「アバズレ」密輸 1970 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
アバズレ
まるで昭和の東映作品を観ているような感覚で…「肉体の門」とかと似たようなテイストを感じるものの、お話としては面白かった。
が…あの韓国的懐メロをどう処理するべきか。
唐突に、大音量で挿入される。
その後に流れるBGMと同じなのだけど、いちいち興が削がれたりもする。
BGM全般が俺には合わなかった。
もっとハードな話かと思ってたのだけど…いや、ちゃんとハードではあったのだけど、どうにも噛み合わせが悪いというか、没入感が薄い。
安っぽいというか俗っぽいというか…アレも韓国の一面ではあるのだろうけど、華がねぇなぁって。
話しは嫌いじゃないんだ、ホントに。
虐げられた人々が「密輸」って犯罪に手を染める。そもそもが汚染物質を垂れ流す化学工場のせいなのだ。
それまで海の幸が豊富だった海で漁ができなくなる。
それ故だった。
劇中で「貧乏は罪だ」なんて台詞があった。貧乏だから犯罪に手を染める。極端だとは思うが言い得て妙だとも思う。
3年前に摘発された密輸事件で拗れた女達の友情が復活していく様とかも好きだし、大悪が税関の係長ってのも頷けたりする。
だが、どれもこれも昭和テイストで…なんの焼き直しなんだろうとまで思う。
監督があの時代ではなくて、あの時代の作品を復刻したいってんなら成功だとは思うけど…台詞も仕掛けも編集さえも、昭和の東映作品の匂いがプンプンしてる。
女性の自立ってよりは、男性社会への反抗とか脱獄とかがテーマだったと思う。
日本の女性蔑視も酷かったけど、韓国の女性蔑視も相当酷い…てか輪をかけて酷いなぁと思われる。
海女たちの背景は語られないのだけれど、あんな稼ぎもない港町で独身ならば、出てきゃいいのにと思うのだけど、それが出来ない事情でもあったんだろうか?
色々とツッコミどころはあるのだけれど、まぁ、夏だし、鮫はやっぱり怖いなぁなんて事を思い…特に目新しい事もなかったのだけど、物語はちゃんとしてたように思う。
海女さんが女性しか居ないのは、男性は漁に出るからなのかしら?それとも女性には海女に特出する性能でも備わってるのかしら。韓国の海女さんの風体も日本の海女さんと変わらずで、それはちょいと驚いたかなぁ。