「女優陣の演技が圧巻、起承転結のわかりやすいストーリーをしっかりとまとめ上げた秀作」エミリア・ペレス Toruさんの映画レビュー(感想・評価)
女優陣の演技が圧巻、起承転結のわかりやすいストーリーをしっかりとまとめ上げた秀作
メキシコの麻薬カルテルのトップであったマニタス・デル・モンテが、過去を捨て性別適合手術を受け、エミリア・ペレスという女性としての新たな人生が動き始める。そして彼女を取り巻く者たちの人生をも変えていく。
序盤は、世界の様々な土地に舞台を移す、ダイナミックな展開。その後舞台はメキシコに戻り、次々と物語が広がっていく。
スペイン語によるミュージカルシーンが要所要所に取り上げられるが、その度合いが程よく、台詞のみならず、歌声によりスペイン語が持つ音色に引き込まれる。
起承転結が明解なストーリー展開は、カメラワークも巧みで、テンポ良く一切中弛みがない。特筆すべきは女優陣の演技の素晴らしさ。4人揃ってカンヌ映画祭女優賞を受賞がことがよくわかる。
物語は終盤切なさを感じさせつつ、しっかり締め括っているので、逆に余韻はあまり残さないが、映画としての造りがとてもしっかりしており、わかりやすいストーリーにも裏打ちされた秀作。
個人的には、今年のアカデミー賞を総舐めした「ANORA アノーラ」より好きなタイプの映画。
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