが演じてたなんて、観ている最中には全然気づきませんでした。ベルナルド・ベルトルッチ監督の「暗殺の森」1970年でドミニク・サンダと美を競い合ったイタリアの人気女優ですよ。
サッカーの勝利を祝す喧騒に青く染まるパルテノペ、結婚という選択肢を除外した人生の先に何を見出したか。そんなことはどうでもよろしいとばから、喧騒をケラケラと笑う。ひょつとしたら実在の人物を基にしたかもね。エンドタイトルに流れる地中海の波音が妙に心地よい。
とりあえずパルテノぺ!
■ 作品情報
監督、脚本はパオロ・ソレンティーノ。主要キャストはセレステ・ダッラ・ポルタ、ステファニア・サンドレッリ、ゲイリー・オールドマンなど。製作国はイタリア、フランス。
■ ストーリー
人魚伝説が根付く南イタリアのナポリに生まれ、街を意味する“パルテノペ”と名付けられた一人の女性の生涯を描く。1950年に生を受けたパルテノペは、誰からも愛される美しさと聡明さをもち、兄ライモンドと深い絆で結ばれていた。しかし、彼女が成長し輝きを増すほどに、兄の孤独は深まり、やがて彼は自ら命を絶つ。映画は、ヒロイズムとは無縁ながらも、自由、ナポリ、そして愛に情熱を傾けるパルテノペの数十年間にわたる人生を、ナポリという魅惑的な土地を背景に描く。真実の愛や報われない愛、そして幻滅を経験しながらも、彼女は人生を歩み続ける。
■ 感想
最も印象的だったのは、タイトルどおりパルテノぺ!主人公パルテノペ自身の美しさと、ナポリの息をのむような絶景です。ナポリの海はまばゆいほどに輝き、その風光明媚な情景は、まるで一枚の絵画のようです。パルテノペの存在が、まさにそのナポリの象徴であり、彼女の姿を追うだけで、作品世界に酔いしれます。
しかし、物語の深層に踏み込もうとすると、その難解さに思考が停止してしまいます。抽象的で詩的なセリフの応酬は、まるで禅問答を聞いているかのようです。登場人物たちの行動原理、特にパルテノペ自身の感情や思考がストレートに語られないため、彼女に魅了される男たちの行動も、私のような凡人にはまるで理解できません。官能的なシーンや演出が多くても、心の奥底でドキドキする感情が湧き上がらないのは、きっと頭で理解しようとしすぎて、情緒的な感覚が麻痺してしまっていたからでしょう。
本作は、パルテノペの人生を通してナポリという街のもつ魅力や負の側面を描き出そうとしているのだと感じます。もっとナポリの文化や風土、歴史などに関する深い知識を持ち合わせていれば、映画に散りばめられた象徴的な描写の意味をもっと深く、より鮮やかに理解できたのかもしれません。表面的な美しさは圧倒的ですが、その真髄を味わうには、観る側にそれなりの教養と感受性を求める作品だと感じます。わかりやすい物語や感情移入を求める方には、少々ハードルの高い一本かもしれません。
虚無
パオロ・ソレンティーノが描きたいのは、やはり虚無なのか。
彼の作品は常にカメラが圧倒的に美しくて芸術的。登場人物はセレブやハイソな方々ばかりで、会話もインテリジェンスに富んでいます。その反面、私はいつも彼の作品から虚無を感じてしまいます。“グレート・ビューティー 追憶のローマ”くらいですか。主人公から新たな始まりを感じたのは。
本作も美しかったパルテノペが過去を回想する感じで、彼女の人生のフィナーレが静かに訪れたことを示唆していました。と同時に、パルテノペは美しかったソレンティーノの故郷ナポリの象徴のようにも感じました。ソレンティーノは一瞬訪れるナポリの美しさを永遠にカメラに残したいんだ、それが彼のアイデンティティなんだ、と感じました。
1970年生まれであるソレンティーノの人生のフィナーレは、まだまだ先なはずなのに、いつも人生のフィナーレを映画にしている気がする。一方でコッポラは、まだまだ攻めた映画を撮りたがっている。面白いですよね。
物語不明でも眼福至福
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