「戦闘機開発の裏側が見られる映画で、びっくりするぐらい王道のフラグが立ちまくっている物語でした」ボーン・トゥ・フライ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
戦闘機開発の裏側が見られる映画で、びっくりするぐらい王道のフラグが立ちまくっている物語でした
2024.7.3 字幕 TOHOシネマズ二条
2023年の中国映画(128分、G)
次世代戦闘機の開発に関わるテストパイロットたちを描くスカイアクション映画
監督&脚本はリウ・シャオシー
原題は『長空之王』で「空の王」、英題の『Born to Fly』は「飛ぶために生まれた」という意味
物語の舞台は、中国の南部にある空軍基地
そこに所属する主任パイロットのレイ・ユー(ワン・イーボー)は、領空侵犯をしてくる敵機と最前線で向き合う任務を担っていた
ある日、そこに北部にある開発基地のテストパイロット大隊長のチャン・ティン(フー・ジュン)が訪れ、レイ・ユーに「テストパイロットにならないか」と打診をする
現場志向の彼だったが、開発中の次世代ステルス戦闘機に乗れるかもしれないと言われ、その任務を承諾することになった
砂漠地帯にある北部の開発基地では、泰山エンジンという「これまでの不具合を改良した最新型のエンジン」の開発に着手していて、多くの実験を行っていた
テストパイロットとして採用されるのはわずか7人
数多くの適性試験、テストなどを総合して判断され、当初はライバル関係にあるドン・ファン(ユー・シー)が頭角を表していた
映画では、長年開発に携わっているウェイ主席(テェン・チョンチョン)や、戦闘機には欠かせない脱出用のパラシュートを管理梱包するディン(チェン・タイシェン)などが登場する
自分勝手な行動で限界値を探ろうとして無茶をするレイ・ユーは、そこで機体の限界値を見誤って墜落させてしまう
飛行停止処分になったレイ・ユーは裏方に回ることになるのだが、彼は独自に問題点を洗い出して、実験をより安全に行う提案をしていくことになるのである
映画は、思いっきり中国のプロパガンダになっているが、仮想敵国は日本ではなく、英語圏の国ということになっていた
とは言え、敵のパイロットは英語圏っぽくない名前の俳優さんが演じていたりするので、思っているような想定をしていないのかなあと感じた
日本は眼中に入れていないように描かれているが、ここで仮想敵国を日本にしてしまうとややこしい問題に発展するので、避けて正解だと思った
いずれにせよ、CGが多用されている作品ではあるものの、臨場感たっぷりの空中戦が展開されていく
中国が共同開発をしない内幕なども描かれていて、領空侵犯がロシアであるとか、台湾有事を想定しているあたりは、世界から見ている中国とは違う側面があるのかなと思った
テストパイロットの悲哀やその目的、意思、価値観などが随所に現れていて、このあたりは世界共通のことだと思う
共同開発をすることでリスクは減ると思うが、それでも犠牲はつきものなので、その意味を噛み締める意味においても見て損はない映画だと思った