リモノフのレビュー・感想・評価
全15件を表示
Catastrophe
伝記映画を観る時にアーティストとかだったら、事前に曲を聴いてとかが出来るんですが、今作のリモノフの様にさまざまな職種に就いていた人の伝記映画って何をモチベに観れば良いか分からず、それでも楽しめりゃ良いなと思いましたがそんな事はなく撃沈しました。
リモノフ自身を知らずに観るとどうしても痛々しい奴にしか見えず、青年時代までならまだしも、大人になってもその殻を破れていないので、カッコいいとかの感情以前にコイツとは関わりたくない拒絶反応が前に出るのでそもそもの相性が悪かったです。
リモノフの経歴や凄みを味わえるのかと思いましたが、基本的にはラリってる様子を延々と流され、そこに爆音の音楽を添えてガンガン責めてくるんですが、その割に眠気に誘われるという不思議な体験になってしまいました。
ベン・ウィショーの怪演が凄まじく、彼1人のパワーで引っ張りまくっていてなんとかなった感じ…。
役者頼りでの映画でストーリーがおざなりになってしまっていたのは残念でした。
リモノフについて詳しくなってから観直すのもありかなとは思いつつも、もう一回劇場に行くのはなぁ…となってしまいました。
鑑賞日 9/8
鑑賞時間 14:50〜17:05
あんた誰?
こんな人が居たんだ
ソビエト連邦時代のロシアで生まれたエドワルド・リモノフは、1950~60年代をウクライナのハルキウとモスクワで過ごした。反体制派や詩人たちが集う別荘でエレナと出会い恋に落ちたリモノフは、彼女とともにロシアから自由を求めてアメリカ亡命を目指した。ニューヨークに来て自由を手にしたものの、職も金もなく、エレナとも別れた。リモノフは自らの言葉を世界に発信し、やがてフランスの文学界で注目を集めるようになった。リモノフはパリに渡り、作家としての名声を得た。その後ロシアに戻り、政党を作り、ロシアによるユーラシア統一を目指した。そんな事実に基づく彼の生涯を描いた話。
詩人、革命家、などいくつもの顔を持ち、世界から危険視されながらも多くの人々を魅了した実在の人物エドワルド・リモノフという人が居た、ということはわかった。
ロシアに詳しければ面白かったのかもしれないが、無茶苦茶な言動に共感するところは無かった。
エレナ役のビクトリア・ミロシニチェンコが色っぽかったくらいかな。
皮肉った様々な仕掛けとか演出も・・・
70年代からのつい最近までをリアルな映像と趣向を凝らした演出バリバリの映像が見事に融合した感じで、当時の音楽、現代の音楽、ロシアの音楽が絡み合って、やりまくりの展開にもうハマってしまいそうになるのかなぁと思いながら、なんか嫌だなぁというわだかまりもちょっとあって、その嫌な感じがどんどん高まって、やっと終わったよう・・・といった印象の作品でした。つまりは自分的にはよろしくなかったということです。
凄いセットとかCGを巧みに使った映像なんか最高、しかも音楽も聴き倒したり好きなものばかりなのに、何でこんなにも・・・と─。
誰一人にも感情移入できなかったし、周りのもの全てを否定しているような内容がとにかく嫌で、何もかも何がしたいのか何がしたいのか全くナゾです。
工夫とか創造性に溢れた作品だとは思えたので、なんか勝手に残念な感じで暗闇から解放された感じです。
資本主義の欧米が、共産主義 ソ連を崩壊させた?
フランス人のインテリが、主人公に『あなた方 ソ連の共産主義は 資本主義に負け 崩壊した』と言われ、ブチ切れる。
『お前らは戦争がはじまると 尻尾巻いて逃げた腰抜け国家だろ。おえらに同情される筋合いは無い』と面罵。 痛快。
ソ連・ロシアには 彼らの 生き方が有り、欧米の資本主義が、正しい訳でも無い。
西側諸国の価値観に洗脳され切った 日本人の私には 刺激的だった。
遊び心満載の映像体験。
まるで本物の「インタビュー番組」かと見紛うほどの古臭い映像で幕開けする本作は実在した作家リモノフを追った作品。
とはいえ単なる自伝映画にはおさまっておらず、映像、音楽、編集ともに遊び心満載の楽しい作品となっておりました。
特に映像に関しては飽きさせない工夫があちこちに散らばっておりました。
幕開け早々、4:3の画面をリモノフ本人が両手で左右に広げる映像を始め、ハルキウからモスクワへとワンカットで移動させる長回し、ニューヨークのコインランドリーから始まるミュージカル擬きのワンカット、「TIME」と銘打って廃墟の中を時代の流れと共に走るリモノフを捉えた追走映像など目を見開いてしまう仕掛けが盛りだくさん。
「映画を観に行った」と言うよりは「遊びに行った」という感覚に近いものを感じました。
パンク、アナーキー、レボリューション、そうしたキーワードが幾度となく頭を過ぎる中身になってますので、それらの一つでも好きな人ならば観に行って損はないと思います。
ロシアンパンク…らしい
ソ連時代のロシアで産まれた作家で革命家のエドワルド・リモノフの話。
1989モスクワから始まって、時間を遡り体制批判からの激しい恋愛、アメリカ亡命、とモノローグを交えてみせていくけれど…少々激情的な自分の主張ばかりで人の話しを聞かない人ですね。
残念ながら、この方を知らずに観賞したから、これはいったい何を見せられているのか…。
しかも「GLORY」パートはどういうこと?
経験したことしかなんちゃらじゃ?
エドワルド・リモノフが好きだったり、興味津々な方には面白いんでしょうかね?とか、へー激しい人ですね…という以上に感じられなかった。
自ら手榴弾を名乗る男
2020年に亡くなったロシアの政治家エドワルド・リモノフの半生を、センスがよい音楽と、オシャレでスタイリッシュさが香っていくる映像で描かれていました。
ウクライナやモスクワ、ニューヨークで名乗った肩書は、学生、ならず者、工場労働者、皿洗い、執事、と変えていくが、一貫して詩人、そして作家と名乗り続けた。
今の底辺労働者の自分は、かりそめの姿で、本当は世界を変える大作家なのだと思い続けてもがいている自己愛モンスターがスクリーンにいた。
突飛な体験を求め、それを自分の著作に記していく。
見ている方も、彼のひりつくような人生を追体験できたような気がする。
レモン型をしたF-1手榴弾の愛称、「リモノフ」をペンネームに選んだのが、破天荒な彼らしすぎる。
"英雄"になりたかった
=疎外感が生む英雄症候群と右傾化のメカニズム
人間を突き動かすのは、理屈じゃなくて感情・情動。昨今の世界的な右傾化のメカニズムを紐解くよう。どうやらウクライナ侵攻は本作の製作中に始まったらしい。
"何者か"になりたかった。その生涯で実に様々な職業・肩書を体験してきた彼が、本当になりたかったものは…?"英雄"になりたかったイタい・拗らせた奴が、ずっと芽が出ないまま燻り続けていたのに、かなりオジサンになってから遅咲きでいきなり若者たちからロックスターみたいにチヤホヤされてプチバズ状態突入する話(※敢えて"伝記映画"とは呼ばない)に、ロシアを重ねる。ずっと悶々としながら半生を過ごし、死を偽る妄想癖…理想と現実の乖離に悩む憐れ・惨めな自分も、自分の偉大さに気づかない世間も終わらせて"英雄"になる英雄症候群(=ジョーカー的)。そして、作品での描かれ方としても、ロシアの変遷を内在化した男。
・ウクライナで過ごす青春時代→
・モスクワに上京するも、祖国に馴染めず国外逃亡→
・海外で孤独・疎外感に悩まされる→
・国外で評価されて飛びつく→
・あれだけ合わなかった祖国を、海外で外国人にディスられて腹立つ→
・結局、自分の居場所は見つけられないままだし、ムカついた反動で国家ボリシェヴィキ党結党?!
・当院の若者たちにチヤホヤされて浮かれ調子乗り(やっと自分の居場所見つけられた・夢を叶えられたね…って他国侵攻しとるわ!!)
いや、こう書いたらマジで滅茶苦茶なんだけど、実際そうで、本当に軸など無くブレブレ感情人間。大事なのはその時のノリと勢い!結局、自分の居場所が見つけられない人は、自分が変わらない限りどこに行っても同じことになる。そんなワイルド・サイドを歩くような危うさを体現するベン・ウィショーの熱演と意識的な出演作選び!ポスタービジュアルにもなっている50代のリモノフに扮したベン・ウィショーが格好良かった。
アンチヒーローと人間としての根源。批評性を持つように距離を置くことで見えてくる両義性と、最後まで描ける二面性。正直、モデルとなったリモノフという実在の人物を知らなかったが、本編を見ていて後半一瞬で彼に三島由紀夫からの露骨すぎる影響が見て取れた。ジム・モリソン、レーニン、三島由紀夫が好きなら仲間。
振り落とされそうなほどエネルギッシュ&ハイテンションで、一体どう観て何を感じ取ればいいのか迷うくらいカオスな2時間超(だけどそこにキャッチーさがあるわけではない)!その中で、主人公リモノフのムードに合うように退廃的なヴェルヴェッツ&ルー・リードはじめ、監督自身の地価流通したものに触れていたであろう青春時代からの強い影響を感じさせる選曲が、露骨すぎるけどしっかりツボ。タクシードライバーみたいな格好しながら「『タクシードライバー』みたいに書け」と言われて、そのジャケットの中にはラモーンズTシャツ着ながらPretty Vacant/セックス・ピストルズをバックに80年代を一気に駆け抜ける舞台的な演出。
自由はあるけど何も重要じゃない西側と、自由はないけど全てが重要な東側。"古き良き時代(good old day)とはよく言ったもので、色んな問題を無視して一定数「あの頃はよかったね」と満たされない思いを抱えた思い出補正(サウスパーク風に言えば懐かしベリー)で言う・ノスタルジーに浸る人たちがいるからこそ、ロシアで言えばソビエトなど昔に戻ろうという動きが起こり、また支持されてしまう。けど、そんなのクソだ!!
P.S. 作中、妄想エレナに「僕たちならここから出ていける」みたいにダイナーで言うセリフの、"go home"と"shit hole"で韻踏んでいるのが、なぜか印象に残った。
勝手に関連作品『LETO』『ジョーカー』『バイス』
考えるな!感じるんだ!
ちょっと予習しておけばよかった…
リモノフについて全く知識がないまま試写会に参加したので、なんの映画かよく分からないままだったというのが正直な感想です。
でも分からないなりに、1970年代のヒッピームーブメント、懐かしいロックの名曲に載った街の風景に魅せられ、レトロなファッションにワクワクし、主人公のクレイジーさに仰天しつつ、出てくる人全員クレイジーっぷりになんだか笑いがこみ上げてきました。
そもそも主人公のリモノフが何がしたかった人なのか、詩人?作家?革命家?
どうもその時の気分とノリで動いているようにしか観えません。
なので観客も、考えるな、感じろ!ということなのかなぁと、終盤は純粋に凝った映像とノリの良い音楽、なんだかおかしな人たちを楽しむ気分になりました。
夢想家?いや、天才?
面白かった!
始終、彼の燃えるような欲望が続く。
過激、孤独、自己陶酔、自尊心、狂気のごった煮と、愛と名声への切望。いや渇望?
もう夢想家なのか天才なのかわからない。
めちゃくちゃなのに、なぜかすごくカッコいいのは映像と音楽がオシャレなせいかしら。
彼がずっと自分自身に、オレは常に正しい、アイツらより優れている、本当はもっと凄いんだと言い聞かせてるように見えたけど、あれは過酷な現実から自分を奮い立たせるための彼なりの自分へのエールだったんだろうなぁ。
安定しない国の情勢と日々の生活の中、それでもそこから幸せを見つけていく人もいるだろう。でも彼は自分を取り囲む現状に満足せずに、より理想を求めてもっともっとと這い回った。彼のその感性と情熱は素晴らしいと思う。過激な思想にはびっくりだけれども。。
目の前にある人が排除したがるものを、美しいと価値を見出して存在を認める姿は、きっと希望がなさそうな世界で若さとチカラを持て余した一部の若者たちには、崇拝レベルの輝きを放ったのだろうな。
とにかく映像も音楽も最高にカッコいいので、それだけでも観る価値はあったな。
アフタートークでゲストの方が、演劇と映画の折衷案のような作品と仰っていたけど、すごく納得。良いとこ取りだったと思う。
リモノフ自体はきっと見る人によって、評価が違う人かもしれない。
でもこの映画を観た人はきっと彼をカッコいいと思ってしまうかも。
だってカッコよかったもん。笑
孤独なロマンチスト
アンチヒーロー
全15件を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。