エミリア・ペレスのレビュー・感想・評価
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人間の変化とは
ジャック・オーディアールがミュージカルを撮るとは思わなかったが、彼の作品の中でも結構上位に好きかもしれない。これは人の変化についての物語だ、外見が変化する、あるいは本当の自分の外見を手に入れることで内面にまで変化が及んでいく。性適合手術を受けて女性として生活するようになって、マフィアのボスとして生きてきた時には思いもよらなかった慈善事業に精を出すようになる主人公。この変化は外見が導くように内面が変わっていったということなのか。ゾーイ・サルダナの歌唱パートにそれを示唆するようなセリフがあったが、これは変化なのか、本来の彼女の性質なのか。時にマフィア時代の狂暴さが目覚めそうになる主人公だが、人間は経験の蓄積によって形作られるのだとすれば、マフィア時代の恐ろしさもまた、彼女の一部を構成する要素と言えるか。
ゾーイ・サルダナの芝居は本当に素晴らしかった。彼女のベストパフォーマンスだと思う。彼女演じる弁護士の変化もまた面白い。人の本質と変化について非常に深いところまで切り込んだ作品だと思う。
殻を破って突きつける予測不能なストーリー
これはギャング映画か、それとも社会派、もしくは性差を超えた人間ドラマか。そんな線引きはどうでも良い。重要なのはすでに名匠の地位を獲得したオーディヤール監督がこの映画でさらに豪快に殻を破ろうとしているということだ。序盤からの予測不能ぶりには「あれ?オーディヤールではなくアルモドバル作品だったかな?」とクレジットを見返したくなるほど。しかし人が境界線を超え、過去と決別していく姿は彼の作品で絶えず描かれてきたテーマであり、今回の「彼女たちの物語」にも同様の気迫がみなぎる。その上、本作は時折、登場人物の心情をリズミカルな振り付けや歌声で吐露するミュージカルの側面も脈打つ。ゾーイ・サルダナの身のこなしや真っ直ぐな目線も本作の欠かすことのできない推進力だが、それに輪をかけてエミリア役のガスコンの人間的な迫力には圧倒されるばかり。賞レースの結果を意識しすぎることなく、ただただ身を委ねて楽しみたい一作だ。
罪滅ぼしといいつつ身勝手
鑑賞した頃アプリが不調で書き込めなかったのですが、意外なほど高評価が多くてびっくりしました。
「リリーのすべて」や「わたしはロランス」もそうだけど、結婚してから昔からの気持ちが抑えられなくなってトランス手術する男の言動が、あまりにも身勝手で女性としてイライラします。
おまけにエミリアは過去の醜い所業で得た莫大な富を罪滅ぼしに慈善事業に乗り出すのはいいけど、そこで感謝とかされるのもなんだか納得できない。
自分は新しい恋のお相手とルンルンするくせに、嫁が他の男と結婚しようものなら相手を殺す勢いなのは、術前の医師と弁護士の会話「姿を変えても本来の人間性は変わらない云々…」というのが伏線になってたかな?所詮独占欲の強いチンピラにしか見えなかった。
最後も対立するギャングとか政治家に誘拐されるならまだしも、なんじゃそりゃな展開だし。
いきなり雪国に行かされたかと思えば呼び戻されて束縛されたり、嫁と子供が可哀想で仕方ない映画でした。
アカデミー賞取らなくて良かったです。これが取ったら怒り心頭ですよ。
ゾーイ・ザルダナとセレーナ・ゴメスがとても良かった、ダンスシーンも、それだけは良かった。
エミリアの生き方は魅力的でした
気の強そうな中年の女性の顔がアップで、まっすぐこちらを見ている。
そんなポスターを遠巻きに見て、「自立する女性の人生賛歌」を描いた普通の人の日常を描いた物語だと思い込んでスルーしていました。
しかしポスターの文字をよく読むと「彼女はかつて、最恐の麻薬王だった」とあり、がぜん興味を惹かれたものの、残念ながら既に上映終了。
今月、キネマ旬報シアターの追加上映のおかげで、ようやく鑑賞できました。
いくつものレビューを読んでから鑑賞したため、いきなりのミュージカルに驚くこともなく、エミリアの行く末もほぼ想像できましたが、数々の高評価レビューにほぼ同意です。
ただ、この映画の魅力を損ねる程の事ではないですが、麻薬王が女性の姿になって現れエミリアと名乗って以降、「性転換した麻薬王」ではなく、「麻薬王の女性親族」という印象がやや強く、性転換の設定が少しだけしっくりきませんでした。
また、全てを捨てて女性になったはずの麻薬王が、自分の子供達には執着を残していたのが意外でした。子供たちに対しては、父性というより母性を感じる愛情表現だったので、やはり心は女性だったのですね。
エミリアはお父さんの匂いがする
メキシコには行ったことはない。まぁまぁの中所得国で陽気で明るい国民性だが、貧富の差もあり犯罪発生頻度は高く特に麻薬関連の犯罪が多い国のイメージである。なのでメキシコを舞台にした映画やドラマは麻薬とそれに絡む銃撃戦ばかりが描かれる。
この映画も元麻薬王が主役だが、そのテーマは異なる。悪の限りをしてきたマニタスは2年前から密かにホルモン注射をし女性になる準備をしており、弁護士のリタをスカウトし彼女の完璧な計画により性転換と自身を死んだと見せかけ生まれ変わることに成功する。これだけで展開力だが抜群だが、それを更にミュージカル仕掛けで観せる。そして4年後、ビジネスが成功してるように見えるリタの前にマニタスからエミリア・ペレスになっていた「彼女」が現れる。生まれ変わったとは言え家族が恋しくてたまらないエミリアはマニタスのいとこと嘘をつき妻と子供と同居する。何とか秘密がバレませんと思うが、息子はエミリアが懐かしいお父さんの匂いがすると言う。さらにエミリアはかつての自分の罪を償うように慈善活動に邁進する。そしてその後、色んなことが起きて、遂にはかつての妻と悲惨な末路に、、。
自業自得の最後だったのかとも思うが、エミリアがもっと心も体も別人になり奇跡のファンタジーの世界に入っていってもよかったのかと思ってしまいます。
オスカーは「アノーラ」が獲ったが、断然この「エミリア・ペレス」の方が良かったなぁ、。
因果応報
色々と話題になっていて近所のミニシアターでやっていたので鑑賞してみた。メキシコの麻薬王のマニタスが自分の罪や敵から身を守るために男性から女性に性転換したいと弁護士のリタに頼み込むことから始まるお話し。ちょっとしたセリフを口ずさむようにミュージカル風にした演出は斬新で楽曲は耳に残るものは多いがマニタスとエミリアのギャップがありすぎてなかなか感情移入は出来ずらかった。でもゾーイサルダナは主演と言っても良いのではと思わせるほど演技力・表現力が素晴らしかった。反対にセレーナゴメスは悪いビッチな役で最期はエミリアとともにあっけない幕切れだった。因果応報というか何というかやりきれない気持ちにさせられた佳作。
えっ!?ミュージカルだったの?
封切り直後より ブックマークしていて
なるべく前情報をいれないように気を付けていた
で、今日やっと 二番館(って今言います?)シアターキノにて鑑賞。
面白かった!
まず、驚いたのが
「何これ?!?ミュージカルだったの?」
冒頭の車中のシーン、
効果音に合わせてのラップ
あれ、すごく好き
実は自分、映画以外のもうひとつの
趣味が 「裁判傍聴」なので
弁護士の台本通りに被告人が
セリフを言えなくて、イラつく
場面、 とても興味深かった
その後の展開も ミュージカルシーンが
ほどよく散りばめられて飽きさせない
いちお、フェミニズムとか
クイア映画に分類されるのか
わからんけど、
家庭を持った後 「本当の自分」に
目覚めちゃってからのその後の顛末。
思い出したのは 沖縄出身の
自殺したタレント。
身勝手なのか、我が道をいった
潔さと、捉えるのが正しいのか?
途中の性転換後の「同性」の恋人の登場。
「性自認には、58種類あんねん!」ってことか?
先日の、試写会「 We Live in Time この時を生きて」でも思ったが
セクシュアリティがこうも多様になってくると
映画は複雑で奥深く、見応えがある作品が
どんどん増えてくる
幸せとは
ゾーイサルダナとセレーナゴメス出演ということで気になってた作品。
まさかのミュージカル映画だった。
そして英語かと思ってたら、スペイン語だったし、フランス映画なんかい😂
ほぼ歌なのかセリフなのか。セリフちっくな歌は新鮮だった。
感情を表出した歌やダンスに圧巻された。
そして流石歌姫セレーナ。エンドロールで流れる彼女の曲は昔のSelena Gomez & the Sceneの楽曲に似てて懐かしさを覚えた。
彼女自身、父親がメキシコ人ということでスペイン語が話せるし、スペイン語の楽曲も出している。
音響も前半は薄く感じたが、中盤から後半にかけて響くような音響だし、スクリーンと音が一致していたのも良かった。(右から聞こえる、左から聞こえると言いたい)
カメラワークも一緒に思いを表出するようなアクセントやこれから起こる注目して欲しいところにピントを当てたりと観客にとって観やすい状態を作り出してて、観てて面白かった。
ストーリーはまさかのトランスジェンダーのお話。主演女優のカーラ・ソフィア・ガスコン自身もトランスジェンダー女優だそう。
多様性の文化と言われている今の時代に観て欲しい作品ではあった。
私は正直多様性文化に興味がなく推しているわけでも批判しているわけでもない。
当事者自身が他人に迷惑をかけないのであれば好きなようにすればいいんじゃないと思っていて、
まさにこの作品はそれを訴えているように感じた。
自分は実はこうでしたと後出しほど酷なことはない。男性としての役割を果たしておいて、でも女性になりたいというのは正直無責任だと思う。それなら納得するまで話し合いをするべきだと思った。
今海外でも同性同士で結婚して子供が欲しいから養子や代理母をとるということをよく耳にするけど、これは誰にとって幸せで誰にとって不幸なのか先のことを考えて行動しているのかと当事者たちに聞きたくなる。そう言ったことを話を変えて訴えているように感じた。だからこそこの結末はとても良かったと思う。
変わる
気づかないほど完璧な整形?
まさかの極妻バッドミュージカル娯楽超大作
悪くないんだけどイマイチ乗れず…
ミュージカルだって知らなかったし、予想外の展開ばかりで刺激的!
…なのに正直あまりノリきれなかった。(体調悪かったからかも?)
以下その理由↓
まずミュージカルなのが効果的だとは思えなかった。
ミュージカルパートは心の中に留めているけど言えない事だけに絞るとか、ミュージカルにしている意味がもっと明確だと
モヤみが少ない気がした。
でも個人的に歌手が主役とかじゃないミュージカル映画があんま意味わからなくて苦手なだけかも。
あとギャングのボスが女性になる、という発想はめちゃくちゃ引きがあるけど、
そのあと起こる事がそこまで意外性がないのと、
女性の問題、社会の格差やシステムの問題、人は変われるのか問題など、色々詰め込みすぎで結局何が言いたいのかよく分からなくなって
途中から頭が痛くなってしまった笑
ギャングが女性になった事で、
今まで見えていなかった女性の社会的立場の大変さを知り行動する、という展開は分かるのだが、
女性の立場の大変さを主人公が自ら経験したというより、
そういう人たちを助けるだけなので、何だか説得力が弱い。
主人公の個人的な悩みは
結局ずっと家族や自分の周りの人たちに関する事だけなので、生物学的な性別が変わるという設定にしなくても成立しそうな話な気がしてしまう。
余談だけど
これを観て思い出したのが「ナチュラルウーマン」という映画。
こちらも性別適合手術を受けた女性が主人公で、自分の運命と戦う主人公がかっこいいのでオススメ!
欲張りはダメダメ
前情報なしだったので、ミュージカルというのも知らず、
おっ、いきなり歌い出したっ!と、びっくりしながらも最初から惹き込まれました。
女性としての新たな人生を送りたいメキシコの麻薬王マニタスと、
その極秘の依頼を受けた弁護士のリタの友情なのか同士なのか、
妻のジェシーも含めると、ただただマニタスに振り回されただけなのか⋯。
エミリアになったマニスタの人生は前に進んでいくけども、簡単にはいかないわけで⋯
過去と現在、罪と救済、愛と憎しみが交錯する中、運命は思わぬ方向へと大きく動き出してしまう。
いやぁ⋯マニタス、女性になる前は、
「愛されなくても愛さなくても良い〜♪」みたいなこと歌ってたじゃーん。
ちょっと欲張りすぎたのでは?
という、ラストの結果を踏まえての感想です。
リタとジェシーが、女として正反対のタイプに感じるんだけど、
共通しているのは強くて芯が通っているところで、そこの対比はとても興味深い。
フランス映画なんですね、これ。
だから、当国メキシコでは、あり得ないだろう脚本が出来上がるのかなぁ⋯。
総じて面白かったです。
よくわからないままに圧倒される
半分は私、半分は・・・
メキシコシティの弁護士リタは、麻薬カルテルのボスであるマニタスから
「女性としての新たな人生を用意してほしい」
という極秘の依頼を受ける。
リタは完璧な計画を立て、マニタスが性別適合手術を受けるにあたって
生じるさまざまな問題をクリアし、マニタスは無事に過去を捨てて
姿を消すことに成功する。
それから数年後、イギリスで新たな人生を歩んでいたリタの前に、
エミリア・ペレスという女性として生きるマニタスが現れる。。。
といったあらすじ。
冒頭から言葉がわからないわ、ギャング?なに??
映画見てからネットみて、麻薬王だったとわかった。
ところどころミュージカル調になるし。
頭の中がぐちゃぐちゃ笑
おまけに展開もぐだぐだ、好き勝手やった末路は
とんでもないことに。。。
すべてを手に入れることは何人たりとも・・・
なんとも後味の悪い。
みなさん高得点つけているけど、私には合わなかった。
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