「コッポラ版合衆国興亡記」メガロポリス Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
コッポラ版合衆国興亡記
登場人物のカエサルにせよ、キケロにせよ、「巨大都市」というと、結局、なんでローマ帝国に西洋人の発想は向かってしまうのだろうか?まぁ、日本人が権力闘争をすぐに戦国に例えたがるのと一緒か……。
権力者が私利私欲に走り、酒池肉林の享楽に耽っている社会の堕落と崩壊の様子をローマ帝国の滅亡に準えて描きつつ、何とか一筋の希望を見出そうとするコッポラの祈りと願望が見える作品。
富裕層が全てを手に入れ、貧困層は住む場所も含めて全てを奪い取られる社会。そんな国をもう一度造り変えようとする人物を「建築家」という象徴で描くのだが、そこで重視されるのが「時」という概念。画家でも詩人でも音楽家でも、芸術家は「美しい一瞬」を切り取り、絵や詩、曲などとして永遠に残してきた。移ろいゆく人々の幸せの瞬間を街の建築物の中に留めることができれば、幸せに暮らすことができるのかも知れない。
格差社会とは対極にある桃源郷を描く作品なのだが、コッポラが脚本を構想したのが1980年代だそうで、そのときに描いた絵コンテをそのまま映像化したのか、と思えるほど画面の絵作りが非常にノスタルジックに見えてしまうのが最後まで気になった。
それにしても、近年のハリウッド作品ではなぜ馬鹿キャラが必ず「国を偉大に!」と言うのだろうか…🤣
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