「伝説が生まれる時のエネルギー」エミリア・ペレス ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
伝説が生まれる時のエネルギー
メキシコの麻薬王が、性別適合手術を経て新たな人生を手に入れる様を描いたミュージカルドラマ。
メキシコシティの弁護士リタは日々絶望と向き合っていた。クズのようなクライアントと無能な上司、街は誘拐・殺人のニュースばかり。そんな中、麻薬王マニタスと運命の出会いをする。マニタスの絶望の深さは底知れぬ。彼が全てを捨て生まれ変わる事を彼女が仲介することで物語は始まる。
見所は、映画全体に流れる圧倒的なエネルギー感だ。物語では対比の存在は対立、融合は一つの理想形、として描かれる。映画では、男と女、体と魂、富と貧困等の軋轢は緊張状態をもたらし主人公達は物理的な解決を強いられる。逆に融和の存在は静寂に包まれた安定として描かれる。
動的と静的のうねるエネルギーの渦を、インド映画顔負けの各所に流れるリズミカルな心情歌に乗せ、三人の女性が熱意こめて歌い上げる。エミリア・ペレスという一つの伝説が生まれるエネルギーを感じた。
ノリノリのミュージカル映画としても楽しめますし、いろんな視点で考えながら観ても楽しめます。エンタメ作品なので安心してご覧いただけます。
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