「まさに今の世界そのもの」ANORA アノーラ HSKさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに今の世界そのもの
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めちゃくちゃ面白かったです!
あっという間のラスト。
とにかくアノーラたちの言い争いが面白い。
そのテンポやバランスがまぁ見事。
こんなにたくさんの言い争いで溢れている映画ってあるんでしょうか?
私は初めての体験だったので、すごいなこの作品とそこでもう衝撃を受けました。
ただこの作品、そんな表面的な面白さだけではないのですよね。
私にはアノーラに起きた出来事=ウクライナがロシアから受けている侵略戦争にしか見えなくて。
戦争って各々の国の主張のぶつかり合いなんだと、すごい具現化を見せられたなと思いました。
なので面白いけどとても辛くも感じました。
トロスのボスの命令が何よりで、それには警察だろうが何だろうが他人の都合お構いなし、自己中心的な行動は正に軍の侵略。
そして極めつけはイヴァンの母親!
プーチンそっくりの顔だったのでここまで似せてくるか、と笑ってしまいました。
父親は中国ともアメリカとも取れるのかな。
おそらく他にもっと何層にもメッセージが隠れているのでしょうね。
他のミネート作品をまだ観てないので何とも言えませんが、私はアノーラはアカデミー作品賞を取るに十分適した作品だと思いました。
ラスト、イゴールがイヴァンに「謝ったほうがいい」と言い、アノーラに何もせずただ優しく受け止めてくれたことが救いでしたが…。
でも今の世界にこの存在がいるんだろうか。
私たちはなれるのだろうかと考えさせられます。
エンドクレジットの無音の黒画面が現実を有り有りと突きつけてくるようでした。
明るい気持ちになる映画ではありませんが、私はこういうやるせない気持ちになる作品も大好きですよ。
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