サブスタンスのレビュー・感想・評価
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ボディホラーとして自分史上No.2
若さと美に執着する元人気女優が、再生医療“サブスタンス”に手を出して"分身"を産む‥。女性なら興味深々。
主演がデミムーア。かつての輝きは凄かった。早く観たい!こりゃ女性客が多くなりそう‥。
と思っていたところ、ラッキーなことに試写会で鑑賞。いやはや、放心状態。
グロテスクな描写やブラックユーモアが満載で、ホラー好きの男性にも強く刺さると思います。
ちなみに全裸シーンもたくさん出てくるけど、全くエロくはない。エログロの"エロ"を期待してはいけません。
全体的に視覚的なテンポ、色使いがいい。
特にサブスタンスキットをわざわざ歩いて所定の場所に取りに行く儀式的な場面。黄色いコートが印象的。かえって目立つだろ⁈って(笑)
あと"分身"のスー。あっという間に隠し部屋を作っちゃって、DIYの手際の良さ!
とにかくデミムーアの熱演は圧巻で、拍手を送りたい。還暦でフルヌードも辞さない女優魂。
元々好きでも嫌いでもなかったけど、大好きになりました。
そしてクライマックスの怒涛の展開は圧倒的。国際大会で本気出した日本チームの花火を彷彿しました。
昨今の女性上納問題や、過剰なルッキズム社会への痛烈な風刺も感じさせるが、説教臭さはなく、あくまで映像と物語のパワーで魅せるのが本作の魅力。
気持ち悪さはあるものの、目を背けたくなるような不快感は少なく、むしろどんどん先が見たくなる中毒性。
私の中で2025年を代表する一本になりそう。
そしてボディホラーとして『ザ・フライ』に次ぐNo.2です。
元トップ女優のエリザベス(デミ・ムーア)フィットネス番組だけ50歳...
ビビりの自分が振り切れちゃって、もはや笑うしかないレベル
エクスプロイテーション映画の体裁をとり、視覚/聴覚的におぞましさと嫌悪感をとことん煽りながら、返す刀で問題提起も突きつけてくるフェミニスト・ボディホラーの怪作。中盤以降は露悪的に振り切った描写のつるべ打ちなので、見る人を選ぶ作品でもある。いわば、市販の「大衆薬」を装いながら実は処方箋必須の「劇薬」といったところか。
ドラマの根幹を成すモチーフは、『ジキル博士とハイド氏』のように「自己の理想を追い求めたあげくに破滅を迎える」といった古典的なものだ。また、その「理想」とは「若さ=美しさへのあこがれ」という、これまた『ドリアン・グレイの肖像』『永遠に美しく…』など古今の作品でおなじみのネタでもある。本作が斬新なのは、その「見せ方」だ。
50歳を迎えた主人公(撮影当時59歳のデミ・ムーアが演じている)は、7日ごとに今の自分と交代でかつての美ボディが取り戻せると聞きつけ、怪しげなクスリを注射。すると、たちまち自身の身体からぬるっと分裂して「若い自分」が爆誕(このシーンは前半最大の見どころ)するのだが、これがハイド氏以上にまったくの赤の他人(マーガレット・クアリー)なのがユニーク。このあたり一連のヌード描写がちっともエロティックじゃないのもいい。
で、次第にふたりの「自分」は互いを敵視し合うようになり、破綻への道を転げ落ちてゆく。『パーフェクト・ブルー』『ブラック・スワン』の主人公が現実と虚構のはざまで錯乱していったように。
ここで本作が際立っているのは、男社会が女性に対して押しつけてくる「若さは“美”であり、老いは“醜”である」という強迫観念を、極度にデフォルメされたビジュアルとして具現化してみせたところにある。
たとえば本作に出てくる男性は、総じて中高年のキモいエロおやじとして戯画的に点描される。また主人公たちの身体が変容する一連のシーンや、料理を作ったり食べたりする描写が、想像の斜め上をいくエグさだ。しかもソレを執拗に重ねてくる。ゾワッとするのを通り越し、もはや半泣きで笑っちゃうしかないレベルだ。
そして本作は、さまざまな映画の記憶を呼び覚ましてくれる作品でもある。
たとえば——『シャイニング』の老婆、『2001年宇宙の旅』の白い室内とツァラトゥストラはかく語りき、『ザ・フライ』の歯と爪、『エレファント・マン』の異形、『めまい』のフェチな男性目線、『キャリー』の血みどろと『スタンド・バイ・ミー』のブルーベリーパイ、『エイリアン2』『MEN 同じ顔の男たち』の異種誕生。そして…『ボーは恐れている』の長過ぎる上映時間(笑)。
今日までこうした映画の「予防接種」を受けてきたから、ビビりな自分でも目を逸らさず、奇想天外なラストのオチまで完走できたのかも。そう思うと、常日頃の「ワクチン接種」のありがたみが改めて身に沁みるのだった…。
以上、試写会にて鑑賞。
自分以外は自分じゃないよね
めっちゃくちゃ面白かった!
彼女の美と名声への執着は、もはやホラー時々コメディ。
自分が生み出した自分とはいえ、自分以外は全員他人よ。どちらも自分と言われても、私以外は他人!
当初の目的はあの頃の私よもう一度、でも新品の私は私じゃない。
エリザベスが世間の囁き声と、新品の自分に振り回される様は滑稽でもあるけど悲しくもなった。
あなた今でも充分キレイじゃないのー。
歳を重ねたことで出た若い頃には出せなかった色気みたいもんがあるはずだけど、やってる仕事が若い時から変わらんから変化を受け入れ辛いんだろな。
対してヘルシーなエロさで周りをメロメロにするスー。エリザベスが自らより良い私を生み出したとはいえ、体が分かれた時点でもう自分以外の誰かだよな。
その上中身は自分で上昇志向が強くて勝ち気ときたら、自分の最強のライバルを自分で生み出してしまったってこと。
そりゃしんどさも半端ないよな。
これ以上の狂気はないと思われる状況からも、どんどん狂っていってどこが果てかわからなくなる展開に、結構なグロながらも目が離せず。
途中からもう、気が済むまでおやりなさいの気持ちで観てしまった。笑
どんな美女でも老いからは逃れられないんだなという学びもありました。
謎の爽快感もあったので、スカッとしたい方におすすめ。
予想をはるかに超えてくる!
《試写会にて鑑賞》
最高に面白すぎる!
アカデミー賞関係で1番好きな作品です。
とても刺さりました。
デミ・ムーアの突っ走る演技が見事。
血まみれ&グロテスクな描写がgood!
ホラー好きとしては大満足。
カオスな世界を存分に味わいました。
“加齢”というテーマは
まだまだ女性に影響する世界。
見た目だけの判断ではなく
個人個人を尊重できる
優しい世界が訪れますように…。
女性の容姿を重視している男性視点の中、
女性の生きづらさを伝えている風刺描写に
ぐっとくるものがありラストは唸りました。
歳をとることは悪いことではなく
何を受け入れるかで見え方が変わっていき
自分らしく生きていけるのだと
前向きなメッセージを受け取れました。
接種証明書のステッカー嬉しかったです🧪
本日はありがとうございました。
阿鼻叫喚&茫然自失ホラー
まずはとにかく、主役のデミ・ムーアとマーガレット・クアリ―の、文字通り体を張った演技に拍手。デミは『素顔のままで』でストリッパー役を演じていたが、その頃から体型が変わってないのにも驚く。老いゆく者への居場所が無くなるというのはどの業界でもあるが、ショービズ界ほど風当たりがきついものはない。デミが演じたエリザベスはジェーン・フォンダがモデルとなっているらしいが、確かに彼女の経歴を辿ると納得。
そんなエリザベスのアルターエゴとなるマーガレット扮するスー。同一人物であるはずなのに次第にそのバランスが崩れて…という展開は楳図かずおの漫画にもあった気がするが、本作も楳図漫画ばりにトンデモ展開になっていく。美しさエロさはもちろん、笑いも誘発するデミとマーガレットのヌードを含め、色んな意味でここまでやるかと阿鼻叫喚、茫然自失になる。加えて、出てくる男達全員がゲス。現実社会も男性優位であり、それに伴うルッキズム・エイジズムへの風刺は女性監督ならではの視点だろう。
余談だが、エンドクレジットで故レイ・リオッタへの謝辞があったが、元々はデニス・クエイドが演じたプロデューサーのハーヴェイ(この役名の由来も言わずもがなだ)にキャスティングされていたらしい。あのゲスいPをリオッタが演じてたらどうなっていたか、それはそれで観てみたかった。
ホラーでありながらコメディ。カオス。
ネタバレは含みません。安心してください。
海外(カナダ)で日本公開よりも半年ほど前に鑑賞。
ボディホラー(異常な肉体変化等がある)映画です。また、日本でのR指定は現時点では分かりませんが、猥褻なシーンが多くあります。家族と一緒に見るのは避けましょう。また、以上の理由とストーリーからデートにはおすすめできません。
全体的にホラー度は高くはないと感じました。逆にホラーのあの重たい空気感が常にある方が好きな方にとっては嫌かもしれません。怖いこと、気持ち悪いことが起きながら笑えるシーンを挟んできます。あまりホラーが得意ではない私にとってはちょうど良かったです。
ホラーに振り切ってない分、メッセージが伝わりやすく、考えさせられる映画になっているように感じました。
以下その他まとめ
テーマ:
「クローン」、「美、若さ、名声への執着」
「クローン技術」をテーマにした作品はよくあるが、この作品のクローンは、全く同じ見た目ではない。元より若く、美しい。
「美、若さ、名声への執着」も珍しいテーマではないがクローンと掛け合わさることで相乗効果が生まれていた。
キャスティング:
完璧
主演のデミ・ムーアをはじめ、クローンのマーガレット・クアリーなどキャスティングに違和感を感じることは一切なかった。
ショット:
個性的なイメージ
ロングショットは少なかったように思うが、カメラが激しく動くショットやスローモーション、さまざまな映画を彷彿させるようなショットは多くあった。
結論
気になったら観る価値あり。
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