教皇選挙のレビュー・感想・評価
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閉鎖空間の会話劇が面白い!
教皇選挙は根比べ
と、オヤジギャグが言いたくなるぐらい、教皇選挙は面倒臭いことは知っていましたが、その内側は、まさに “cum clavi(鍵がかかった)”で、覗き見ることが出来ない世界。
きっと、昔から陰謀渦巻く選挙やったんやろな〜と、勝手に想像していましたが、今作はほんまある意味想像通り。
大体、決選投票とかしないで、永遠に規定の票を得るまで投票し続けるって、策謀しろと言ってるようなもんですよね。
その、鍵がかかった内側を、ほぼ、おじいさん同士の会話劇と音楽だけで、エンターテイメント作に仕立て上げた凄い映画でした。
最後、どんでん返しの上にさらに、返したどんでんを屋台崩しにしてしまうぐらいの展開には、びっくりしました。
首席枢機卿のローレンス枢機卿も、選挙を仕切りつつ、ベリーニ枢機卿を教皇にすべく動くのですが、なかなか上手く行かず、えっ?誰になるんやろ?と、新教皇になる人物を予想しながら観れたのも面白かったし、うわー…こいつが新教皇になんのはアカンやろ…と、思いながら観るのも面白かったです。
今までベリーニ枢機卿一択だった、ローレンス枢機卿が、自分の名前を書いて、投票しようとした瞬間、テロリストの爆破で礼拝堂の密閉してた窓が吹き飛ぶ場面、その後一気に、まったく有力候補でなかった人物が新教皇に選出され、そして…という、最後の怒涛の展開が、めちゃくちゃ面白かったです。
テロはあかんけど、爆破で吹き飛んだ窓は、カトリックの時代に合わないタブーやドロドロとした陰謀めいたところに風穴を開けるとともに、様々な宗教、人種、バックボーンとも向き合っていかなければならない…というか、向き合い共存すべきという、強いメッセージを感じました。
最後に選ばれた新教皇には、かなりびっくりしましたが、私もこんな教皇なら色々良い方向に変わって行くんやろな〜、と思いました。
驚くべき展開
最初はおじさんの選挙の話なんて興味ない…
と思っていたけど、えっ、ミステリーなの?と知って俄然観たくなって劇場へ。
オッペンハイマーの時も同じようなことを考えたけど、ひたすらおじさんたちが投票を繰り返してるだけの会話劇なのに何この面白さ!上質のエンターテイメントすぎる!
これは早くも今年のマイベストでは?!とかなり興奮して帰ってきた。
以下ネタバレ含む。
映像も音響もこの世界に没入するための手段として最高でした。枢機卿たちの衣装の赤が最初から最後まで印象的。音楽はストーリー展開をリードしてくれるしかなり観る人にとっては親切な作りでは?
おじさんばかりで女性の存在感薄すぎ…まあでもローマ教会の話だからそこは仕方ないよね、と思っていたら、まさかそれが伏線とは!!
文字通り教会に「風穴を開ける」シーンはかなり衝撃だったけど、それ以上の衝撃がラストに残っているとは想像しなかった… 私が鈍いだけかもしれないけど、まさかこんな展開になるとは思いもせず。現代社会への強烈な皮肉が続いた後に作り手が見せてくれたinnocenceと希望…いつのまにか涙が流れてました。
ネタバレ踏まずに観られたことに感謝。
亀とローレンス
新教皇は108の枢機卿から2/3以上の票を得た
人物が選ばれる。
新教皇が決まった時は白い煙。
決まらなかったら黒い煙。
閉ざされた礼拝堂の天窓から差し込まれた
光と煙は前教皇からの願いの訪れだろうか。
閉鎖体制からの脱却。戻るべき場所に帰る。
ローレンス主席枢機卿、その為に君を残したのだと。
新しい光を差し込みたかったのかもしれない。
金、地位、権力、欲望が水面下で蠢くので。
ローレンス主席枢機卿は取り仕切るのが大変
で胃が痛そう。善き友は亀だが、自分自身と重ねて
た感じもした。何があっても逃げられなくて元に戻る。
彼がヴォルデモートだったとは知らず。
イザベラ・ロッセリーニが
『女性は目に見えない存在』と言い放つが
世界に目を向け凝らす存在。
彼女が映るだけで緊張感が増す。
テデスコ枢機卿は庵野秀明監督に似てたなぁ。
ベニデス枢機卿は本並健治さん似。
我々は理想を目指す者であり、理想そのものではない。
完璧な人間は存在しないが『神は全てお見通し』
の見せ方が上手い。
『自分自身の常識を疑って迷う。そして決して確信をせずに、確信を追い求める』のセリフは印象的。
亀とローレンスだね。
脚本も秀悦。
芸術と娯楽性、サスペンスが楽しめる映画でした。
主人公の名前が一番の皮肉。
主人公のトマスはキリストの復活を疑った事で有名な使徒と同じ名前。
その名前の通り周囲や前教皇を疑いながら行動して教皇候補の過ちや陰謀を暴き、一番疑いの目を向けなかった候補を新教皇になるけど、実は子宮の有る両性具有だったという結末が、なんとも皮肉が効いてる。
派手なシーンは無いし宗教色が全開だけど一味違う映画を見たい人にはお勧め。
映像の美しさと目が離せない展開で充実した仕事終わりの夜
カソリックでありながら、観光以外で教会に行ってないエセ信者でもある私は、どの様にコンクレイヴが行われているか全くを持って知らなかった。 次期Popeが決まるまでの何日間にもわたる選挙中のバチカンでの日々を描いた作品。最後までとても見応えがあった。
聖職者とはいえ人間には変わりない… 喫煙や地面に落ちたタバコの吸い殻、ケータイをいじる様子、出世欲などなどなどなど、人間の弱さについて考えさせられた。何十年も前に通っていた教会のベルギー人の神父様の言葉を思い出した。 私が教会常連のおばあさま方に裏で悪口を言われたりしていたので、神父様に、足繁く通う熱心な信者なのに何故嫌がらせをするんだろうかと問うた所、教会という場所は心の弱い人こそが集まる場所なんだよ、と。 話は映画から少し逸れたが、聖職者でも罪を犯すんだなと。人間だから。
映画に戻ると、赤と白の色がどの場面でも際立ち、古い建物のレンガというか、サンドストーンに映えていて、しばらく続きが放映されていないアメリカのテレビドラマ、”The handmaids tale”を彷彿させた。
ローレンスを始めとする俳優の演技もさることながら、シスターアグネスの存在感。さすがです。
あ、あと、ローレンスはPopeになりたいわけでもないが何人かに投票され、野心があるんだろ!と責められる場面… 野心がある人には無いって言った所で信じて貰えない… 人間くさい。どこにでもあるんだなと思った。
完観しないとカラダに悪い
聖職者とて生身の人間っちゅうのは分かった。
むちゃくちゃ美しい映像やけどなんちゅう嫌な話。
見始めたら心が蝕まれていく。
ラストの救済なしには目にも耳にもとても美しい鼻糞みたいな映画。
音楽も好みやし物語にも合っててよかったけれど、BGMなしのほうが緊張感マシマシだったんやないかいな。
ただラストのエンディングの曲はドンピシャで最高にノセてくれてスキップしそうになった。
期待していたモノとは違った(面白かったけど)
コンクラーベを舞台にした陰謀渦巻く政治劇や、もしくはミステリーを期待していたのですが、そういうのではなかったです。
いわゆるキリスト教的な価値観をあまり持たない大多数の日本人にとっては、おそらく(物語上の)敵対者となるテデスコ枢機卿の言い分や立ち位置の方が『リベラル』とされている主人公たちの立場よりは共感できるのではないかと思います。
結末に関して、これはキリスト教文化圏の方達がどのように受け止めるのか正直、私にはわかりませんでした。
もし、たとえばこれと同じようなことがたとえば日本の皇室で起きたとしたら、それこそ歴史的大問題に発展することは確実なので、
この結末が『善き事』なのか『悪い事』なのか、どちらとして描かれているのか、教養のない私には一度では読み取れませんでした。
順当にいけば主人公が時期教皇に選出されていたのを『異教徒』の自爆によって邪魔され、覆された、と考えればバッドエンドのようにも思えますし、
「これでいいんだ」的なハッピーエンドのようにも捉えられなくはないなと思います。
とりあえず(皆、同じ服を着ていて顔と名前が一致しないということもあって)一度見るだけでは理解しきれない映画でした。
二回目観たら感想も変わるかもしれません。
荘厳な雰囲気と名優達の共演によるアンサンブル
【イントロダクション】
ロバート・ハリスによる同名ミステリー小説の映画化。
全世界で14億人以上と言われるキリスト教の教派・カトリック教会。その最高指導者であるローマ教皇の逝去により、空座となった教皇の座を巡る“教皇選挙(conclave)”が執り行われる事になる。世界中から100人を超える候補者が集まり、閉ざされたシスティーナ礼拝堂で極秘の投票が始まった。
選挙を執り仕切るローレンス首席枢機卿役に『キングスマン:ファースト・エージェント』(2020)、『ザ・メニュー』(2022)のレイフ・ファインズ。監督は、Netflix『西部戦線異常なし』(2022)のエドワード・ベルガー。脚本に『裏切りのサーカス』(2011)のピーター・ストローハン。第97回アカデミー賞、脚色賞受賞。
【ストーリー】
ローマ教皇が心臓発作により急逝した。自らの信仰に疑問を抱えている首席枢機卿ローレンス(レイフ・ファインズ)は、生前の教皇に辞任を申し出るも却下されており、彼の急逝により次期教皇を選出する教皇選挙〈コンクラーベ〉の指揮を執る事となった。
世界各国から100人を超える枢機卿がバチカンのシスティーナ礼拝堂に集結する。その中には、前教皇と親交のあったベリーニ(スタンリー・トゥッチ)、ナイジェリア人のアデイエミ(ルシアン・ムサマティ)、前教皇との間に諍いを抱えていた保守派のトランブレ(ジョン・リスゴー)、伝統主義の保守派であり野心家のテデスコ(セルジオ・カステリット)らの有力候補が居た。
選挙の行われる礼拝堂は勿論、枢機卿たちが宿泊する聖マルタの家までもが厳重な隔離状態に置かれ、外部と連絡を取れないよう通信機器までもが預けられる。
前教皇の死を嘆く暇すら与えられず、コンクラーベの準備に奔走するローレンスの前に、参加者リストに載っていない枢機卿が現れる。アフガニスタンのカブール教区からやって来たベニテス(カルロス・ディエス)は、前教皇が秘密裏に任命した人物だった。
選挙の開会宣言にて、ローレンスは“確信”こそ最も恐れるべき罪であり、信仰は“疑念”と共に歩むものだと説く。
いよいよ選挙が始まり、初日は有力候補らが大混戦を極める。必要得票数である72票を集める候補者が現れなかった為、選挙は2日目へと持ち越される。
やがて、ローレンスは各候補者たちへの疑念を持ち、それぞれの候補者が抱える秘密を明らかにしていくことになる。
権力への野心、それぞれの抱える信仰、様々な思惑と共に、コンクラーベは前代未聞の様相を呈していく。
【感想】
カトリック教会を扱ってはいるが、作中に登場する固有ワードの意味は会話の内容から推察出来るようになっており、キリスト教に明るくない人でも問題なく楽しめる作りとなっている。疑念が真実を明るみにしていく過程も順序立てて見せてくれるので、観客に対して非常にフェアな作品とも言える。
教皇選挙という一つの“選挙”を通して描かれているのは、教皇という強大な立場を前にして浮き彫りとなる人間のエゴと野心、そして罪(秘密)である。この普遍的なテーマ設定があるからこそ、本作は観る者を引き込み離さないのだろう。
ローレンスの選挙前演説で語られる内容は、そのまま本作が辿り着く結末を端的に言い表しており、秀逸な台詞だった。
「私が最も恐れる罪は“確信”だ」
「信仰は生き物だ。“疑念”と共に歩むべきだ」
この考え方の通り、彼は候補者たちへ常に疑念を向け、彼らの抱える過去の罪を暴いていく。
冒頭でベリーニが語ったように、前教皇が「常に8手先を読む」人だったのならば、ローレンスがコンクラーベの責任者となるように、彼の辞任を却下した事も頷ける。そして、彼はまさしく“疑念”を胸に、それぞれの有力候補者の罪(秘密)を暴いていく。
当選すれば初のアフリカ系教皇となるアデイエミは、30歳の頃に19歳のシスターと性交経験があり、彼女との間に子供を儲けていた事が明かされる。婚姻や性交の許されないカトリックの枢機卿にとって、それは許されない罪である。たちまち、彼は候補者の座から転落する。
前教皇との間に諍いを抱えていたトランブレは、教皇の死の直前に彼から解任を言い渡されていた。その理由は、彼が他の枢機卿を買収し、選挙の際の票を買い取っていたというものだった。また、アデイエミを失脚させる為、彼が関係を持っていたシスターを呼び寄せたのもトランブレだった。シスター・アグネスの告発もあって、トランブレの当選も無くなった。
前教皇と親交があり、権力に興味を持たず、変革を受け入れる姿勢を見せていたベリーニすら、国務庁から買収されていたという秘密を抱えていた。また、野心を持たず、「教皇はまともな人間のする仕事ではない」とすら語っていた彼だが、テデスコの当選を阻む為の話し合いの場では、「教皇庁では、もっと女性にも活躍してほしい」と、まるで自分が当選した際の理想を語っているかのようであった。教皇の座に興味がないと言いつつ、自身の得票数が他の候補者より少ない事、ローレンスに数票が集まった事により、ローレンスの野心を疑う。その裏には、同時に彼に対する嫉妬心すら窺わせる。
結果的に、彼はレースの上位に躍り出る事はなかったが。
強烈な伝統主義の保守派であり、野心家としての面も隠さないテデスコは、ローレンス達の前に立ち塞がる強敵としての存在感を放っていた。ベリーニの話によると、彼は前教皇に対する不誠実な対応や情報漏洩と、数多くの問題も起こしてきた様子。
そんな彼らは、どこまでも「人間」なのだ。
それは、作中に登場する台詞にも表れている。
「我々は理想に仕える身だ。理想そのものではない」
神に仕える身ではあるが、それぞれが野心やエゴという「弱さ」を抱えている。そして、それが故に彼らは対立する。終盤で問題になるイスラム教との宗教戦争の兆しを前に、テデスコは「脅威はすぐそこまで迫っている」と説くが、その脅威は、外部からだけとは限らず、寧ろ内部にこそ強く存在しているのだ。
そんなエゴと我欲に取り憑かれながら選挙を進める枢機卿たちに、実際に戦地で説いてきたベニテスが問いかける。
「本当の戦争をご存知か?」と。そして、彼は候補者達の醜い争いを「くだらない」と一蹴する。
最終的に、最も清く正しく信仰を掲げるベニテスが新教皇の座に就く。しかし、そこにもある重大な秘密が隠されていた。
全編通して描かれる、荘厳で美しい雰囲気。外部との接触を絶たれた環境下で渦巻く陰謀と疑念。これぞ「映画」。「古き良き映画」だろう。
また、フォルカー・バーテルマンによる、静かながらも確実な「不穏さ」を感じさせる音楽も秀逸。
しかし、「古き良き映画」とは同時に、新鮮さに欠けるとも言える。前述した作品としてのフェア精神も、それが故にラスト5分以外には驚きに欠け、大方こちらの予想通りの真相には、若干の肩透かしを食らいもした。
これは、私が本作の前評判の高さやアカデミー賞・脚色賞受賞という箔、“ミステリー要素”という部分に過剰な期待を寄せてしまったが故でもあるのだが。
「教皇は本当に、ただの心臓発作だったのか?」
「密かに外部と連絡を取る手段を確保している枢機卿が居るのではないか?」
「礼拝堂の外で起きるテロ事件は、誰かが教皇の座を狙うが故の自作自演ではないか?」
「そもそも、ローレンスは本当に教皇の座に興味はないのか?」
こうした様々な“疑念”が、鑑賞中絶えず私の中を巡り、それを上回る衝撃を期待してしまったが故なのだ。また、探偵役となるローレンスもまた外部の情報を不必要に仕入れるわけにはいかない立場故に、自身が抱いた疑念は部下が調査して報告するという流れだったのも、探偵役と共に謎を追うというミステリーの面白さを損なってしまっていたように思う。
【観る者を鮮やかに裏切る、衝撃のラスト5分】
ネットで“ネタバレ厳禁‼︎”と言われていた全てが、このラスト5分に詰まっている。
混戦を極めた野心と疑念渦巻くコンクラーベを乗り越え、晴れて新教皇となったベニテス。
だが、彼はインターセックスであり、男性の肉体ながら子宮と卵巣を持つという特異体質だった。この驚愕のラストを当てられた人は居るのだろうか?私自身、これまで様々な物語に触れてきた故、そうそうの事では驚かないという自信があったのだが、このラストにだけは素直に驚かされた。天晴れとしか言いようがない。
因みに、話し合いに訪れたローレンス相手に、ベニテスが「(スイスへの旅行の目的は)子宮と卵巣の摘出手術を受けるはずでした」と語り出した瞬間は、“未だ女性の権利が弱いカトリック教会において、性転換手術による『史上初の女性教皇(女教皇ヨハンナの実現)』という男性優位社会への反逆”かとも思った。
しかし、実際には、彼は男性/女性両方の性的特徴を有しており、それ故に苦悩の人生を過ごしてきた人だった。
前教皇は、インターセックスを理由に辞任を申し出るベニテスを諭し、「摘出手術を受ければ良い」と在任を認めていた。だが、ベニテスは「これこそが神の作りたもうた身体なのだから、私はこの姿を受け入れて生きていく」と考えを改め、より困難な道を選択する。
先を読む事に長けていた前教皇は、あるいはベニテスがこの解答に行き着く事すら折り込み済みだったのかもしれない。
【総評】
荘厳な雰囲気と、不穏な空気を煽る音楽。豪華実力派俳優陣の演技合戦と、映画館で鑑賞するに相応しい、これぞ「映画」というものを体験出来た。若干の不足感を抱きつつも、ラスト5分の予想を遥かに超えた衝撃は、真っさらな状態で食らう醍醐味が詰まっていた。
一般人より人間臭い聖職者たち
決まるまで何度も選挙を繰り返す事は知っていたけれど、その合間にいろいろ戦略を練っていたりしているのか。聖職者のトップ集団なのにあんな汚い罠とか仕掛けていいわけ?とかたくさんの駆け引きが出てくる。でも結局は正論が勝つのかな…えっ!という映画だった。
堅苦しいようで、すごく面白かった。
多様性を認めつつも
緊迫感のある音楽や不穏感のある空気など、硬派な語り口のミステリーとして楽しめました。
映像的にも、厳かな建造物や宗教的なモチーフ、厳粛な選挙の様子など見応えがありました。
宗教的伝統的な厳粛さと俗っぽい選挙選の組み合わせは、どこかシュールさを感じます。
選挙の票集めなどは俗世間と変わりませんし、そもそも宗教とは言え結局ただの権力争いだとは思いますが。
ナショナリズムやリベラル、分断や偏見、多様性への賛否など、今の社会情勢、現実の選挙戦を連想させる構図になっているところも面白かったです。
そんな中、自分が正しいと確信することの危うさを語る主人公の言葉には、大いに共感しました。
個人的には宗教などは特に信じていませんが、真っ当に信仰に向き合う人間を見ると、宗教も大切だなという気にもなります。
パワーバランスで投票先を決めるのではなく相応しい人間に投票するという、理想的な結果もスッキリしました。
組織がガタガタの時に組織体制を批判してインパクトのある演説をする人間に投票したという見方をすると、ポピュリズムの危うさもあるかも知れませんが。
ラストのラストも予想外かつ成程そう来るかと思わされるもので良かったです。
多様性を認めつつも選挙が可能な地位にあるのは男性のみ、選挙の裏で黙々と食事などの世話をしていたシスターたちの描写が効いてきます。
とは言え、最後は結局、誰が教皇になったのかハッキリと分かる場面はなく、再投票して別の人物が教皇になった可能性も考えられるような。
あのまま教皇になったと信じたいですが、今の現実では無理なのでしょうし。
ラストカットも、扉が閉まるところなど、女性への扉はまだ閉ざされていると示唆しているようにも感じてしまいました。
主人公演じるレイフ・ファインズの、淡々としつつも内面の葛藤や迷いを滲ませる演技も素晴らしかったと思います。
真に教会が必要としている教皇とは
冒頭から、昔映画館で観た重厚なミステリー洋画を思い出し、カメラの撮り方が上手く引き込まれました。
ローマ教皇が亡くなったことによる教皇選挙で、室外でスマホを触っている人物がいたので、現代の物語ですよね。
首席枢機卿のフローレンスは、本当に教会が必要としている教皇候補者を求めているのがよく分かりました。
最終選挙で、フローレンスが自分の名前を書いているのがお茶目でした。
時々出ていたカメは、オスとメスの区別はつきにくいですね。
ラストの終わりかたも余韻があり、良かったです。
Condensed, profound, majestic mystery.
“Certainty” 確信、この言葉が脳裏に焼きつき、その意味を問い続ける私がいた。Cardinal LawrenceがConclaveの開始を告げるspeechで語り、映画ラストパートでも言致されるword. 人は物事に対し確信ありきと決断を下し行動に移る。しかし、確信と疑念のはざまで揺れ動き真の正当性に悩めるのが、人間の本質である。Ralph Finnes演じるLawrence、今自らがすべき正しい事とは何なのかと苦悩する姿は凄みすらある。“Manage!” と覚悟を決める彼の決断と責務は余りにも重い。
Sistina礼拝堂で彼が最後の票を投じたその時、爆音と共に天窓が破れ光と空気がCapelに流れ込み煙った静止場面は、まさに神が“最後の審判”を下した瞬間を捉えた中世の絵画のようであった。
聖職者達が、キリスト教頂点の権力の座を狙う様々な陰謀と策略の末に、ベニテス枢機卿が選出され、納得の結末かと思いきや、予想打にしない彼の真実。これも神の所業か、再度苦悩するLawrence。
Conclaveの終わりと共に平和な日常が戻り、無垢なsister達が明るい声を発し扉の外に出る姿を、窓から見降ろす彼の穏やかな表情が、安堵を与えてくれる。
素晴らしい、映画の醍醐味でした。
PS 世界24億人のキリスト教徒の最高権威である教皇の私室が、遥か予想外に質素で慎ましやかであることには、とても驚きました。
まだ早いけど今年のベスト1❗️
キリスト教物だとエクソシスト物や超大作は観ているけど、教皇選挙物、コンクラーヴェは初めて。公式サイトや拙い知識はある程度、予習しました。
密室劇のミステリーでめちゃくちゃ良かった❗️
まさに教皇選挙版、仁義なき戦い❗️
人は死ななくても権謀術数、泥臭い人間模様に120分の密度がぎゅっと濃厚❗️
レイフ・ファインズ、ジョン・リスゴーを初め役者たちの演技も見事❗️
途中、キーパーソンとなる枢機卿のセリフには涙が浮かんでしまいました…。
これでアカデミー作品賞が取れないとは…、残念。
確か天使は両性具有だから新教皇はまさに天啓❗️❓
ハラハラ、ドキドキ、そしてビックリ
世界で12億人以上が洗礼を受けていると言うキリスト教最大の教派・カトリック教会の最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。新教皇を決める教皇選挙・コンクラーベに世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂で極秘の投票がスタートした。票が割れ、規定の票に達するまで何度も繰り返し投票が行われるが、水面下でさまざまな陰謀、スキャンダル、があり、選挙を執り仕切ることとなったローレンス枢機卿がスキャンダルの候補者に辞退を迫り、最後に教皇に決まったのは・・・という話。
ローレンス枢機卿役のレイフ・ファインズが素晴らしかった。
ハラハラ、ドキドキしながら観れた。
最後の新教皇決定後の告白にはビックリした。
何かベースになった事実は有るのだろうか?
確かに、女性がトップになっても良いよね。
ミステリーなど比じゃない衝撃
基本予備知識なしで映画を観るので衝撃的な結末に顎が外れそうだった
下手なミステリーよりも驚かされたね
男女平等を叫ぶ時代を越えて、多様性が叫ばれる時代になっても女性の枢機卿など夢のまた夢だろう伝統を重んじる教会で密かに誕生していたトランスジェンダー枢機卿
そして彼(彼女)がまさかの教皇になるとは
女性の枢機卿など100%ないと言う思い込みが余計に衝撃を大きくした
こんな映画が生まれる時代がやってきたのか
抗う伝統を牛歩のごとくゆっくりと覆しながら少しずつ時代は進んでゆく
きっと「アノーラ」と「教皇選挙」はアカデミー賞の水面下で一騎打ちだった事だろう
テロに襲われる街で行われるコンクラーベはまさに世界の縮図
世界のそこかしこで、この映画と同じ戦いが繰り広げられている
世界にもっとたくさんのベニテス枢機卿のような思考をもつ人間が産まれなければ世界滅びの道へ進むだろう
平和ボケした社会からはきっと産まれにくい思考をもった人材をいかに産み出すのか
社会の重要な課題にすべきだ
最後の投票の場面
テロによって穴のあいた天井から風が吹き込む
閉ざされた部屋で枢機卿と言う権力者だけの密室で行われていたコンクラーベに外部からの新しい風
世界に必要ものは何なのか
あの場面が素晴らしいクライマックス
と、思いきやその後に明かされる衝撃の秘密
伝統をぶち壊す衝撃の事実の大きさに戸惑う彼の目が見るのは開いた窓の先を楽しそうに歩く若いシスター達
これから目の前にある大きな壁がぶち壊される衝撃的な時間がやってくる
知識があれば…
コンクラーベという、名前は知ってるけど詳しくは知らないテーマ。
それをミステリー風に仕立て作品でした。
結論としては面白かった!
それぞれの陣営の思惑や、それに対しての対応など見応えもあり、現代の問題も取り上げていて楽しめました。
最後のオチは何となく読めたけど、十分面白かったですね。
なるほど……
枢機卿って街にいたらすっっごく偉くて
普通なら会うことすら出来ないくらいの人なのに
この映画では会社でいう定年間近のジジイ集団が、空気の読み合いで社長を決めるみたいな印象で
神やキリストへの信仰もあまり感じないし
本当にコンクラーベってこうなの?
何か思ってたのと違う( ̄▽ ̄;)
隔離からの解放のシーンは良かった
私も新鮮な空気が吸えた気がする
亀の意味はイマイチわからない
前教皇が持ち込んだのなら
すべては前教皇の掌の上でした
ってこと?
流石にバチカンに気を使って?
新教皇のお披露目シーンは無かった印象
(法衣も着せていない)
女性は聖職者になれないのに
新教皇は両性具有なわけで
いつかそのことを公表するのか
女性にも聖職者の道が開かれる可能性があるのか
いろんな可能性が未来にはあるよ
って伝えたかったのかな?
キリスト教徒の方々の感想を知りたいところです
不愉快に感じてない?怒ってない?
レイフ・ファインズは
ヴォルデモートの印象が強いので
この役は良かったと思う
公開している映画館
意外と少ないですね
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