「C級ホラーとしか思えない。デミ・ムーアの正気を疑うレベル」サブスタンス LukeRacewalkerさんの映画レビュー(感想・評価)
C級ホラーとしか思えない。デミ・ムーアの正気を疑うレベル
トラウマ級の不必要なほどのグロテスクさ、それもタランティーノのような一種バカバカしい血糊ではなく、人間の暗黒面をこれでもかとほじくり返すような血飛沫にはほとほと辟易した。
まぁ血糊は良いとして、本当に嫌なものを観た、という印象が長く残る。
「嫌なもの」というのは、老い、特に女性の老いについてほじくり返していることだ。
もちろん人間の暗黒面を描くのも映画の一つの表現。しかしこれを、哀しみのうちに表すのか、あるいは偏執のうちに淫して表すのかで、観る者にとっては大きく印象が異なる。
人間、誰しも老いる。それは自然の摂理である。
老いを美化しようとも思わないが、殊更に老いへの憎しみや恐怖を掘り下げなくても、老いというものを表現できるはずだ。このシナリオにはそんな深みもアイロニーも哀しみもない。ひたすらの偏執である。
そして、デミ・ムーアがなぜこんな三流映画に出演したのか心から理解に苦しむ。いや、もちろん鑑賞する者として『ゴースト/ニューヨークの幻』の美しいイメージを壊されたくないというわけではないけれど、「女優が女優として生き、老いること」の一つの答えとしては、この作品はあまりに無惨でセンスがない。
演技が絶賛されたというが、そのあたりがおよそアングロサクソンと私たちの感性の違いかもしれない。
こんなものでゴールデングローブ賞で最優秀女優賞を獲り、オスカーでも『アノーラ』のマイキー・マディソンと最優秀女優賞を争ったなんて耳を疑う。『アノーラ』のほうが百倍も良い。
この作品の唯一の収穫は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でマンソン一家のメンバー"プッシーキャット"を演じたマーガレット・クアリーを存分に観れたことくらいだ。
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