「田舎のインド人、都会のインド人」私たちが光と想うすべて 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
田舎のインド人、都会のインド人
前作の「何も知らない夜」に比べればはるかに世間一般に向けた平明な物語の手法に寄せているが、それでも不可解な点はいくつか残る。浜辺に打ち上げられた男は本当にプラバの夫だったのか?プラバに「お姉さん」と呼びかけるアヌは途中までてっきり本当の妹かと誤認していた。
前作ほど直截的な反権力のメッセージは強くないけれども、理不尽な結婚や異教徒間の交際などの根深い問題は相変わらず影を落としている。他国との共同制作だから何とか黙認されているのか、社会の矛盾をありのままに描こうとする作者の意図が、政権の統制をかいくぐってかくの如く発表されることは貴重だ。建設予定の高層ビルの看板に投石するぐらいしか憂さを晴らす手段がない現実が悲しい。
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