「スカーレット・ヨハンソンもチャニング・テイタムも好演だけど、ウッディ・ハレルソンの怪演が場をさらった感のある一作」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
スカーレット・ヨハンソンもチャニング・テイタムも好演だけど、ウッディ・ハレルソンの怪演が場をさらった感のある一作
「1969年のアポロ11号による人類初の月面着陸をとらえた映像は、実は偽物だ」という有名な陰謀論を物語の重要な柱の一つに据えているところが本作の最大の特徴といえます。
主演のチャニング・テイタムは発射計画の着実な実行に専念するNASAの職員を、一方のスカーレット・ヨハンソンは月面着陸計画を周知する宣伝のプロとして働きつつ、ある陰謀にも加担してしまう、という役どころに対して、見事な演技で応えています。
が、変にユーモアで得体のしれない政府の工作員を演じたベテラン俳優ウッディ・ハレルソンと、偽映像を撮影する映画監督、ランス役ジム・ラッシュの「怪演」がかなり際立ち、結果として主演二人が割を食ったような格好になりました。
アポロ11号を搭載したロケット打ち上げ施設、その建造から発射までの経緯の描写は、その巨大構築物としての威容を細部まで描いていて、圧倒的という言葉がぴったりです。当時のフィルム映像とCG、セットを組み合わせた映像は、見学者としてそこに立っているかのような臨場感を与えてくれます。この迫力を体感できるだけでも、劇場で本作を鑑賞する価値は十二分にあるでしょう。
スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムの恋愛要素が前面に出てくるかのような印象を与えるポスターなんですが(本作と同名タイトルの歌もラブソングだし)、二人とも割と自分の職務に専念していて、実際の描写は割とあっさりめ(すべてがさばさばしてる、という訳でもないんだけれども)。そのため本格的な恋愛要素を期待すると、ちょっと物足りないかも。
ある小動物が出てくる場面だけ、急にコメディー要素が強まるので、「なんか作品から浮き上がってるなー」とちょっと困惑してたんだけど、あれは「このあたりの話はフィクションですからねー」という作り手側の目くばせなのかも。じゃないと陰謀論の部分まで事実と信じる人がいそうですからね……。