劇場公開日 2025年8月22日

「「今、考えているところ」」パルテノペ ナポリの宝石 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 「今、考えているところ」

2025年9月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

この映画は私にとって110点 e lode。ソレンティーノ映画で女性が主人公の初めての作品。海の中で生まれたパルテノペはナポリそのもの。屈託なく機転が利いて怖いもの知らず。彼女の未来は明るく眩しい。でもいつまでも幸せではいられない、誰だって同じように。

出会うべき作家と出会ったら全作品を読まずにいられない。パルテノペもそんな女子大生だ。その作家と本当に出会うとは。ヘミングウェイのようにいつも酔っ払っているアル中おじさんがトーマス・マンの「ベニスに死す」の老人作家であれば、パルテノペはタジオだ。その小説と同様、楽園のカプリにも影が忍び寄る、兄の死とコレラ。パルテノペの太陽の笑顔は月の微笑みと涙に変わっていく。

思考の底にたゆたいながら独りでいつも考えナポリの暗部を見て自身も辛い経験をする。自分の指導教授とは、必要で大事なことほどなんでも話せる。パルテノペはいつも考えている。人について考える学問に関心を持ち研究を続けるパルテノペ。指導教授に応募を薦められ就職したトレント大学に定年まで勤めた彼女を私は尊敬する。自分が定年退職したらナポリ大学の自分のポストに来ればいいと指導教授は言っていた。でもパルテノペはそうしなかった。そんな彼女も私は尊敬する。

自信に満ちて屈託なく輝き色々な誘惑を巧みにかわし、一方で失望と暗さを抱え込んで不安でいっぱいになる。どんな女性にも思いあたる。美しく神話的なパルテノペも例外ではない。最後は泣けて仕方なかった。

映像の美しさに息をのんだ。ナポリで生まれ育ったソレンティーノの愛が思いっきりナポリを美しく見せている。まだ行ったことがないナポリ。いつか行ける時が来るだろうか?行ってみたいような、行きたくないような所、ナポリ。

talisman
talismanさんのコメント
2025年9月10日

🔺こわっ!www
変換ミスはこわいけれど、笑えることも多いので楽しい!

talisman
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年9月10日

誤:鼻
正:華

こわっ!

ひろちゃんのカレシ
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年9月10日

コメントありがとうございました。
「鼻がない」のは,「男にとって都合がいい女として描くには」という注釈付きの言い方で,演技者としてディスった訳ではありません。今思えば,むしろあの場面では呑まれていた方が表現意図に合ってるかなと。

ひろちゃんのカレシ
ひろちゃんのカレシさんのコメント
2025年9月10日

お邪魔します。
本編より貴レビューの方が面白いと思いました。天から二物・三物を与えられた女性の、それらをもってしても制御できないパトスは様々な作品で描かれ、「なるほど女の人はそう感じるのか!」とわがオトコ目からしばしば鱗を落としてくれます。しかし本作ではそれが少なくとも私には伝わらず、単に男にとって都合のよいい女の描写に堕しているようにしか見えないシーンが散見されたりして、色々残念に思っていましたが、拝読してよかったです。

ひろちゃんのカレシ
Bacchusさんのコメント
2025年9月5日

ボローニャといえばボロネーゼとボローニャの夕暮れぐらいしか思い浮かびませんが…w良いですね!
海外で映画がみられる語学力は私にはないので羨ましいです!
それにしてもホント日本は映画高いですよね。

おすすめ作品が日本でも観られるといいなー

Bacchus
カール@山口三さんのコメント
2025年9月4日

そうでした。
出会いなんですよね。
特に大学教授と息子との関係が実に良かった。

カール@山口三