サブスタンスのレビュー・感想・評価
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デミ・ムーアの体当たり役がすごい
いやー、物凄い映画だねぇ。これ。
そしてよくデミ・ムーアはこの役を受けましたね。自分自身とかぶらせているかのような役柄です。まさかの裸体までさらして体当たりの演技です。
鑑賞前までは、なぜアカデミーのメイクアップ賞受賞したか分からなかった。二人の入れ替わりや、美しさも分かるが受賞まででは無いから何かあるなと。
ラストのラストで、受賞理由が分かったよ。。。これあのグロテスクな造形に対しての賞賛よね。おぞましさが評価されたんだなと理解。この受賞の仕方ですぐ思ったのが、古き名作ホラー『ザ・フライ』に重なるところがありますね。あっちもラスト物凄い造形ですから。
しかしねぇ。あのラストの血しぶき以降は映画として必要だったかどうかですね。あのシーンから急にB級ホラー感になりチープに思えて違和感も感じました。個人的には、あのシーンなくて外に逃げる感じでも良かった気がしましたが。。。
まぁでも、物凄い映画観た気分です。最初から最後までのめり込んで鑑賞しました。ただ、アカデミー賞受賞してるからって、耐性無い人が見てしまったら悲惨ですねぇ。なんたって、肉片物凄いですから。。。
ラスト10分が…
化粧をし直す描写は女流監督ならではの視点
若さと美貌にこだわった怪奇小説を彷彿とさせる大人向け御伽話。
本作の冒頭と終盤に出てくる路面に埋め込まれた名前入りの星が本作の全てを物語っておりました。
「美」に固執し、「美」によって承認欲求を満たし、「美」によって身を滅ぼす女優の姿がそこにあります。
導入の二つに分裂する卵黄、
シンメトリーになったTV局の赤い廊下、
白が基調となった清潔感溢れるトイレ、
そしてゴミ箱に捨てられるサブスタンスのUSB、
開始僅か5分足らずで描かれるそのどれもが絵画の様に美しく、観る者の目を釘付けにしてきます。
特に塵ひとつすら感じさせない映像からはスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の様な清潔感すら感じてしまいました。
そんな中、デニス・クエイド演じるTVプロデューサーを下品に描く事に躊躇していない点に惚れました。
汚らしくエビを食べ、無節操に煙草を吹かす口元をアップにして、美の世界で生きている女性とは正反対の存在として描き、汚しい男性なのだという事を上手く印象付けていたと思います。
とにかく「美」にこだわる作品として映像は品を保っているので汚しい描写でもあまり不快感を感じない点が素晴らしく、デヴィッド・クローネンバーグの新作と言われても違和感を感じない肉質的なグロ描写でさえ「美しい」と感じてしまいました。
特にクライマックスでの「赤」の使い方は絶品!
監督の前作「REVENGE リベンジ」をご覧になっている方ならばお分かり頂けると思いますが、画面を染めていく「赤」に汚しさなどは一切なく、ひたすら息を呑むほどの迫力に圧倒されるばかりになってしまいます。
美しさとグロ、清潔感と下品、相反する価値観が巧みに混ざり合い「若さ」と「美しさ」を追求する御伽話。
生ぬるいチビッコ向けおとぎ話に飽き飽きした人には劇場入りをおすすめします。
余談ですが、クレジットにレイ・リオッタの名前があります。
どうやらクエイドの役を亡くなっていなければリオッタが演じる予定だったらしいです。
彼も品のない役には定評がありましたもんね♪
人格まで別にしたのが失敗
分裂した時、完全に別人格にしたのは失敗では?
あくまでもデミ・ムーア本人が若い肉体を手に入れたことにした方がテーマがはっきりする。声だけはデミ・ムーアのままにしておくとか。
そうやってデミ・ムーア側になにかの利益をあたえるべきだった。でないと何のためにわざわざこんなことをしたのかよくわからなくなってしまってる。
で、若返ったことを喜んでいるうちに分身側が暴走するという風にすべきだったのでは?
あとブラックコメディとして作ったんだろうけど、いまいち笑えなかった。こういう「酷すぎて笑える」作品は好みのはずなんだが。とにかくかわいそうなだけなんだよね、デミ・ムーアが。
唯一「ツァラトゥストラはかく語りき」がかかったところは笑った。それくらいかな。
ラストのスプラッター展開も、単に暴れてるだけで作品のテーマと関係ないのが惜しい。鬱陶しいプロデューサーたちにやり返すようにもっていけなかったのだろうか。血まみれになるくらいじゃ納得できん。
アウターリミッツ
度肝を抜くとはこういう事
近年、承認欲求というワードを耳にする様になったのも、誰もが手軽に使えるSNSの影響からだ。本作はそれを50代となり人気も衰えたタレントに置き換えて描いている。年齢や性別関係なく、誰もが認められたいと思うものであり、それは勿論叶うならば若くいたいと思うものである。それが、過去に数多くの栄光を勝ち取った人間ならば、よりそれを強く感じてしまうはずである。芯強く芸能界に残るという意思と、年齢、時代遅れという現実に苦しめられる主人公を、デミ•ムーアが好演している。間違いなくこれは彼女にとって代表作になるだろう。それらの思いが狂気に満ちていくのはすぐに予想できる物だが、本作はそれを大きく裏切る形で爆発するのである。どんな映画好きでも、こんなオチを予想できた人間が果たしていただろうか。アカデミー賞受賞という大きな話題を呼んだ本作だが、映画作品として最高のエンターテイメントを提供してくれる、本年度No.1の作品だ。
人間の狂気を描くにあたり、心理描写や人間描写に主眼が当たるとどうしても絵的には地味になってしまうが、それをポップな表現や、セクシーなお姉様方で彩ってギャップ的に描くのかと思っていたが、それだけでなく映画ファンは勿論、話題作だからと気軽に鑑賞した人間らを怒涛の如く楽しませるか、ドン引きさせるかの作品だ。
設定上"生まれ変わる"の定義も出だしから驚かされたが、それらのシーンでは素人がやって良い事なのかと思う様なツッコミどころもある。細かな取り扱い説明書も無い箱に入った薬なんて自分なら絶対に使わないが、まるで知っているかの様に手際よく出来ちゃうのはイマイチ現実的では無いが、この映画で現実を語るなという事だろうか笑
また、"生まれ変わった"バージョンの「スー」はあれだけ"自分自身は1人だけだ"的な注意喚起をしていたにも関わらず、主人公の意思とは異なる様な動きをしており、お互いに目覚めてびっくり的な展開が多く、「君の名は」の様になっていた。そこら辺の描写ははっきりとは描かず、どこまで自我が効くのか疑問に思った。
そんなモヤっとした展開も、今までの世界観無視と言っても過言では無い展開で綺麗に吹き飛ばしてくれる。ラスト15分位になるとリアリティだとか怖さを吹き飛ばして無双状態に突入していく。そんな中で劇中のセリフである、「鼻の代わりにおっぱいが付いてれば良いのに」を見事なまでに伏線回収してくれる。このシーンには笑ってしまった。特徴的な建物や、主人公以外の人物らを気持ち悪く描いたり、食べ物をやたらと不快に描く様な演出など、どこか異質な作風は、デヴィッド・クローネンバーグを彷彿とさせる様に思える。と言ってもあそこまで不親切な映画では無く、先述の通り最高の映画体験が出来るのは間違い無い。こんな作品には滅多に出会えないだろう。
「個」とは、「記憶の連続性」と「同一の肉体」が作っている
元トップ人気女優エリザベスは、50歳を超え、容姿の衰えと、それによる仕事の減少から、ある新しい再生医療<サブスタンス>に手を出した。接種するや、エリザベスの背を破り脱皮するかの如く現れたのは若く美しい、“エリザベス”の上位互換“スー”。抜群のルックスと、エリザベスの経験を持つ新たなスターの登場に色めき立つテレビ業界。スーは一足飛びに、スターダムへと駆け上がる。一つの精神をシェアする存在であるエリザベスとスーは、それぞれの生命とコンディションを維持するために、一週毎に入れ替わらなければならないのだが、スーがタイムシェアリングのルールを破りはじめ―(公式サイトより)。
「アカデミー賞女優賞はマイキー・マディソン(「ANORA アノーラ」の主演)ではなく、デミ・ムーア―が獲るべきだった」という記事を読んで、ホラー映画は得意ではないが観に行った作品。実際、ホラー要素満載で、苦手な人は鑑賞を避けたほうがいい。寄りを多用したカメラワークとじゅくじゅく系の水気の多い「音」の演出が絶大な効果を発揮しており、飛び散る血飛沫や肉片の量はスプラッター級で、気持ち悪いシーンが目白押しである。
そういったホラー要素を置いておくと、本作の主題はアカデミー賞を中心としたハリウッドあるいは全世界(例えばKPOPなども含む)のエンタメ産業を未だに席巻する「ルッキズム」や「女性性の商品化」への痛烈な批判である。
女性の美しさ、男性の逞しさに惹かれる心性は、繁殖を使命とする動物的な本能に起因するのかもしれないが、わたしたちは子どもを産み終わったり子育てが終わったらすぐに死ぬ動物や植物ではなく人間なので、セックスアピールとなる美しさや逞しさを失った後のそれぞれの価値や役割、人生についての成熟した動物としての人間ならではの哲学が繰り広げられているかというと、全然そうはなっていない。それどころか、特に産業の中に組み込まれ、莫大な利益を生む「女性性」は、テレビプロデューサーが食い散らかした海老のように汚く消費されていく。
主人公であるエリザベス・スパークルが明らかに胡散臭い再生医療に手を伸ばすまでの序盤、デミ・ムーアはほとんど科白らしい科白を吐かない。鏡に写る表情とたるんだヌードで、消費尽くされた老齢の女優を見事に表現する。ちなみに本作のスパークルは50歳の設定だが、デミ・ムーアの実年齢は60を超えていたので、そこにも細かなメタファが込められていそうである。
分身であるスーが活躍し出した中盤、スパークルのターンで、ざっくりと胸元の開いた赤いドレスを着込み、何度も何度もメイクをやり直す場面は、女性性の商品化が個人のアイデンティティーを蝕んでいく様を描いた名シーンである。これで女優賞を獲れないのは、確かに納得がいかないだろう。
一番最初に誕生した時、スーは確かにスパークルの記憶を引き継いでいた。再生医療の手順を覚えていて色々と処置をしていたのがその証左である。だが、それぞれがそれぞれの世界を生きるようになると、当たり前だが、脳みそがふたつあるので、血液を交換するだけでは、記憶を引き継げない。自分が目覚めたときの状況から、片方がなにをしているのか類推するしかなく、その行き違いが致命的な決別を生む。
そしてクライマックスへと向かっていくが、徹底的にシリアステイストを保持した壮大なギャグが繰り広げられ、日本映画で「除霊フェス」として話題となった「来る」を凌駕する衝撃のラストが展開される。本作は142分と一般的な映画より20分ほど長く、また明らかにここで終わってもいいというプロットはあったので、きっとコラリー・ファルジャ監督はどうしてもここを描きたかったのだと思う。無分別に「若さ、美しさ」を讃え、結果的に「女性性の商品化」の原動力となっている衆愚を笑い飛ばす返り血である。
片方の記憶が残っていれば、あるいはそれぞれをもっと斟酌できたかもしれないと感じるが、見た目は毎日変わるが、記憶は引き継がれる「ビューティー・インサイド」でもやはり個が破壊されていった。結局のところ、「個」とは、「記憶の連続性」と「同一の肉体」の両方が作っているということなのだろう。
サブスタンスが提示する「REMEMBER, YOU ARE ONE. YOU CAN'T ESCAPE YOURSELF(忘れるな、あなたはひとりである。あなたはあなた自身であることからは逃れられない)」というメッセージの続きは、本当は「DON'T FOGET YOU MUST SWICH EVERY 7 DAYS(7日間で交代するのを忘れないように)」という使用上の注意ではない、という監督の含意がある。
永遠に美しく…
一方的な価値観で女性を定義してきたハリウッドが自己批判をし古い価値観を思いっきり嘲笑っているが、振り切りすぎて「阿鼻叫喚」なので要注意
"substance" とは「物質」とも、「薬物」とも訳せるが、今回は後者。
若さと美貌を保ちたいという欲望は多くの女性の願いなのであろう。ましてや、それを売り物にしている芸能人であれば尚更だろう。
その欲望が歪んだ形で表れることを描いた作品としては、1950年のビリー・ワイルダー監督作品『サンセット大通り (Sunset Boulevard)』などの古典的な作品も思い出されるし、「不老不死」のようなモチーフであれば、それこそ世界中の神話や古典の中に見出せる。
私自身はアンチ・アンチエージングな立場で、別に自然に任せればいいじゃないか、と思っている人間なのだが、世の中的には、メディアなどの刷り込みの結果、きっと強迫観念のように「若くあること」に固執し、重きをおく価値観を持った人々の方が一般的になのだと思う。
プロデューサーのハーヴェイが大晦日特番(日本なら紅白的な位置付けだろうか)が始まる前にホストを務める女優のことを「私が作り上げた傑作」という表現をしていたが、まさにこの特番の舞台に登場するのはこのようなメディアそのものが作り上げたもの。そしてそれは、メディアにある意味洗脳され、「こうあらねばならぬ」と思い込むようになった一般大衆の姿でもあるのだろう。
とは言え、外見に左右されずに中身を大事にしろ、というメッセージであれば、古くは『エレファントマン』、近年では『シェイプ・オブ・ウォーター』なども当てはまるだろう。
さらに、映画好きであれば「ハーヴェイ」という名前を聞けば、現在は投獄されている大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインを思い出さずにはいられないのではないか。自分の思い通りにするために多くの女優を蹂躙してきた人物の事件は、その後に世界中でMeToo運動を引き起こし、そこから数年遅れて日本の芸能界でも問題が表出するようになった。
型にはまった一方的な価値観で女性を定義してきたハリウッドが自己批判をしながら価値観の転換を迫り、古い価値観を思いっきり嘲笑っているのが本作なのかも知れない。
ただ、それが振り切りすぎて、後半は思った以上に「阿鼻叫喚」だったので、鑑賞は要注意。
もう2度と観たくないが、めちゃくちゃに観て良かったと思える作品。
かつての人気女優が若さを取り戻しスターダムに舞い戻るため違法薬に手...
彼女は今も1番きれい
まずところどころでちらほら笑い声が上がってたこと、ちょっと信じがたかったな(特にラストシーン)。全部おじさんの声だった。あんたたち、劇中に出てくるおじさんたちと同じ感覚ってことだけど大丈夫?
押し寄せるルッキズム、エイジズムの誹謗中傷、愛されたい想いの暴走…
たった1人今でもきれいだって言ってくれた人の言葉さえ信じられなくなるぐらい追いつめられてる姿は見ていて辛くて辛くてしょうがなかった。大丈夫だよエリザベス、きれいだよって抱きしめたくなる…
デミ・ムーア、絶対主演女優賞受賞すべきだった。アカデミー賞は自らをもってハリウッドは若さと美しさを求められる場所、と映画が皮肉った体質を肯定してしまったってわけね。
後半は予測不可能な長尺スプラッターホラー!
醜悪の権化
予告編ではおしゃれでポップな雰囲気だったけど
予告編の印象では、主演のデミムーアが若返って、嫌らしい老人たち(プロデューサーやスポンサー)を手玉に取るおしゃれ系で楽しい映画と思い込んでいましたが・・・
若さを手に入れるしっぺ返しは後で必ずあると思っていましたが、私なりの予測が全て吹き飛ぶほど想定以上の斜め上展開でした。
心に残る映画と言えばそうですね、心に来る映画でした。
映画館を出てから約1時間は引きずりました。
つまらない映画ではありません。むしろ凄く面白かったです。
この映画を劇場で体験出来てよかったと思います。だから評価5です。
しかしながら、私も含めてこんな展開を求めて観に来たわけではない観客が多かったようで、上映後は皆無言。もれなく青ざめた表情でお通夜状態のままシアターを後にしていました。
お腹いっぱいこれはすげぇ作品 120点
デミの勇気ある選択に拍手!
老いを受け入れる事ができず、人工的な手段で抗い続ける女性達(ハリウッドと言い換え可かもw)を痛烈に皮肉ったイソップ童話。
幾度かの美容整形と自分の子ども程の若い男性とお付き合いをし、自身も心身ともに老いに抗い続けたデミ・ムーアがこの役を演じた事に女優としての覚悟や何かしらの大きな意味を感じる事ができる。(警鐘みたいな・・・)
意図的な気持ち悪い描写が多かったが、TVの大食い選手権を観るのが苦手な自分にはデニス・クエイドが海老を食べる口元のアップが1番キツかった。
そう言えば、デニスが大好きで横取りした(んだっけ?)メグ・ライアンの近影を見てもかなり美容整形の後遺症が見られ残念に思ったような。
あの長い廊下はシャイニングのオマージュ?
唯一の救いはケミカルチックな電子音楽と「憐れみの3章」以来すきっ歯が可愛いマーガレット・クアリーのキレイな身体が見れたこと。(本物なのかな?)
あと冒頭のデミのレオタード姿も充分お綺麗だったけど、あれは補正してたとか?
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