「脇役こそが私たちの主人公」ANORA アノーラ ヨークさんの映画レビュー(感想・評価)
脇役こそが私たちの主人公
たまたま富豪の息子と出逢って意気投合し、結婚して幸せになる絵に描いたようなシンデレラストーリーなんて現実にはなく、そうなりそうになってもすぐに転げ落ちていくリアリズムを描いた映画。
金持ちドラ息子の気まぐれを本気にしてしまったが為にすべてを失うアニー。
富豪夫婦の手先の末端として仕えるイゴール。
映画やドラマでは脇役として描かれがちなこの2人こそが現実にはたくさんいて、それを真正面から映し出すショーン・ベイカー監督らしい作品。
抗いようのない圧倒的な力を前に屈するしかないアニー。たとえ娼婦だと誤解されるような仕事に就いていたとしても、同じように幸せを求める権利があって、自分の尊厳は誰にも奪えないのよと叫ぶ。
こういったメインストリームではない人にフォーカスした映画は好き。
でもちょっと物足りないかも。それぞれが自分の主張をするだけの応酬などは観ていてすこし辟易したかな。
絶賛されるほどかしら?という想いはあるわね。
まあ、良い映画ではあったけれども。90〜100分くらいに収めてくれていれば尚良かったかも。
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