「ルッキズム、エイジズムの呪い」サブスタンス るか吉さんの映画レビュー(感想・評価)
ルッキズム、エイジズムの呪い
だいぶ時間が経ってしまったけど、忘れる前に。
グロとかホラー系はあまり観ないので、映像表現とかのところは詳しい方のレビューを読んでなるほどな〜と満足したので、
私は作品のテーマについて自分が感じたことを記録。
私が感じたのは、女性というフィルターを通してしか見てもらえないことの悔しさや、若さ・美しさにしか存在価値がないように扱われ続けることのしんどさ、
それを苦々しく思っているはずの自分自身がその価値観に染まりきってしまっているという悲哀で、
他の方のレビューとか見てると「尽きない欲望、浅はかさへの嘲笑」みたいな捉え方をしてる人が意外と多くて、そこが少し引っかかったというか自分の感想とは違うな〜と思った。
女性なら多かれ少なかれこの評価軸の目に晒されて嫌な気持ちになったことがあると思うし、エンタメ業界に生きてる人は男女関係なくより根深い問題だと思う。
あと、少し逸れるかもしれないけど、前に女性小説家の方が、「女性ならではの視点で」というよく言われがちな表現に対して苦言を呈していた話も思い出した。
女性だからじゃなくてその人の感性が光っていると言えばいいのに。
言っている本人は褒めているつもりでも、それが毒、呪いの言葉になっていることがあるし、自分も無意識にそういう発言してしまってるかもしれないとちょっと怖くなった…
女性としても、アイドルを推す身としても、身につまされる映画だった。
以下、ネタバレありで残しておきたいことを記録。
あの同級生について。
この人に対して「良い人」のように感じてるレビューを結構見かけたけれど、私は全くそうは思わなかったので、私の感想。
この同級生、エリザベスに対して言葉では「今でも世界一かわいい女の子だ」みたいに言ってたけど、
そのあと紙切れの端っこをちぎって連絡先を書いて、そのメモを泥水の水溜まりに落としても、気にすることなくそのままはいって渡すというのが、すごくモヤモヤする絶妙なシーンで、
本当に大切に思ってる人には絶対そんな渡し方しないであろうに、今のエリザベスはそんなこと気にとめる必要ない程度の存在と言われてるような、すごくぞんざいに扱われてるような感じがして、ダメージを受けるし、
それも分かった上で、唯一今の自分に「かわいい女の子」と言ってくれたあの同級生の言葉に縋ることしかできない虚しさと、
鏡の前で「こんな自分じゃダメだ…」と何度も何度もメイクを直して、一番認めてあげるべき自分自身が、自分を否定して貶めていくような様が本当にすごく苦しくてぶっ刺さってしまった。
「かわいい、美しい、(だから)みんな君のことが大好き」(うろ覚えなのでニュアンス)みたいな言葉が終盤に印象的に出てきたけど、一見褒め言葉のようだけど、そこにしか自分の価値はないように何十年も扱われ続けたエリザベスには、呪いの言葉だったし、
あのモンスターを生み出したのはエリザベス自身でもあり、観客である私たちでもあるっていうことだなと思った。
だからこそあのラストのぶっしゃーーーってシーンだよなって。
終盤はさすがに少し笑ってしまったけど、言いたいことはそういうことかなと私は思ったし、すごく喰らってしまった。
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