劇場公開日 2024年7月5日

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「紛いもないクソガキ」SCRAPPER スクラッパー TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5紛いもないクソガキ

2024年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さて、別の作品(『WALK UP』)を鑑賞しに来た際に観て気になった本作のトレーラー、帰宅してIMDbやRotten Tomatoesを検索するとなかなか評価が高いようなので鑑賞を決めました。ヒューマントラストシネマ有楽町、土曜の午前回は思ったよりも客入り少な目。席について映画.comの本作へチェックインをしていて気づく(その時点の)評価「2.7」が気になりつつ、スマホの電源を落として上映を待ちます。
で、観終わっての感想は十分に楽しめました。設定そのものは今どきの基準で考えると緩々。また編集も長編作品でこれが通用するのは今だけな感じはしますが、出てくるキャラクターが皆、個性があって魅力的。何といっても主役であるジョージー(ローラ・キャンベル)から目が離せません。「仕事」と憚らずに言い切って相棒のアリ(アリ・ウズン)とやることは「自転車泥棒」。見つかっても、相手を畳み込むように出るに任せて止まらない減らず口は紛いもない「クソガキ」なのですが、彼女も生きるために必死です。また、それ以外の日常を見てみると掃除、洗濯などの家事の仕方など案外「丁寧」なことに気づきますし、おそらくは大好きな母からの教えであり、それを忠実にやり続けていることが想像でき、結局は彼女を想い幸福を祈ってやみません。。
そこに突然塀を越えてやってくる「父親」を名乗るジェイソン(ハリス・ディキンソン)。悪い奴ではなさそうに見えますが、そもそも何の証拠も見せない彼。そんな彼に早々に懐くのが相棒アリってところが、また男子の単純さで微笑ましい。そんなアリも不在となってからのぎこちない父娘二人の様子を見ていると、実は相性が良いだけでなく「やはり父娘」と認めるしかないほどによく似ているように感じます。
シンプルなストーリーですが、要所要所での何気なく出るキラーフレーズも感じよく、終始微笑ましく観られます。劇場必至な作品ではありませんが、監督も役者も若く将来を見据えるためにも観て損はないかな、と。気になる方は是非。

TWDera