「これがリアル?」私たちが光と想うすべて shin-zyさんの映画レビュー(感想・評価)
これがリアル?
インド映画は歌あり踊りありで楽しいイメージがありますが、そうでない作品でも秀作も多く、本作品も歌踊りなしの作品としては出色の出来だったと思います。
あの「花嫁はどこへ」と高い評価を分かち合ったというのも納得でした。
とにかく、インドの生々しいリアルな日常が描かれており、色々と共感したり、なるほどな〜と得心がいくことも多かったです。
都会での生活の楽しさを享受し自らその中に飛び込んでいく若者、夫との関係に煮えきれなさを覚えながら、都会での生活に息苦しさや閉塞感を覚え日々鬱々とする年嵩の女性、この2人の関係性を軸に物語が進んでいきますが、それぞれの考え方や行動に、部分的ではあっても納得できたり、違和感を覚えもし、両者の視点から観ている間は自分の中でも様々な感情が渦巻いていました。無論、日本とは社会状況や、宗教観などが異なるので、所々理解に苦しんだり、疑問に思うところもありましたが、人が思い悩む根本の部分は人種国籍関係なくどこかしら共通してるのではないかな、と思いました。つまり、結局のところは「自分本位」ということ。そこを起点として人と関わったり、認め合ったり、あるいは離れたりして日々光明を見出しながら生きているのだな、とあらためて思いました。人間て複雑ですね。だからこそ色々なドラマがあって面白いのかな?
とまあ、そこは私自身が勝手に感じたことなので、これだから人生は素晴らしい!と謳う人生礼賛映画ではないのですが、凡庸だと思っている人生でも、其処此処に明るさや希望が潜んでいるんじゃないか、と、たまにはこういうことをあれこれ考えさせてくれる作品を観るのも悪くはないですね。それも「脳天気」で楽しい賑やかな映画を数多く作っているインド映画だからこそ(?)、本作品は観る価値があるような気がしました。
