サブスタンスのレビュー・感想・評価
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「欲望」ではなく「搾取」
本作はまだルッキズムのような言葉がないような年代が舞台になっている。イケおじのような高齢の男性を評価するような言葉はあるのだが、高齢の女性を評価をするような事は現代においてもまだ少ないように思う。
劇中ではデニス・クエイドはデミ・ムーアと同じくらいの年代だが圧倒的に地位的な差がある設定になっている。
エリザベスが新しい身体を手に入れて、過去を追体験するような設定はよくあるが、本作ではそれらの共有はされていないように思える。どちらかといえばエリザベスはスーの事を我が子のように接している。
エリザベスの欲求が満たされる瞬間があり、それを繰り返し体験したい欲求でドラッグの様に乱用するとなれば因果応報ともいうべきラストなのだろうが、どちらかといえば、スーが一方的に私欲を満たした結果のラストになっているので、エリザベスが終始報われていないように思える。
ルッキズムをするような奴は血祭りだと言わんばかりのラストだが、実際には血をぶっかけているだけで誰も報復されていないのは少しカタルシスに欠ける。
あのような状況であればトラウマくらいにはなるのかもしれないが。
オスカー受賞とはならなかったが、このようなジャンル物での演技が注目された事には大いに評価したいと思う。
SFやホラーなどのジャンルはどうしてもオスカーから敬遠されがちだが、これらのジャンルにこそ役者の演技が光るものが多くあるので今後も正しく評価されるよう期待したい。
追記
色々考察した結果、
あの時代に女性という性別の枠の中でエリザベスはスーになる事を望んだのではなく、選択の余地すらなかったということだろう。
エリザベスへの見返りがなく、スーにだけあるというのはまさに一方的な搾取であり、文字通りエリザベスはスーから安定剤を搾取される状況にあった。
物語の芯にあるのは「欲望」ではなく、「搾取」という点でエリザベスに救いが無いのは当然なのだろう。
怒涛のラストと臓物ぶちまけ
25-061
そこまでやるか (二回目)(三回目)
F1のブラピは年取っても相変わらずカッコ良かった。
役もカッコいい役が回ってくる。
一方、デミ・ムーアは、、。
この映画が言いたいことはこういうこともあるんだろうな。
(三回目鑑賞)
初めて観た時は、デミ・ムーアとマーガレット・クアリー、そして終盤の展開、そこまでやるかっていう驚き!
二回目は、そこまでやってるのに感服。血飛沫浴びてある意味気分爽快。
そして今週末観たい映画がなく、また血飛沫浴びてストレス発散するかってくらいの気持ちで三回目観に行ったら、泣けた。
エリザベスもスーもモンストロ・エリザベスも、哀しくて哀しくて哀しくて泣けた。
孤独、老いへの恐怖、人間の弱さ、がストレートに胸にくる。実によくできた正統なモンスター映画として評価されていいと思う。
シール3枚になりました。
5月30日
Walk of Fameの使い方が上手い。
あれだけでエリザベス・スパークルが今は忘れかけられているかつて一世を風靡したスターってのがよくわかる。
そして、、。
デミ・ムーアもマーガレット・クアリーもそこまでやるか、そこまで見せるかってくらい見せちゃってる。(クレジットにボディ・ダブルってあったから全部が全部本人じゃないんだろうけど)
セクシー女優さんじゃなくてこの2人がやってるからすごい。(セクシー女優さんたちを見下してるわけじゃないです。この2人がすごいってのを言いたいんです)
先週は「リー・ミラー」のケイト・ウィンスレット、そして今週はデミ・ムーア。ハリウッドの女優さんって流石だな。
結末は多分そうだろうなと思ってから、そこまでしなくても、そこまでするか、おぉーもっとやれもっとやれ、すんげぇな、って感じ。まさに阿鼻叫喚。
やっぱりお尻にくるんだな。
残酷な話ですけど、とても見応えがありました。
(サリー・カークランドとポーリナ・ポリズコバの「アンナ」みたいなかつてのスターと新人女優の話かと思っていた)
スーとパンプアップのDVDがあったら絶対買う。
(二回目)
一昨日「リー・ミラー」二回目、昨日「ファイナルレコニング」IMAXで二回目、そして今日「サブスタンス」二回目で全部ぶっとんだ。疲れた。
ファイナルレコニング以上に最初から最後まで画面に釘付け、休む暇なし。
疲れたけど元気出た。
いい映画、面白い映画は何度観ても面白いし、観終わった後の充実感で元気になりますね。
禁断の実に手を出してしまったら、、、。
モンスター映画らしく哀しい哀しい結末だけれど、、。
キャリーとシャイニングと諸星大二郎入ってますね、、。
やっぱりやりすぎ。
この映画、音楽と音がいいから、IMAXでやってほしい。
(モンストロ・エリザベスのところ、美しく哀しいメロディなんです。泣ける)
入場特典のサブスタンス接種証明のシール二枚になったけど、あれどうしたらいいんだろう。もっと他にお金使えばいいのに。
デミ・ムーアもトム・クルーズも頑張ってるなぁ。
同年代だから元気出た。
変幻自在のジャンルミックス
ぶん殴られたような感覚。
やはりエロ×ホラー×コメディの親和性の高さとその確実性を痛感した。
あのアップテンポの編集が小気味よく、引き付けられずっと見ていられる。
セリフを最小限に抑えつつ142分にも及ぶ映像作品を浴びせ続けられたような。
主人公の若さと美への渇望が我を忘れさせ、取り込まれていくというまあ既視感のあるストーリー・構成を見事に視覚的に映像で表現してみせた。心理的な葛藤もさることながら、自分自身の肉体が若くなりその代償として元の肉体が老化するなどというのではなく、人格を素にした個体が分裂するという設定がミソで、この点が大きく本作の魅力を格段に押し上げている。いわゆる「ドッペルゲンガー」とも異なる、フューチャーされるのはあくまでもルックス(若さと美貌)。地位や名誉はそれに付随する価値であり、より良いルックスこそが至上。
ラストに関しても、エンドはハッピーとバッドを問わずどちらにせよ上手く収めてくるのだろうなと思っていると大間違いだった。ここまで吹っ切れるとは。しかもそれが違和感なくある種のカタルシスとして笑いに昇華される心地良さ。ラストのラストでは始まりのマンホールにて消える始末。いや、上手いんかい!と笑 それはそれなりに上手くまとめてくるんかいという愛らしさ。決していやらしくない皮肉でキマッてる結末。
繰り返すように、エロもホラーもコメディもこれらの3要素は作り手のさじ加減でどれにも振り切ることができる。それはカットサイズ感だったりリアクションだったり音だったりと、いかようにもコロコロと緩急自在でジャンルを循環させられる。野球で例えるならキレキレのストレートとチェンジアップのみならずもう1球種決め球があればまあ一線級の投手になれる。ましてテンポがいいのだから間違いない。これは怪作快作。
恐れ入りました。
「かわいいは正義」の末路
「醜い顔はキモい」が前提の作りである点は、完全に昨今の「ルッキズムはダメ!」な流れに反する作りではある。
しかしながら、ホラー映画としては屈指の傑作だと思った。
「それ以上やりすぎたらこの後とんでもないことになるのでは?」と観る者に思わせるのが、この映画はメチャクチャ上手いと感じた。
映画を観る前は、歳をとって仕事を干された元人気女性タレントが若返ることで男社会にリベンジしていく話なのかと想像していたが、そうではなかったように思う。
歳をとっても若い頃のようにチヤホヤされたいという考えがいかに醜いかを、強烈に突きつけてくるような内容に感じた。
終盤はホラーゲームの『The Last of Us Part Ⅱ』にでてくるボス敵のことを思い出した。
チヤホヤする側にも問題あると思うが、そちら側は血飛沫を浴びる程度で済まされているのが個人的には物足りなかった(映像的なインパクトは絶大だったが)。
女性側が加齢による容姿の変化によって、時に社会的評価や機会に影響を受けることがあるのに対し、男側は年齢を重ねても、エビを汚く食い散らかしてビジュアルが見苦しいことになっても、それが直接的に社会的立場を揺るがすことはないという世の中の不均衡。
「株主の皆様」がジジイだらけに思わず失笑。
観ていると疲れる映画だが…
色々わかりみが過ぎる
グロい描写や、クライマックスのこれでもかという血しぶきは言わずもがなだけど
せっかく声をかけてくれた旧知の男性と飲みに行こうとおめかししたのに
結局出掛けられなくなる場面…!
心情がとても分かるし、何だか切なくなってしまいました
まだここで踏みとどまらないと、と思っているのにアッサリ破ってしまうのも、正直そうだろうなぁと…
いくらありのままで、と言っても
美容整形に走ってしまう人が何と多いことか
正直ぐったりしたけど、しかしデミはよくやったとしか言いようが無いです
予想外!
デミ・ムーアの体当たり役がすごい
いやー、物凄い映画だねぇ。これ。
そしてよくデミ・ムーアはこの役を受けましたね。自分自身とかぶらせているかのような役柄です。まさかの裸体までさらして体当たりの演技です。
鑑賞前までは、なぜアカデミーのメイクアップ賞受賞したか分からなかった。二人の入れ替わりや、美しさも分かるが受賞まででは無いから何かあるなと。
ラストのラストで、受賞理由が分かったよ。。。これあのグロテスクな造形に対しての賞賛よね。おぞましさが評価されたんだなと理解。この受賞の仕方ですぐ思ったのが、古き名作ホラー『ザ・フライ』に重なるところがありますね。あっちもラスト物凄い造形ですから。
しかしねぇ。あのラストの血しぶき以降は映画として必要だったかどうかですね。あのシーンから急にB級ホラー感になりチープに思えて違和感も感じました。個人的には、あのシーンなくて外に逃げる感じでも良かった気がしましたが。。。
まぁでも、物凄い映画観た気分です。最初から最後までのめり込んで鑑賞しました。ただ、アカデミー賞受賞してるからって、耐性無い人が見てしまったら悲惨ですねぇ。なんたって、肉片物凄いですから。。。
ラスト10分が…
化粧をし直す描写は女流監督ならではの視点
若さと美貌にこだわった怪奇小説を彷彿とさせる大人向け御伽話。
本作の冒頭と終盤に出てくる路面に埋め込まれた名前入りの星が本作の全てを物語っておりました。
「美」に固執し、「美」によって承認欲求を満たし、「美」によって身を滅ぼす女優の姿がそこにあります。
導入の二つに分裂する卵黄、
シンメトリーになったTV局の赤い廊下、
白が基調となった清潔感溢れるトイレ、
そしてゴミ箱に捨てられるサブスタンスのUSB、
開始僅か5分足らずで描かれるそのどれもが絵画の様に美しく、観る者の目を釘付けにしてきます。
特に塵ひとつすら感じさせない映像からはスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の様な清潔感すら感じてしまいました。
そんな中、デニス・クエイド演じるTVプロデューサーを下品に描く事に躊躇していない点に惚れました。
汚らしくエビを食べ、無節操に煙草を吹かす口元をアップにして、美の世界で生きている女性とは正反対の存在として描き、汚しい男性なのだという事を上手く印象付けていたと思います。
とにかく「美」にこだわる作品として映像は品を保っているので汚しい描写でもあまり不快感を感じない点が素晴らしく、デヴィッド・クローネンバーグの新作と言われても違和感を感じない肉質的なグロ描写でさえ「美しい」と感じてしまいました。
特にクライマックスでの「赤」の使い方は絶品!
監督の前作「REVENGE リベンジ」をご覧になっている方ならばお分かり頂けると思いますが、画面を染めていく「赤」に汚しさなどは一切なく、ひたすら息を呑むほどの迫力に圧倒されるばかりになってしまいます。
美しさとグロ、清潔感と下品、相反する価値観が巧みに混ざり合い「若さ」と「美しさ」を追求する御伽話。
生ぬるいチビッコ向けおとぎ話に飽き飽きした人には劇場入りをおすすめします。
余談ですが、クレジットにレイ・リオッタの名前があります。
どうやらクエイドの役を亡くなっていなければリオッタが演じる予定だったらしいです。
彼も品のない役には定評がありましたもんね♪
身につまされる、老いをポジティブに受け入れる重要性。
今年のアカデミー賞関連作品の中では地味な扱いなので、それほど期待していなかったが、めちゃめちゃ面白かった。
前情報を入れない派なので「デミ・ムーアが老いに抗って怪しいクスリ打って、マーガレット・クアリーと戦う?で、血で血を洗う争いで、えー、昨今の反エイジズムで言うと、デミ・ムーアが勝つんかな」くらいの知識で観てたら、落とし所がホラーで、思ってたのと全然違った。
心理面も絵面もあまりに凄惨で、夢だったら良かったのに、ってずっと思いながら見てた。
以下ネタバレ
「モンストロ・エリザスー」が出てきた時点で、ちょっと蛇足、やりすぎかな、と思ったけど、実はここからが痛烈風刺の本番だった。
中身は同じエリザベス。
そしてみんな大好きスーちゃんでもあるのに、「バケモノだ~!!」って言ってみんながパニックになって、異常なまでに攻撃してくるのが、人間の滑稽さと恐ろしさよ。
そして最後は老いも若きもモンスターも、細胞になって、塵と消える。
細胞レベルではみんな同じ。
若さや美に開放された安堵感さえ感じるラスト。
デミ・ムーアって、過去作何作品も観てるはずなんだけど、あまり印象がない。
なんか心に訴える演技がなかった。
今回は絶妙なタイミングでのこの役柄で、なんて自虐的。
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされて良かった。
一方、対を張るマーガレット・クアリーが本当に「アメリカの恋人」という存在に相応しく、若さ弾けて可愛さ全開。
ぷりっぷりのおっぱいとおしりは、いやらしい目線ではなく、女性でも見惚れちゃう美しさ。
三白眼だしすきっ歯なのに、それがセクシーなのよね。
老いていく上で、孤独や、自分を無価値だと思う強迫観念に立ち向かう、強いメンタルが必要、と思い知らされた。
敵は自分なのだ。
そのために、柔軟な考えや自己肯定感を養い、広い視野で、他人の評価ではなく自分軸で自己実現し、老いに準備していくことは、美しさを保とうとする努力と同じくらい大切なことだ。
食事シーンや手元などにものすごく近づいているカメラワークや、文字(フォント)と使い方が印象的で効果的。
クローズアップはなんとなく生々しいし怖い。
文字の無機質な感じもなんとなく怖い。
人格まで別にしたのが失敗
分裂した時、完全に別人格にしたのは失敗では?
あくまでもデミ・ムーア本人が若い肉体を手に入れたことにした方がテーマがはっきりする。声だけはデミ・ムーアのままにしておくとか。
そうやってデミ・ムーア側になにかの利益をあたえるべきだった。でないと何のためにわざわざこんなことをしたのかよくわからなくなってしまってる。
で、若返ったことを喜んでいるうちに分身側が暴走するという風にすべきだったのでは?
あとブラックコメディとして作ったんだろうけど、いまいち笑えなかった。こういう「酷すぎて笑える」作品は好みのはずなんだが。とにかくかわいそうなだけなんだよね、デミ・ムーアが。
唯一「ツァラトゥストラはかく語りき」がかかったところは笑った。それくらいかな。
ラストのスプラッター展開も、単に暴れてるだけで作品のテーマと関係ないのが惜しい。鬱陶しいプロデューサーたちにやり返すようにもっていけなかったのだろうか。血まみれになるくらいじゃ納得できん。
スゴい作品
予告は美の強調が多かったけど
…とにかくスゴい作品です。ここ数年では一番の怪作と言っていいと思います。駄作となるギリギリのところというか(笑)。デミムーアさんの出演がそこを押し留めていますが、
最後の30分は何を見せられているのか分からないカオスな作品です。ヒドい作品と言ってもいい(笑)
賛否両論が間違いなく起こります。
さて、デミムーアさん、お歳ですがとっても綺麗ですのに、何をそんなに悩まれるのか、怪しい薬に手を出してしまいます。
そしてお美しい「より良い自分」を手に入れるのですが、その子が暴走を始めます。しかし、それも自分なのですよね?
単純に7日間若返る薬という設定ではなく、もう一人の自分が生まれるところがミソです。
監督さん映画好きなのでしょうね。
造形はエレファントマンとかバスケットケース、ザフライ、を思い出しました。
演出においては、キャリーとかシャイニングとか、ボディスナッチャーとか…
モンスターが身だしなみを整えたり、観客の前で吊し上げをくいながら、「私よ」と叫んだりするのはまさにエレファントマン(笑)
「リベンジ」ではマッドマックスでしたし。
結局は、美を求めすぎた挙句、この世で最も醜い姿となるというルッキズムやエイジズムに対するアンチテーゼなのでしょうが、その描き方が美も醜も、本当に極端(笑)
サブスタンスは物体という意味もありますが、最後、人が物体になるというのもかけてるんでしょうか?
美は男性垂涎ですが、醜はもうほんとひどい。(笑)
ただ、老いた己に価値を感じられない、若い自分が活躍してる間ただ隠れるだけ、というのは何か考えさせられました。スーは仕事、エリザベスはあの男性とデートして、仲良くなったら、それぞれ充実した7日間で、末永く楽しかったかもね。
あと、今流行りのTV局のセクハラ問題もまさにタイムリー。
男優さん、多分監督さんに「世界一嫌な男を演じろ」とでも言われたのか、振り切ったセクハラ男やってます。
振り切ってるのは、主役のお二人も同様で、お二人のケンカも血まみれのバイオレンス全開でした。
血まみれ、ゴア、バイオレンスは、女性の監督さんが撮られたと言うのが本当に驚きですが、セクハラについては納得です。
男は女性からこういうふうに見られてるんだろなと。
反省致します。
また、デミムーアさんが良くこの脚本読んで引き受けたなと思いました。「ゴースト」のデミムーアさん出なかったら、単なるカルト映画で終わったかもしれません。
ツァラストラかく語りきで2001年とか、後半、もう監督さんの悪ノリもいいとこですが、
ここまでリミッターはずした作品も珍しいですし、
主演の3人にはここまでやったんだからなんか賞あげてくださいと言いたいです。(笑)
新時代のホラーと言えばそうですが、下地はやはり過去の映画にあるのが好感が持てます。
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