「最悪(褒め言葉)な話を最高の演出で」サブスタンス sugsyuさんの映画レビュー(感想・評価)
最悪(褒め言葉)な話を最高の演出で
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スプラッターなのにスタイリッシュ、という点では「サスペリア」直系ホラー。例の正気を疑うほど真っ赤な長廊下とか、まんまではある。デミ・ムーアが文字通り身体を張り過ぎた熱演なのだが、それが却って(正しい意味での)役不足になっている感もあり。終盤の分身との対決シーンなど、老婆の特殊メイクをデミ・ムーアの女優力が貫通していて、「すべてを若い分身に奪われた哀れな存在」にはちょっと見えない。あやうく素手ゴロで勝ってしまうないかと思うようなパワフルさと貫禄である。最後のハチャメチャ血みどろな怪物オンステージは概ね期待どおりだったのだが、カタルシスの面ではもう一段ハメを外しても良かったと思う。クソみたいなプロデューサーもスポンサーも皆殺しにして、今までの脆弱な美の基準と決別、最強こそがもっとも美しい!と覚醒して摩天楼を疾駆するモンストロ・エリザの雄姿が見たかった…。真面目な話、美を消費してる側にその牙が届かないならテーマ的に片手落ちではないか。
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