ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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虚無感キラキラ✨✨ハーモニー・コリンみたい
ショーン・ベイカー作品は、アメリカのキラキラした高揚感と底なしの虚無感のバランス描写が絶妙だと思う。
アニーとイヴァンが過ごした1週間は、資本主義ってサイコー!ハッピー!な躁状態。反面ふたりの内面はきっとサイコーじゃない。虚無感がひどいからドラッグやセックスで不安を掻き消している。
お金って、イヴァンみたいに持ちすぎても頭がおかしくなるし、アニーみたいに持たなすぎても選択肢が少なくなる。持ちすぎた人と持たない人で変になっているのが今のキラキラ&虚無国家アメリカ。
キラキラ&虚無国家アメリカにいると資本主義の魔法から目が醒めたくなくなって、お金、ドラッグ、アルコール、セックス、ジャンクフードなどに依存しないと生きられないのかもしれない。だから、お金を持ちすぎたイヴァンと持たないアニーは、資本家であれ労働者であれ、何かしらの依存症を抱えたアメリカ国民の象徴なのかもと思ってしまいました。
ラスト、魔法が切れたアニーはまた逞しくキラキラ&虚無国家アメリカで生きていけます。イゴールの様に分かってくれる人は少なからずいるのだから。
ショーン・ベイカーは、アメリカの荒廃を描いていたハーモニー・コリンの感性とすごく似ていますよね。そういえば、ふたりとも同世代だし同じ大学なのかあ。日本の次世代の映画監督にもふたりの様な感性の人が欲しいですね。
思ってた感じとちょっと違ったかも?
前から気になってはいたがアカデミー賞受賞したので見に行ってみた。
もともと姉と見に行くかーってなってたけど、1人で見に行って良かった。冒頭40分ぐらいはしょっちゅうエッチをしている描写が描かれていて驚いた。
この映画では終始、誰かがお互いを罵倒し合っており見ていて気持ちが悪かった。またボンボンのクソガキがマジでクソガキすぎて、イライラ。せっかく主人公と結婚したのに、1人でゲームをしたり、言動が幼稚だったり。アニーが可哀想。
まぁ「シンデレラストーリーではなく、現実」っていう売り文句やったから、マジでそのまんまっていう話でした。予告だけみてまぁまぁ面白そうだなぁってなってたけど、実際はそんなにって感じ。なんでこの作品がアカデミー作品賞を受賞したのかが分からぬ。勉強不足なので、この映画のスゴさわかった方は教えてください。主演女優の演技は良かったです。
最後のオチがオチない...
言ってしまえばセックスワーカーの女性が金持ちのボンボンの気まぐれを真に受けて本気になって捨てられる。ただそれだけの作品。
たしかに前半の部分の色彩とか、結婚直後の色使いとか印象的な部分はあるものの、ストーリー全体として見たときに特に何も起こらず終わってしまう。
アンチシンデレラはいいけど、にしても何かしらないと映画としてはやり切れない思いになった。
結構笑えた。。よ?ね?!
やっと観たよアノーラ。
ショーン・ベイカー作品なので一応は観るリストに入れてはいたが、フライヤーのビジュアルから想像していたのは、アメリカンドリーム的なお話しかと思っていたので、やや気が進まずにいて。。
未だノーアザーランドの余韻冷めやらぬ状態で、気持ちが追いつかなかった。
(ノーアザーランド、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞しましたね。
これを機に多くの方が目にしますように)
だけどみなさん高評価。
監督も先日来日しましたね♪
パルムドール、こないだのアカデミー賞も多数受賞でしたから、やっぱり行っとくかって事でレイトショー。
私がよく行く家から近くの劇場は、いわゆるシネコンなので、アカデミー賞とかあんまり関係ないのかな?
もうレイトショーのみの上映(°▽°)
(シャラメのディランも1日1回。
春休みになたよー通常通りワンオペ。
行けそうにない( ̄∇ ̄)
で、予想に反して結構笑っちゃったんですけど、だっ!大丈夫ですか?!
たまたまお隣さんが外国の方で、その方と笑いのツボが同じで安心したんですけど、だっ!大丈夫ですか?!
裸ん坊イヴァンのでんぐり返しや、強制終了となったあの時のイヴァンのパンツのシルエット、教会から抜け出すトロスや、彼との電話中からの、みんな勢揃いでアニー拘束の一連のシーンとかねw
屈強な男2人!
ロシア人の用心棒(ギャング)って怖そうだから、イゴール(ユーリー・ボリソワ)とガルニク(ヴァチェ・トヴマシアン)が到着し、イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)も逃げて行った後、トロス(カレン・カラグリアン)の命令でアニーちゃん(マイキー・マディソン)が酷い目に遭うんじゃないかと心配でしたが、逆にあんな事にw
アニーの名セリフからのパパんの爆笑には、こちらもつられ笑い。
2人でゲラゲラやっちゃったw
そんな気が合う私達だったが、でもよ??
私は今日開始30分前、ギリにチケット取ったわけ。
その時点での予約は後ろ側2席だけだったの。
ヨシヨシ♪余裕でいつもの真ん中列真ん中席取って、伸び伸び鑑賞!のはずが。。
入ってびっくりその外人さんが隣ら〜(°▽°)
やっぱり気ぃ合う〜٩( 'ω' )و
いや!!ちがうちがう!!!
何でわざわざ隣りを取るんーー!!
さすが自由の国の人。
わびさびとかナイ。
ワレが見たい席で見るんじゃい。
2リットルコーラ持参で着席してきた!
コラッ!
ソソソーっと2つ移動しましたm(__)m
で、なんだっけ?そうそうアノーラ。
アニーって呼べなのね、了解です!
とにかくね、アニーを演じたマイキーマディソンちゃんがキュートでしたね。
感情をむき出しにするシーンの台詞回しもお見事だったし、豪快な大立ち回り、暴れっぷりも本気!
そして、文字通り身体を張ったシーンは女のワタクシから見てもセクシーで綺麗で魅力的で惚れ惚れバディでした。
この役が、白人のブロンズの、ボン!キュッ!ボン!のグラマラスなアメリカンじゃなかったのも個人的に受け入れやすかったです。
いや、勿論素晴らしいプロポーションなんですけども、いやらしく生々しく見えなかったのも彼女だからだったと思います。
(エマちゃんもそうだけど、あまり肉々しくないのが見やすいわ)
時折りアニーがアジア人っぽく見えたりしました。
で、バカ息子!これぞバカ息子!のイヴァンを演じたマーク・エイデルシュテイン君。
もうバカ息子過ぎてそこだけに目が行きがちで、終始呆れちゃうんだけど、イヤイヤ演技力高い!!!
(個人的には超可愛かったわ〜)
ラリってる時、泥酔してる時の何ともいえない目の演技、表情仕草も巧かった。
ティーンネイジャーでもあるまいし、バカ騒ぎのパーティやホテルでもやりたい放題。
親の金使いまくる。
全くもう。。呆れるのも通り越した感情になったが、実際の(一部の)セレブジュニア達のリアルを見せられているようで、大きなため息が。。
マークお見事!
シラフでゲームに夢中な時の様子なんて、何を言っても聞いちゃいねー!
うちの子を見ているようだったw
まだまだ"ガキ"のイヴァンがアニーに夢中になっていくのもよくわかりましたね。
そして、アニーはイヴァンのお金目当て、イヴァンはアニーとのセックス三昧で、お互いオイシイ7日間を過ごすだけのはずが。。。
結婚しちゃったからさぁ大変!!!
デーデン!デーデン!デデン!!!
ロシアからやってくるぞ父ちゃん&鉄仮面母ちゃん!!!
前半の裸祭りから一転。
後半は厳しい現実が!
これがリアル?!?!
前半のドタバタ劇やセックスシーンに目が行きがちですが、そんな中でもしっかりとアノーラの人となり、気持ちの変化が描かれているのが素晴らしい。
そして、イヴァン家の側だったイゴールの、アニーに対する心境の変化もさりげなく見せてくるのがニクい演出。
所々でアニーに対して優しいセリフや行動をとっていましたね。
アニーにサイコパス呼ばわりされていて不憫でしたw
人種・職業差別、移民問題、貧富の差など、社会問題の闇に切り込みながらも、重くなり過ぎていないのは、アニーが自分の意見を誰にでもバンバン言い放っているから爽快で、階級差別に抗う姿が深刻になり過ぎていないからだと思った。
ベイカー監督は、いつも弱者やマイノリティの側にいる人々の人生を切り取って見せてくれるが、単に可哀想な人達という見せ方で終わらせず、美化もしないが見下したりもしない。
そちら側の人達にも優しく寄り添う。
本作も、セックスワーカーを生業として生きるアノーラを、生き生きと、魅力的に描いていた。
きっとどんな人達(職業)の事もリスペクトしている方なのだろうと感じた。
そして、そんな彼女らとは真逆の地位を手にしているロシアの大富豪一族。
お金も地位もある成功者なのだろう。
しかしあの人達は、人として大切なものを何一つ持っていなかったという皮肉。
そんな奴らにやっぱり負けてしまうアニーが可哀想だった。
プロポーズされた時、何度も何度も確認していたアニー。
幸せを掴みたかった。
今の生活から抜け出せるかもと僅かに夢見た希望もやっぱり砕け散ってしまった。
一生懸命に頑張っていたアニー。
悲しい経験にはなってしまったけど、イゴールがいてくれて良かった。
イゴールが人として普通で、側にいてくれて良かった。
イゴールまじいい奴!
さすがおばあちゃんっ子!
大人の余裕も感じたが、昨日で30歳か〜い!
かなり歳下だわ(°▽°)
最終的には、人として豊かなのはアニーの方であって、本当の幸せを掴むのはアニーの方だと信じたいし、そうである事を望む。
あの指輪も売っぱらっちゃいな!
幸せになって欲しい。
私はアニーを応援する。
外は雪が降っている。
車のワイパーの音だけが規則的に聞こえてくる。
そこからあの静かなエンドロールに続く渋さよ!
ここでいちいち野暮なセリフを言わせないのが良い映画!
観客は、これだけで、充分に、アニーとイゴールの気持ちに寄り添う事ができるのです。
余韻を残す素晴らしいエンディング。
すっごい好きなエンディング!!
この10分足らずのシーンだけで、観る価値がある作品でした。
オンナを武器に生きる女の子の話
ラストのシーンがたまらなく胸が苦しくなった。
自分がこうすればきっとまたバカな男は全員欲に負けて「レイプ」してくるはず、、、を裏切られ。
心の底では気づいていたけど目を背けていたこと、自分を大切にしてあげられてなかったことを受容した瞬間だったのかな、と勝手に想像。
作中終始強がってかっこいいオンナを演じていたアノーラの涙にグッときました。イゴールと一緒に幸せになれよな。
序盤〜中盤までのシンデレラストーリー(笑)も、危うさしかないというか、死亡フラグが立ちまくってるというか。笑
ハラハラしてみてて楽しく、アニーとお目付役の男たちのやりとりも痛快。笑 普通に笑ってしまった。観ていて飽きが来ず、面白かった〜
セックスの描写が多すぎてぶったまげましたが、これもまたアメリカンということで、いい勉強になりました。笑
付き合いたてのカップルで観にきたら気まずそうno1
どう考えてもイゴール一択だと思いました
結局決め手は⋯⋯
愛するって難しいのね。
何を愛していたのかって話やね。
文字通りハダカで向き合うのはなかなか出来ないやね。
イゴールのように気持ちに真っ直ぐ向かえる人は羨ましいね。
楽しくて切なくて最後は心もカラダも『ぎゅ〜』ってさせられた作品です。
みんな自分のことだけ
アカデミーノミネート時点で気になっていた本作
ストリッパーものということで、かのバーホーベン巨匠の珍作の再来を期待して鑑賞(笑)
賛否両論の本作だが、面白いのは登場人物たちが自分のことしか考えていないところ
バカ息子のイヴァンは遊ぶことしか考えておらず、都合が悪くなれば逃げ出す、取り巻きのおっさんたちもボスであるイヴァンの両親に媚を売ることばかり考えている
金持ちの両親は息子を心配しているように見えるが、事業のことを気にしているだけ、アノーラも現実を目の当たりにするとヒステリーを起こす
中盤から何気なく登場したイゴールだけは特に目的もなく同行して、最後までアノーラを気遣うので、唯一の救いになっている
きっとアノーラは結婚したとしても、幸せになれなかったはず
結局みんな自分に都合の良いように考えて生きているうちに幸せになったり、不幸になったりする
人生に浮き沈みはある
そんな当たり前のことを再認識する映画でした
あと、マイキー・マディソンは最高でした
何が最高かは書かないですが、最高でした笑
祭りのあとの虚しさ
本作は新聞の映画欄でもお勧めしていたけど、セックスワーカーの話ですから観るのをためらいました。アカデミー賞を取ったなら女性客も居るだろうとようやく鑑賞です。
職業に貴賤は無いという考えはありますが、私はそれは建前だと思います。もちろん絶対的な価値観ではないから、何が”貴”で何が”賤”か、あるいはすべて同等であると思うかは人それぞれです。大好きな事を仕事に出来て幸せだと言うセックスワーカーはほとんどいないと思いますので、それを選んだ或いは選ばざるを得なかった背景の事は考えてしまいます。
その立場での観る前の予想では、社会の底辺に居る女の子がしたたかに生きる姿を描いているのかな、でしたが。
アノーラは引き締まったヒップがきれいでスタイルが良く魅力的ですが、表情は曇っていることが多くて、疲れた感じに見えました。イヴァンを大金持ちと知ってパーティーや旅行でははしゃぎまくったのがピークで、その後のプロポーズは幸せの絶頂のはずなのに、それより底辺から抜け出せる嬉しさの方が強いように見えました。
イヴァンが逃げ出した時点で互いに愛情のかけらも無いと分かったのに、それでも妻の座にしがみ付こうとする姿は哀れでしか無かったです。
屋敷で大暴れしたのも、知人の店でなりふり構わず迷惑をかけたのも、逞しいとかパワフルだとか言うより、醜態を晒したとしか思えませんでした。あと、アメリカ人の言葉の汚さには本当にうんざり。
イヴァンのクズっぷりは最高でしたが、両親はあそこまでイヤな人物にしなくても良かったのに。この結婚には当然反対するのが親心ですから。
イゴールの真心に触れて初めてアノーラが嗚咽したのは良かったです。ただ、こういう展開こそ、まさに日本のドラマや映画の得意分野ですから、私には新味は無いです。
それでも、この場面の二人の演技は素敵だったし、演出もすごくお洒落だなと思います。
好き嫌いがわかれるかな、、
作品の予備知識はセックスワーカーが主人公だというぐらい、プリティーウーマンの現代版かな、、と思いながら鑑賞。結果全然違いました(笑)役者さんの演技がとてもよかった。とてもエネルギッシュな作品ですね。
同じ女性としてあの年齢、あんな環境であれば金持ちバカ男に騙されてしまうのも理解できます。自分を大切にする事を誰か教えてあげる人がでてこないのかな、、と切なく思っていましたが、最後は気持ちを理解して寄り添ってくれている人がいて少しほっとした気分でした。
セックスワーカーの仕事が無くなることが不可能であるならば、彼女達が守られるルール作りが必要ですね。
最高→最高?(追記しました)
【一回目鑑賞後】2025/3/14
最高に好きです
搾取される側への寄り添いを感じられる。
感覚的に大好きな作品です
物語全体がどうとか、ここのシーンが気になるとか、結末がどうとか
そういった細かいことはされておいて、
映像を見ている間に感じる想いに、私がエンタメに求めているものに限りなく近いものがありました。
観終わってからパンフレットを読んだり、YouTubeなどの考察を拝見していると、観ているときに感じたこと以上に考えられる余白があり、それがまた良い。
私が好む映画は好き嫌いが大きく別れるものが多いです。
考えたい人、考えることに前向きな人にはいい映画なのではないでしょうか。
もっと言語化するためにもう一度観てきます
【二回目鑑賞後】2025/3/18
二回目観てきました
一回目ほど、手放しに最高!とは言えなくなりました
アノーラの置かれている状況や、受けた扱いを考えると、相応の報い(善悪どちらも)があったのだろうか、という観点で考えると……。
最後のシーン、一回目鑑賞時は「やっと泣くことができたんだ」と、どちらかというと良い方向の感情を抱いたんです。
家に帰れば妹がいて、アノーラには一人で泣ける空間が用意されていない。
昨夜豪邸のベッドで一人、見ようによっては泣ける環境は整っていた。けれど、きっとアノーラは泣いていない。
ヴァーニャがいなくなってから、きっとアノーラは一度も涙を流していない。
一人では泣けなくて、イゴールの前だったから泣けたんだと思いました。
また、イゴールにキスされそうになると明確に避けていたのが良い意味でとても気になったシーンでした。
二回目鑑賞時は上記を踏まえて観ていて、最後のシーン
急にビンタをして、泣き崩れるアノーラは、優しく抱きしめるイゴールの腕を受け入れて涙を流します。
アノーラが望まずとも涙を流す行為に至るためには、その直前にセラピーのような時間があったのではないかと思います。
車中の行為の中のどこかに。
少し遡ると、瞬間的だとしても、ほんの一瞬でも、想い合った人と結婚してパートナーになる。なった。
パートナーになって得た、当たり前にあるべき権利を奪われたことへの抵抗、混乱、怒り、落胆を経て、最後に悲哀にたどり着いたのかなと。
抵抗:夫婦生活を手離したくない
混乱:ヴァーニャの逃亡が理解できない
怒り:指輪、権利を奪われようとしてる
落胆:ヴァーニャにはもう自分への想いがない
悲哀:私は酷く傷付いていた
悲哀において、今回の結婚の件のみではなく、今までの自分の人生において受けてきた傷、気付いていなかった傷にも気付いてしまったのかなと感じられ、
一度目よりも、観ていてハッピーな感情が薄く感じられたのかもしれません。
鑑賞一度目は泣くことができて良かったね、という想いが強くありました。
鑑賞二度目はこの後も続くアノーラの人生を考えてしまいました。
イゴールとアノーラについても、鑑賞一度目はアノーラのサポートをしたいと言うイゴールに好感を抱きました。
二人が恋人になることはないとしても、アノーラが頼れる存在としてイゴールの存在が増えたことはきっと良いことなのだろうと思いました。
鑑賞二度目は、アノーラにとってイゴールは本当に必要なのか否か、わからなくなりました。
少なくとも、アノーラが車の中で泣くために、イゴールはアノーラにとって必要だった。
ラストシーンの車中に、イゴールがいる必要はあった。
けれど、その先また、二人が会う必要は果たしてあるのかどうか。
男友達のような存在がアノーラには必要なのだろうか。
一度目鑑賞時はイゴールとくっついたら良いのになぁと終盤まで安直に思って観ていましたが、ラストシーンを観て、そんな単純なことではないのだと思い直しました。
アノーラとイゴールの関係について。
二人はやはり、搾取される側の人間で、だから、イゴールは(恐らく無償で)アノーラをサポートしたいと言ったし、アノーラはイゴールの前で泣くことができた。
今はそれだけしかわかりません。
アノーラとヴァーニャについても。
一見ヴァーニャは搾取する側に見えますが、ヴァーニャも母親に搾取されている側の人間として間違いはないのではないかと思います。人として当たり前に持てる権利を奪われている。搾取する側でありされる側でもある。
だからどこか、憎みきれないのかもしれません。
出てくる人物の多くが搾取される側の側面を持っていて、しかしその逆でもある。
人が一面的でないことを描いている作品が大好きなので、やはり好きな作品であることは間違いないです。
二回観て、感じたことの量も、わからないことも増えたように思います。
もう一度観たらもっと苦しくなりそうですが、また観たいです。
エロくて可笑しく物悲しい
事前知識は劇場予告だけだったのですが、ラブコメディだと誤解していました(苦笑)。
合体で始まり合体で終わる18禁エロ映画だったとは。そこも含めて堪能しましたが。
物語の中でロシア大富豪の息子イヴァンが失踪します。イヴァンの関係者誰もが、主人公アノーラがイヴァンにとって都合の良い売春婦だと指摘しますが、アノーラ自身は認めようとしません。
シンデレラ役はアノーラ自身の魅力で勝ち取ったはずだ、イヴァンに会って認めさせなくては。
アノーラはやっとイヴァンを見つけますが、彼はアノーラのクラブで別のダンサーと寝ていました。この裏切り者が。
結局イヴァンもアノーラを特別な存在だと思っていなかったことは、アノーラが認めたくなかった現実と思います。
最後、アノーラは用心棒役のイゴールにサービスをしますが、アノーラの自暴自棄な心と共に、イゴールへの感謝もあった、複雑な気持ちから起こした行為と思います。
イゴールだけがアノーラのアイデンティティを認めていたのです。アノーラ自身は自分をアニーと呼び、名前に意味など無いと答えますが、イゴールはアノーラの意味を調べ、良い名前だと伝えます。
強面のイゴールですが、物語を通して人に直接暴力を振るうことがなく、良い人を貫きました。
危なっかしくて不安定なアノーラの生き方ですが、イゴールによって救われるところもあったと思います。
タイトルが「アノーラ」なのは、どこにでも居るアニーでは無く、ただ一人のアノーラを意味していると感じました。
ディスる文化
けっこうエグいシーンも多く、映画俳優ってここまでやるんかー、と驚いた。
貧しいながらも頑張ってる主人公が大金持ちと結婚できてハッピーと思いきや、ひどい目にあう、という展開がなんとなく落語みたいだなー、と思った。
この映画は最初から最後まで、お金持ちに対する憎悪をつのらせる展開になっている。
前半では自分自身の能力は何も無いのに、親が金持ちだというだけで調子にのってるボンボンのバカさ加減にいらつき、後半では親の傲慢さにヘドが出そうになる。
この映画って、ほとんどずっと誰かが誰かを罵倒してる。あらゆる立場の人が、自分以外の人を罵り続けてる。金持ちの息子も、親からは馬鹿だと言われ、使用人からも陰口を言われている。その息子も、親のお金で無双状態でいられるのに、親を憎んでいる。でもこれが社会の実相なんだろう。
一人では生きていけないか弱い生物である人間が、集団でお互いに助け合うために社会をつくりあげ、分業した社会の中で互いに感謝しながら生活すべきはずなのに、実際には、エッセンシャルワーカーとか、生産者とか、社会に不可欠で大変な仕事をしてる人ほど給料が安く、お金を運用して資産を守るだけの人が、お金の力を自分の力と勘違いして、贅沢な暮らしをして、エッセンシャルワーカーを蔑む。
いったいいつからお金持ちがエラいってことになったんだろう? このままじゃ人類ほろぶなー、って思った。
大金持ちは愛でもなんでも買える
アノーラにとってイヴァンはいいカモになる客だった。他の客を相手にするよりたくさん稼げた。でもその度を越した金持ちぶりはアノーラの目をくらませ、結婚を迫られたとき本当の愛があると信じてしまった。男心は知り尽くしているはずなのに。アノーラにとってただの金目当ての結婚ではなく、夫イヴァンを好きになっていたのだろう。彼女のライバル嬢が酔ったイヴァンの相手をした時の怒りは、客を奪われた怒りではなく愛する夫を奪われたことへの怒りだ。アノーラは夫の両親にも受け入れられ、幸せな家庭を築けると思った。しかし、もしイヴァンが金持ちでない普通の労働者だったら、アノーラは結婚していなかっただろう。そう、彼女は金の力で恋に落ちてしまった。イヴァンは金でアノーラの肉体だけでなく愛情も手に入れた。でも金で幸せも手に入るのかはわからない。
勢いだけでは!
ガッツある女性の下剋上映画かと思いきや
なかやか現実は厳しいなあ。前半は、エロ映画 後半は、ロードムービー 勢いとガッツで乗り越えるのかなと
しかし、ラストはなんか現実だな。明るさが欲しかったなあ。しかしマイキーマディソンの美しさはいいね。ワンスアボンナタイムインアメリカの時はまだ成長してなかったが、また期待できるね。
魅力的なアニー
これは
若気の至り
というタイトルでも良いかも笑
ダサいタイトルだけど笑
マイキー・マディソンが
可愛いストリッパーを演じてます
出だしから裸、裸、裸、
あんな、魅力的なバディ羨ましい限りです
クソばか息子のロシアの金持ちと勢いでラスベガスで結婚
そこから結婚破棄までの道のり
暴力的な位置の、イゴールが
実はとても優しい青年だ。
アニーを見守り、最後にはクソばか息子に謝るように話す
レイプしそうな眼だとアニーに言われてたけど、観客の私からみたら全然そんな感じしない。
この辛い道中ずっとアニーを見守り続けたイゴールが居たから、ようやく最後アニーは泣けたんだろうな
うん、まだまだこれからだよ人生は!とアニーのアノーラに伝えたい。
ある意味、裏切られた
シンデレラストーリーかと思いきや、中盤から一転してコメディーになった。
全般的にアニーの気持ちが伝わってこなかった。愛を知らずに育ったわけではなさそうだったが、放蕩息子と疑うことなく結婚し、二人の間には金ではなく愛情があると信じていたようだ。
コメディーの小ネタをたくさん入れるのも面白かったけど、アニーの心の描写をもっと表現してほしかった。
アノーラが理解出来なかった←当初はこの考えで⭐️2.5でしたが、様々な方の感想や解説を聞き変わりました。
アノーラのイヴァンに対する思いが汲み取れず、またアノーラに対しての描写、特に前半と後半の描き分けが個人的にも気に入らずで、自分自身アノーラに対してどう向き合えば、どう見れば良かったのか分からない状態がエンディングまで続いてしまったというのが1番最初に出た感想。
物語前半、アノーラが初めてイヴァンの家に訪れ、セックスをした後、彼女はイヴァンに「あなたって面白い」と言い、「どこら辺が?」とイヴァンが返し「その•••なんか面白いしクール」というようなやり取りがある。
そこになんの具体性もないし、人を褒める時の1個目を出しているだけのような、ただその場凌ぎの取り留めのない会話をしている。
本当に面白い状態は「あなたって面白い」なんて言わず、2人の会話が自然と盛り上がり、持続している状態だと思う。
だからあのシーンはアノーラが気を遣い、イヴァンをお客として接している。
そして、彼から契約彼女になって欲しいというお願いも「いくら払える?」というジェスチャーで答える。
結婚を申し込まれた際も「3カラットの指輪お願いね」と高価な指輪をねだる。
終始アノーラはイヴァンに対し、恋人ではなくお客として接し、愛ではなくお金を欲している。
だからあの結婚は、アノーラはお金、イヴァンはグリーンカード欲しさとただのセックス相手という利害の一致をノリと勢いとラスベガスの雰囲気に呑まれ、幸せな結婚だと勘違いを起こし、欲は渦巻いていたが、純愛で結ばれたわけではないのは目に見えて分かる。
ただ後半のアノーラはお金というより、むしろ愛が故かの様な行動を繰り返す。
その不一致が自分自身どうも納得いかなかった。
まず、アノーラがイヴァンを探すメリットが分からない。
アノーラにとって、婚姻関係が結べていれば良いわけで、その関係を破綻させようとしている連中に道案内をする事と同義にも関わらず、協力することに違和感を覚えてしまった。
1万ドルという額も少なすぎるし。
そして、イヴァンを見つけて開口一番「どうして電話に出なかったの?」と、まるで愛している人が期待に応えてくれなかった、裏切られたかの様な口ぶりで言う。
それを聞いた私は、それがイヴァンを探した理由?アノーラはイヴァンに愛も求めていたの?という考えがよぎり、非常に混乱した。
また、アノーラがイヴァンや母親に離婚を迫られ、すぐに離婚したのも分からなかった。
母親が「少ないお金も、友達も家族も失うわよ」と脅していたが、アノーラが得られるかもしれない財閥の資産という莫大なお金に比べて、リスクが些か小さすぎるのではないかと感じた。あの脅しで飛行機に乗るならば、アノーラが如何に家族や友達を大切にし、失いたくなかったのかを描いて欲しかった。
そして機内での「ただエスコート嬢と遊んでいただけ」というイヴァンの発言に、幻滅と怒りのこもった表情に「バカ息子と離婚出来て良かった」と怒鳴る。
そしてアノーラが婚姻の取り消しに署名する直前、何を期待してか「本当にこれでいいのね?」と言わんばかりにイヴァンを見つめ、その問いかけを拒否するかのようにイヴァンはグラサンをかける。そしてアノーラは殴り書きの署名をする。
後半のアノーラの行動がどうにも釈然としない。
前半の動機とはズレ、後半のアノーラはイヴァンからの愛が当然あるという前提で行動しているようにも見えた。
それはアノーラが「子供の結婚って親は喜ぶものでしょ?両親に挨拶したい」と言っていた通り、愛する2人が結ぶ結婚という、2人がした結婚とは違う、幻想に囚われたが故の行動なのか。お金を私に使ってくれる=愛だと勘違いしての行動なのか、それとも彼女を思慮浅い間抜けな女として描きたかったのか、捉えきれなかった。
その割には、仕事には真面目で、保険や年金など現実問題はしっかり見据え、気丈で勝気、母親に「イヴァンは貴方が嫌いな人を選んだ」と芯を食ったことも言っていた。
アノーラというキャラに、やはりズレが生じていたと感じてしまった上に、彼女は自分自身をどこまで分かっていて、どこまでを分かっていないのか、その真意が曖昧で掴めなかった。
そして、本作の見どころであるエンディング。
彼女が、金も、愛も、人格も全てを金持ちから踏み躙られ、ズタボロに疲弊し帰還したところに、指輪という優しさに触れ、また「おばあちゃの車」という言葉に(彼女がロシア語しか話さない祖母を持ち、ロシア語を理解出来る所から、祖母とよく会話していた、少なくとも愛を持って接していたのではないかと想像できる)何かしらのシンパシーを感じ、セックスを差し出す。そこは理解出来る。
ただ、イゴールがそのセックスに応えたのはよく理解出来なかった。
イゴールはアノーラに対し、終始優しさを持って接していた。ただそれは愛や性欲というよりも、哀れみや同情の類の感情が起因であったように思える。だからあのセックスは断る方が自然ではないか?と感じた。
イゴールのあの行為は衝動的な欲として応えたのか。分からない。
もしかしたら、イゴールは優しさで彼女を抱いたのかもしれない。ただ、優しさで抱いたならば、イゴールからキスを迫った、あの場面は疑問が残り、イゴールというキャラにも若干、ラストに違和感を覚えてしまった。
そして、ラスト彼女の涙。
あの涙は社会的強者に全てを踏み潰された悔しさなのか、人生を振り回された事に対しての怒りや悲しさなのか、キングサイズのベッドでセックスに勤しんでいた生活から、シングルベッドの小さな部屋に、現実に引き戻された虚しさなのか、全ての強がりを抱えきれなくなった、限界を越してしまった涙なのか。
様々な解釈が可能だが、個人的には、アノーラという人物造形に甚だ疑問を抱き、感情移入も出来なかった為か、まぁ正直どうでもいいかなと。
ただ、物語の展開、シリアスになり得る場面をコメディーに変更する、という意外な路線変更も楽しめた上に、4人のセリフの掛け合いや珍道中も非常に面白かった。
また、本作は35mmフィルムで撮られ、その淡さ、質感も非常に綺麗で素晴らしく、4人が浜辺を歩くショットなんかは大変魅力的であった。街中の光の輪郭がボヤけ、表情に深くフォーカスが当たるのも絶妙であり、派手な色使いや選曲も素晴らしかったと思う。
総じて、細やかな画としての描写や、ストーリーの展開は気に入ったが、肝心の映画内に出てくる人物に共感出来ず、描写不足にも感じてしまい、本作を傑作とまでは言えなかった。
いろいろな方の感想や解説を見て、非常に納得でき、自分自身、盛大な解釈違いを起こしていたと感じた為、追記、修正させていただきます。
私自身、後半のアノーラはイヴァンに愛やお金などの何かしらを求めた、正妻としての恩恵を熱望する、離さんとする結婚生活と捉えてしまっていたが、そこが間違っていた。
後半のアノーラの行動は、イヴァンに対してお金や愛を求めていたのではなく、美人局でも何でもない、ただ彼からの素直なプロポーズを受け、自分たち2人が「正当に結んだはずの婚約」に対して、不当に邪魔する者達への抵抗、こんな形では奪われまいと闘う、すなわち人としての権利の主張であった。
だから、アノーラの動機のズレではなく、私自身がアノーラに対して見当違いな解釈のズレを起こしていた。
アノーラがイヴァンを探した理由は「2人でまた話し合いたい」という、2人で決めたはずの結婚に、勝手に介入し阻止しようとする第三者を許すまいとするのが動機であり、「身分不相応、男をたぶらかした、イヴァンは貴方を愛していない」と不当な扱いをした人達に、彼女は激しく抵抗していただけの事であった。
ただ、現実はその抵抗虚しく、資本主義の覇者という巨人に簡単に蹴散らされてしまった。
彼女は、お金とか愛とか人格よりも重要な、根源的な彼女自身の誇りを完全に踏み潰されたが故の、あの涙である。
この映画はロマンスやコメディーという側面もあるが、本質は、1人の女性が自分の扱われ方に対しての尊厳を守り抜こうとした、という勇ましい物語であった。
アホぼんとパワフル姐さんの冒険譚
お金って素敵の前半、やっば自分で立ち上がるしかないの後半。
ロシア系移民のアノ−ラちゃんはN.Yのイケイケストリップダンサー。
帰国を7日に控えて、楽しむぜ〜とアノ−ラ
ちゃんのストリップクラブにやって来たロシア勝ち組オリガルヒのアホぼん、イヴァンくん。
楽しむぜ〜と楽しませてあげる〜が出会って札束ひらひらゴ−ジャスでワクワク冒険の始まり始まり〜
お金があるって素敵爆発の前半。
ついでに結婚しちゃおうか。テンの黒コ−ト、ダイヤの指輪。
パリピな毎日が続く訳なく、ストリップダンサーと結婚だなんて許さん怒りのイヴァンの両親がプライベートジェットでやって来る後半。
浦島太郎の宴の後の侘しさよ。(あ、例えが古かったかしら)
ここで、身分違いなんだから仕方なしと、しおしお引っ込むアノ−ラちゃんではない❗
イヴァンくんにもご家族にご挨拶はいつできるの?と本気を見せてこの結婚チャンスは絶対に掴みとってみせると意気盛んだったのだ。
板挟みのイヴァンくんはスタコラトンズラ。
(板挟みにトンズラなんて、男あるあるですよね)
置き去りのアノ−ラちゃんと両親軍団との攻防は必見❗スラップスティック・コメディ❗
娼婦呼ばわりに断固立ち向かう。
全身で、掴んだチャンスは絶対に絶対に逃すもんかあ〜叫ぶ吠える噛み付く、イヴァン出て来い❗この結婚は本物だよね❗痛ましい程の抗い。
コレは、もう、お金の問題ではない。
私という人間を認めよとの叫び。
蔑されるべき人間ではないとの叫び。
イヴァンくんにあっさり裏切られ、結婚は破棄に。
カッチカッチと車のワイパー音と敗北のアノ−ラちゃんの嗚咽が重なる冒険の終わり。
くっそお〜
きっとアノ−ラちゃんは立ち上がる。
だってあんなにパワフルだもん。
時間潰しにインディ映画監督の低予算でアカデミー賞受賞との情報のみで映画を観ましたが、パワフル姐さんマイキー・マディソン、アホぼんマルク・エイデルシュテインに出会えて良かったです。
アホぼんを非難する声聞こえるけど、憎めないよなあ。
だって、お金持ってんだぞ的な嫌味な奴ではなかったしね。
親の後ろ盾がなければ生きていけない哀しみもあるってことよね。
刺さる人には突き刺さるのでは
話題の作品だったので軽い気持ちで観たら、とんでもなく突き刺さって今もラストが目に焼き付いて離れない。
過去に恋愛で苦しい思いをしたことのある女性にはめちゃくちゃ刺さる作品なのでは。
アノーラはセックスワーカーで売れっ子。
最初に何人か客と過ごす場面があるけれど、あきらかに現実の恋愛対象ではない、キモい男ばかり。
でもその中で、たどたどしい英語で一生懸命自分と話し、口説こうとする年下のイヴァンに出会う。
最初は金持ちのボンボンつかまえてラッキー、くらいだったはず。
アノーラはプロなので、イヴァンが結婚の話を持ち出すまで、あくまでお金稼ぎのための行為であるスタンスを取る。
でも心は最初から、それなりに彼に惹かれているのが表情や態度でわかる。
お金のためでもあるけれど、イヴァンはストリッパーの自分でもちゃんと「可愛い女の子」として接してくれる。それは彼の友達の態度との違いを見ていてもそう。育ちがいいゆえなのかもしれない。
だから結婚することになった時は、本当に嬉しかったんだと思う。なんだかんだ25歳。ちょっと頼りないけど彼が私の王子さまに違いない、と夢をみる。
冷静な大人が見たらそんなわけないと思うことも、恋愛脳真っ只中の人間は、ぜんぶ見て見ぬふり。
だけどきっと心の中では不安だったんだろう。ゲームをしているイヴァンに絡み付くように抱きつく姿からはアノーラの強い「依存」を感じる。
目の下のクマも、彼女の不安定さを表すかのよう。
その不安を払拭するのは彼との享楽的な生活とセックスだけ。
そして案の定、その生活は一瞬で破綻する。
イヴァンが逃げてからのアノーラの態度は、依存対象が突然消えたことによるパニック状態だと思う。
彼女は最初からどこかで不安がある結婚だとわかっていたはず。でもそれを目の当たりにして、認められなくて、どこまでもイヴァンとの結婚続行を求めていく。痛々しいくらいに。
あんな男のどこがいいか、というのは、もはや問題じゃない。依存対象が急に消えるというのは、自分の精神の危機。
もっと言えば、セックスワーカーとして働いてきた自分を一瞬で全否定されるかもしれないという、尊厳の危機。
それをとにかく何とかしたくて、必死にイヴァンを探し、彼との結婚を望み、でも誰一人味方になってくれずに終わる。
アノーラの強いところは、最後、仕事をバカにされて、ふと気づくところ。謝らないイヴァンを見て、相手の本質に気づくところ。
強くて賢い女性だった。
そして最後、結婚指輪を取り返してもらえたのは、やっぱり嬉しかったんだろう。
でも対価としてセックスを差し出すしかないのが悲しい。
そしてその悲しみを理解され、イヴァンに求められなかったキスを求められ、そこではじめて、人としての尊厳を守られることの安堵を感じて泣きじゃくる。
恋愛でぼろぼろに傷ついたことのある女性には、あのアノーラが自分に見えるんじゃないかな。私は見えた。
子供みたいに泣けるのは、ある意味幸せなこと。
強くて賢いアノーラが、この先の人生で幸せになれますように、と心から願いながら帰った。
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