「【メキシコ・クライム風味の人魚姫】」エミリア・ペレス abuさんの映画レビュー(感想・評価)
【メキシコ・クライム風味の人魚姫】
麻薬王が性同一性障害を抱え、女性となって引退する──そんな衝撃的な設定から始まる物語。
しかし当然「はい、おつかれさま」では終わらない。
物語が進むにつれ、クライム要素がどんどん濃くなり、ミュージカルシーンは減っていく。
ただ、もしこの映画にミュージカルがなかったら、ただの犯罪劇になっていただろう。
歌で描かれることで物語に寓話性が生まれ、作品は一気に格上げされている。
エミリアが本当に欲しかったものは何だったのか。
人魚姫のように、何かを犠牲にしてでも望むものを得たのか。
なにか諦められるものはなかったのか。
ミュージカルという形式だからこそ、エミリアは美しく、そして悲しく輝いていた。
そんな寓話的で切ない物語でした。
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