サブスタンスのレビュー・感想・評価
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まいりました。おなかいっぱいです。
用法・用量を守ってお使いください
若さへの執着と老いへの恐怖が生む醜悪なスリラー
ゾンビが他人を襲うのではなく、「自分自身」に向かってくるという設定がユニークで、「自分の中の葛藤」が具現化する恐怖をリアルに感じさせる。
特に、「若さ」や「美しさ」を失っていくことへの焦燥、それに抗う自分自身への嫌悪や執着が、恐ろしいゾンビと化す。
日本のテレビではあまり見かけない、スタジオでのフィットネス系ダンスを通じて、表面の「明るさ」や「エネルギー」の裏にある闇を見せており、デミ・ムーアとマーガレット・クアリーのパフォーマンスにも注目です。彼女の魅力と、その裏に隠れた不安や恐怖が作品の緊張感を高めています。
「美しくありたい」「若くありたい」「チヤホヤされたい」という欲望は誰しもが抱えるものですが、それが暴走したときに生まれる醜さや恐ろしさを、ゾンビという象徴を通して描いています。ゾンビが他人ではなく「自分自身」のメタファーであるという点で、“その気持ちが分かる”と感じてしまう不気味な共感も。
所々女性監督
面白いか?…は別として、久しぶりに突き抜けた映画を観た!
女性監督の作品なので、SFX(あえてこう呼ぶ)に関しては
グロテスク<美しさ
であったのがちょっと残念…
ついでに女体描写も
エロ<美しさ
こちらもちょっと残念…
そんなSFX・特殊造形、残念ながら約40年前の'80年代に活躍したSFXアーティスト作品を超えてはいないかな、オマージュも良いけど、現代の技術や素材でしか出来ないアップデート(勿論CG使えと言う事では無い!)も見せて欲しかったですね。
ちなみに、あのプレデターの血液のような薬品の色は「死霊のしたたり」のオマージュですね~
しかし、この役を受けた青春時代のミューズであるデミ・ムーアには天晴れ!!、これで何故アカデミー賞逃した??
ミソジニー(女性嫌悪)にあふれた、えげつない下品な作品
フランスの女性監督コラリー・ファルジャの作品。
女性監督ですか!
なるほどここまで女性の暴力性や美への執着をえげつなく描くのは男性ではできませんねえ。
エリザベスは自分が醜く老いさらばえてもスーの美しさを終わらせることに、なんどかためらう。
エリザベスが耐えららず、スーの大成功を終わらせようとするとき、スーは醜く年老いたエリザベスをこれでもかと打擲する。怒りの爆発はしつこい。
やりすぎだ。
鏡に何度も顔を打ち付け、何度も蹴り倒し、ぶん投げる。
「ああ、このような枯れ木のような年寄りの身体からなぜ、このように大量の血が流れるのだ」はマクベスの台詞。
スーは最後これ以上ない醜い姿になるが、美しいはずの自分の幻影から逃れられない。
徹底している。
まだやるわけ!
It’s me !
これも私なの! ルッキズムはどこにいった。
女性はこのように若さとルッキズムに絡めたとられていたという啓発かもしれないが、このえげつなさは下品だ。
正視できなかった。
2回目のアクティベート、トムブラウンやんと思ってたら皆言っててうけ...
社長には ウンザリ
誰かのミドルエイジクライシスの肖像
過去に女優として活躍し現在は朝の番組のエクササイズコーナーでフロントを務めているエリザベスが、美容のアイコンとしての期限切れを宣告されたことから、謎の療法を使って産み出した分身・スーの姿でキャリアの再生を計る物語。
そっくりさん・クローン・多重人格などをギミックにして一つの体や存在を共有する二重生活の栄華と、リスク管理の失敗の果ての凋落を描く作品は多々ある。本作は二重生活のリスクを生身の体に負わせる形をとっており、その描写も生々しい。
青春映画・恋愛映画で売れた後、キャリアチェンジに迷走する俳優は洋の東西を問わず沢山おり、フィクションの題材にもなっている。男性の場合はコメディとして描かれることもあるが、女性の場合はブラックな物語になることが多く、その点では本作のストーリーには新しさを感じなかった。
これまでのキャリアで幾度も役作りや依存について話題になったデミ・ムーアをエリザベス役に据えたことに最大の意味があるのだろうが、本人は役作りを改造とする周囲の憶測をあまり認めていないし、近年、過去の推され方や過剰なトレーニングをネガティブに語ってもいるので、なんとも意地悪な配役だな、と思う。
エリザベスをルッキズムやエイジズムの被害者とする論調をよく目にするが、エリザベスが本体に戻っている時の過ごし方やスーの行動を見ると、そうとも言い難い。
本作はルッキズムやエイジズム・視聴層の代弁者を気取る商業主義への反発だけでなく、女性達もまたそこから離れないことへの批難もあるのではないだろうか。感情や衝動をストレートに形にしたようなエネルギーに溢れた作品ではあるものの、全方位にネガティブなものが漂いカタルシスがない点は、監督自身がまだまだ懊悩の中にあるのかも知れない。
グロ・スプラッタ描写がくどく、誰も成長しないストーリーはシニカルやユーモアを通り越して下らなく思えた。
ホラークリエイターへの誉め言葉という意味で「二度と観ない」。142分の使い方としてもっと練った作品に出会いたいという意味でも「二度と観ない」。
本作の特殊メイクは、しばらく休業しなければならないほど肌へのダメージになったという話も聞く。その点においても本作にはあまり好感を持てなかった。
ゴーストからモンスターになったデミ・ムーア
なぜか元気が出る映画w
ホラー好きではないので(たまには見るんだけどホラー好きの人ってZ級からA級まで尋常じゃない数見てるじゃないですか。そこまでではないという意味です)、自分が何度も見直す映画になるかと言うと、そういうわけではないんだけど、ちゃんと映画の切り口として面白いところが色々ある映画だなと。
基本、サンセット大通りプラス、クローネンバーグ的ボディホラー、それ故、役者の怪演こそメインの映画(お二人とも素晴らしい。)なのは間違いないのだが、最初から中盤かなりサウンドデザインと編集のキレがありスタイリッシュなテイストだったので、そのままシリアスなトーンで行くかと思いきや、最後に大盤振る舞いwあそこはやっぱりデパルマのキャリー思い出した。わざわざ観客席の顔を並行して映すような悪ふざけのデパルマ的な演出やってるので、間違いないだろうw
実は私はレクイエムフォードリームみたいな無知だったり人間的に欠陥のある一般市民を観察し、時には嘲笑するような「人間が壊れていく系」の意地悪な映画はあんまり好きではないのよ。特にこの映画の場合、主人公がルッキズムに蝕まれてる元々の原因は男性優位の社会が作り出している女性への期待やプレッシャーだしね。男性側に復讐を果たすってタイプの映画でもないし。
ところが、この映画のバランスが面白いのは彼女は壊れていくんだけど、結局ある意味夢を果たしちゃうとこ。普通の映画なら、主人公が「完全に壊れた」とこで終わるんだけど、この映画はそこからが長いw歌舞伎の大見栄を切るような過剰さの大盤振る舞いw先ほど言ったキャリーやピータージャクソンのブレインデッドのエンディング級の血しぶきで花道を飾る。
しかも更にそこで終わらず彼女はちゃんと「スター」として天翔していく。まさかのハッピーエンド感w「今俺は何を見せられてるのかよくわからんが、やるだけやったし良かったんじゃないか」みたいな気持ちになり、元気をもらったw主人公をただのモンスターで終わらせない優しさがそこにあるなと思った。
というわけで、単純なルッキズム批判というより、そこにやっぱり女優さんの努力や魅力へのリスペクトや愛も感じる映画だなと。そこらへんは監督が女性でフランス人な故なのか、ストレートなメッセージ性のハリウッド映画とは違う視点があって面白いバランスだなと思った。
キンキンの尖った表現を突き詰めたボディホラー
美とは何か、若さとは何か? それらに過剰な価値を持たせる存在は何なのか?
本作のテーマはそういったことでしょう。
いかにも現代的なテーマであり、それを追求する作品として十二分なクオリティを備えた作品でした。ただし、本作がすごいのは、そのような強いテーマ性を放つ作品でありながら、ジャンル映画的なたまらない魅力に溢れ、さらには過去の名作映画のオマージュやリスペクトをしっかり感じられる作品であったこと。
そのような作品を支えたのはデミ・ムーアとマーガレット・クアリー2人の全力の演技であり、冒頭からエンディングまでひとときも集中力を切らさず、サービス精神に溢れた映像を作り上げたコラリー・ファルジャ監督の手腕でありましょう。
心に残るのは、グロさと美しさを兼ね備えながら、スタイリッシュなセンスにも溢れた映像の洪水に溺れる快感。
なんというものを作ってくれたのでしょう、という感想が本当にすべてです。
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