サブスタンスのレビュー・感想・評価
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社長には ウンザリ
誰かのミドルエイジクライシスの肖像
過去に女優として活躍し現在は朝の番組のエクササイズコーナーでフロントを務めているエリザベスが、美容のアイコンとしての期限切れを宣告されたことから、謎の療法を使って産み出した分身・スーの姿でキャリアの再生を計る物語。
そっくりさん・クローン・多重人格などをギミックにして一つの体や存在を共有する二重生活の栄華と、リスク管理の失敗の果ての凋落を描く作品は多々ある。本作は二重生活のリスクを生身の体に負わせる形をとっており、その描写も生々しい。
青春映画・恋愛映画で売れた後、キャリアチェンジに迷走する俳優は洋の東西を問わず沢山おり、フィクションの題材にもなっている。男性の場合はコメディとして描かれることもあるが、女性の場合はブラックな物語になることが多く、その点では本作のストーリーには新しさを感じなかった。
これまでのキャリアで幾度も役作りや依存について話題になったデミ・ムーアをエリザベス役に据えたことに最大の意味があるのだろうが、本人は役作りを改造とする周囲の憶測をあまり認めていないし、近年、過去の推され方や過剰なトレーニングをネガティブに語ってもいるので、なんとも意地悪な配役だな、と思う。
エリザベスをルッキズムやエイジズムの被害者とする論調をよく目にするが、エリザベスが本体に戻っている時の過ごし方やスーの行動を見ると、そうとも言い難い。
本作はルッキズムやエイジズム・視聴層の代弁者を気取る商業主義への反発だけでなく、女性達もまたそこから離れないことへの批難もあるのではないだろうか。感情や衝動をストレートに形にしたようなエネルギーに溢れた作品ではあるものの、全方位にネガティブなものが漂いカタルシスがない点は、監督自身がまだまだ懊悩の中にあるのかも知れない。
グロ・スプラッタ描写がくどく、誰も成長しないストーリーはシニカルやユーモアを通り越して下らなく思えた。
ホラークリエイターへの誉め言葉という意味で「二度と観ない」。142分の使い方としてもっと練った作品に出会いたいという意味でも「二度と観ない」。
本作の特殊メイクは、しばらく休業しなければならないほど肌へのダメージになったという話も聞く。その点においても本作にはあまり好感を持てなかった。
ゴーストからモンスターになったデミ・ムーア
なぜか元気が出る映画w
ホラー好きではないので(たまには見るんだけどホラー好きの人ってZ級からA級まで尋常じゃない数見てるじゃないですか。そこまでではないという意味です)、自分が何度も見直す映画になるかと言うと、そういうわけではないんだけど、ちゃんと映画の切り口として面白いところが色々ある映画だなと。
基本、サンセット大通りプラス、クローネンバーグ的ボディホラー、それ故、役者の怪演こそメインの映画(お二人とも素晴らしい。)なのは間違いないのだが、最初から中盤かなりサウンドデザインと編集のキレがありスタイリッシュなテイストだったので、そのままシリアスなトーンで行くかと思いきや、最後に大盤振る舞いwあそこはやっぱりデパルマのキャリー思い出した。わざわざ観客席の顔を並行して映すような悪ふざけのデパルマ的な演出やってるので、間違いないだろうw
実は私はレクイエムフォードリームみたいな無知だったり人間的に欠陥のある一般市民を観察し、時には嘲笑するような「人間が壊れていく系」の意地悪な映画はあんまり好きではないのよ。特にこの映画の場合、主人公がルッキズムに蝕まれてる元々の原因は男性優位の社会が作り出している女性への期待やプレッシャーだしね。男性側に復讐を果たすってタイプの映画でもないし。
ところが、この映画のバランスが面白いのは彼女は壊れていくんだけど、結局ある意味夢を果たしちゃうとこ。普通の映画なら、主人公が「完全に壊れた」とこで終わるんだけど、この映画はそこからが長いw歌舞伎の大見栄を切るような過剰さの大盤振る舞いw先ほど言ったキャリーやピータージャクソンのブレインデッドのエンディング級の血しぶきで花道を飾る。
しかも更にそこで終わらず彼女はちゃんと「スター」として天翔していく。まさかのハッピーエンド感w「今俺は何を見せられてるのかよくわからんが、やるだけやったし良かったんじゃないか」みたいな気持ちになり、元気をもらったw主人公をただのモンスターで終わらせない優しさがそこにあるなと思った。
というわけで、単純なルッキズム批判というより、そこにやっぱり女優さんの努力や魅力へのリスペクトや愛も感じる映画だなと。そこらへんは監督が女性でフランス人な故なのか、ストレートなメッセージ性のハリウッド映画とは違う視点があって面白いバランスだなと思った。
キンキンの尖った表現を突き詰めたボディホラー
美とは何か、若さとは何か? それらに過剰な価値を持たせる存在は何なのか?
本作のテーマはそういったことでしょう。
いかにも現代的なテーマであり、それを追求する作品として十二分なクオリティを備えた作品でした。ただし、本作がすごいのは、そのような強いテーマ性を放つ作品でありながら、ジャンル映画的なたまらない魅力に溢れ、さらには過去の名作映画のオマージュやリスペクトをしっかり感じられる作品であったこと。
そのような作品を支えたのはデミ・ムーアとマーガレット・クアリー2人の全力の演技であり、冒頭からエンディングまでひとときも集中力を切らさず、サービス精神に溢れた映像を作り上げたコラリー・ファルジャ監督の手腕でありましょう。
心に残るのは、グロさと美しさを兼ね備えながら、スタイリッシュなセンスにも溢れた映像の洪水に溺れる快感。
なんというものを作ってくれたのでしょう、という感想が本当にすべてです。
最高の裏切り展開(笑)
クローネンバーグ御大かと思いました
いやー、面白かったですね。口あんぐりの連続でした。
監督が公式に言ってるかは知りませんが、クローネンバーグ御大の演出に似てましたね。移り変わりのところとか、注射をブスブス刺すところとか、最後は「ザ・フライ」みたいで泣けてきました。「チタン」のフランス人女性監督も御大の作品に惹かれているみたいですが、フランス人は御大好きなんですね。
スーが可愛かったですね。彼女は「ワンハリ」でブラピと絡んでいた女優ですよね。観てないんですが「アノーラ」も「ワンハリ」のヒッピー出身と聞いて、どの役の女優なのか気になってました。
女性監督として、やはり男社会でやっていくことの難しさとかを全面に出したのでしょうか。ファルジャ監督の写真見ましたが、やはりキレイな方です。思えば日本も含めて女性監督は総じてキレイな方が多いように思えます。そんなところは考えすぎかもしれませんが。でもプロデューサーがハーベイですし。
美しさと若さですか、やはりそこに行き着くことは宿命でしょうか。デミ・ムーアもよくぞあそこまで(醜い)自分を晒したなと感動しました。アカデミー賞でもいいように思いましたが、やっぱり怪物になっちゃうと評価下がるんですかね。関係ないですが、夜の界隈で売上何億みたいな女性が持て囃されてる最近ですが、何もなくて、若さと可愛いだけ(しかも作ったキレイさなら)ならいずれはエリザベスになっちゃうよなぁと、大きなお世話をしてみます。
最後、ちょっとクドいかなともおもいました。でも、とても楽しみました。
辻彩がアンブレラに勤めたら
己の中の「スー」に愕然とさせられる!
物語の前半はちょっと犯罪系ミステリーの様な
不穏な空気感にグイグイ引き込まれて行くが、
後半は精神的なホラー味がどんどん強くなり、更に
皆さんが書いておられる様に映像的にもかなりグロくなってくる。
ただ、そのグロさも一周回って最後はブラックコメディーになっていた!
そのあたりに耐性のある方はぜひ、劇場で!!
で、月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
中々にパンチの効いた本作!
ほとんど裸で冷たいタイルの上か特殊メークバリバリで、
よくもこの作品を受けたわ!!
デミ・ムーアに拍手!!
本当に解りやすくルッキズムと男性優位社会への批判を込めたお話。
だけど、その根底には、女性自身もいつの間にか
男性の女性へ向ける価値観に支配されていることに気付かされる。
後半「エリザベス」の若い分身である「スー」が母体へ反旗を翻す辺りから
老いへの憎しみがどんどん増して行く。
若く美しく周りからチヤホヤされる「スー」は
誰からも顧みられることの無い
老いた「エリザベス」としての時間が耐えられなくなり
邪魔に感じ出した「スー」の行動がもう半端無い!
今は若くても「エリザベス」の体が無ければ復活できないのに
そんな事お構いなしにこれでもかと言う様に
容赦なく「エリザベス」を痛めつける!
ずっと若いままでいたい!!
正直、女だってそれが本音だもの。
己の中の「スー」に愕然とし、恐ろしくなる。
あと、大昔、好きだと言ってくれた男を当てにするようになったら
女も終わりだな〜〜
そのシーンが違う意味で超怖かった!!
悪夢のようなスプラッター・コメディー? やりすぎ注意
思ったよりも、グロく、漫画チックで、ツッコミどころ満載の映画でした。
結局これはコメディーなのか? と、「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れる場面では思わず吹き出してしまった。
全編を通して緊迫感のある作品で、退屈することはなかったが、いかんせんやりすぎだと感じた。
最後に、道に埋め込まれたプレートのシーンを「落ち」のようにして見せるところなんか、なかなかニクイなと思ったけれど、作品全体としてはグロテスクで過激な描写が多く引いてしまった。
何事も節度をわきまえなくてはならない。おじさんは、こんな映画をつくる人たちの感覚を疑いたくなったのである。しばらくはホルモンとか食べられへんわ。
体当たりの演技はたいしたもんだけど、デミ・ムーアももうちょっと仕事えらんだほうがええんと違うか? ほんまに。
と、ここまでいろいろ悪口を書いてきたけれど、「アホな女が主人公の馬鹿げた映画だ」と一蹴することはできないのである。
「よりよく見られたい」「いつまでも若く美しくありたい」という、人間の本質に関わること、とくに女性にとっては切実な問題がテーマになっているので、しみじみと感じるものがあったことも確かである(表現方法には、拒否反応を起こしたけれど)。
面白さ右肩下がり
品質が低い
オススメできないけど、見て良かったと思う
デミ・ムーア主演映画の中での最高傑作
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