教皇選挙のレビュー・感想・評価
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Condensed, profound, majestic mystery.
“Certainty” 確信、この言葉が脳裏に焼きつき、その意味を問い続ける私がいた。Cardinal LawrenceがConclaveの開始を告げるspeechで語り、映画ラストパートでも言致されるword. 人は物事に対し確信ありきと決断を下し行動に移る。しかし、確信と疑念のはざまで揺れ動き真の正当性に悩めるのが、人間の本質である。Ralph Finnes演じるLawrence、今自らがすべき正しい事とは何なのかと苦悩する姿は凄みすらある。“Manage!” と覚悟を決める彼の決断と責務は余りにも重い。
Sistina礼拝堂で彼が最後の票を投じたその時、爆音と共に天窓が破れ光と空気がCapelに流れ込み煙った静止場面は、まさに神が“最後の審判”を下した瞬間を捉えた中世の絵画のようであった。
聖職者達が、キリスト教頂点の権力の座を狙う様々な陰謀と策略の末に、ベニテス枢機卿が選出され、納得の結末かと思いきや、予想打にしない彼の真実。これも神の所業か、再度苦悩するLawrence。
Conclaveの終わりと共に平和な日常が戻り、無垢なsister達が明るい声を発し扉の外に出る姿を、窓から見降ろす彼の穏やかな表情が、安堵を与えてくれる。
素晴らしい、映画の醍醐味でした。
PS 世界24億人のキリスト教徒の最高権威である教皇の私室が、遥か予想外に質素で慎ましやかであることには、とても驚きました。
まだ早いけど今年のベスト1❗️
キリスト教物だとエクソシスト物や超大作は観ているけど、教皇選挙物、コンクラーヴェは初めて。公式サイトや拙い知識はある程度、予習しました。
密室劇のミステリーでめちゃくちゃ良かった❗️
まさに教皇選挙版、仁義なき戦い❗️
人は死ななくても権謀術数、泥臭い人間模様に120分の密度がぎゅっと濃厚❗️
レイフ・ファインズ、ジョン・リスゴーを初め役者たちの演技も見事❗️
途中、キーパーソンとなる枢機卿のセリフには涙が浮かんでしまいました…。
これでアカデミー作品賞が取れないとは…、残念。
確か天使は両性具有だから新教皇はまさに天啓❗️❓
ハラハラ、ドキドキ、そしてビックリ
世界で12億人以上が洗礼を受けていると言うキリスト教最大の教派・カトリック教会の最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。新教皇を決める教皇選挙・コンクラーベに世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂で極秘の投票がスタートした。票が割れ、規定の票に達するまで何度も繰り返し投票が行われるが、水面下でさまざまな陰謀、スキャンダル、があり、選挙を執り仕切ることとなったローレンス枢機卿がスキャンダルの候補者に辞退を迫り、最後に教皇に決まったのは・・・という話。
ローレンス枢機卿役のレイフ・ファインズが素晴らしかった。
ハラハラ、ドキドキしながら観れた。
最後の新教皇決定後の告白にはビックリした。
何かベースになった事実は有るのだろうか?
確かに、女性がトップになっても良いよね。
ミステリーなど比じゃない衝撃
基本予備知識なしで映画を観るので衝撃的な結末に顎が外れそうだった
下手なミステリーよりも驚かされたね
男女平等を叫ぶ時代を越えて、多様性が叫ばれる時代になっても女性の枢機卿など夢のまた夢だろう伝統を重んじる教会で密かに誕生していたトランスジェンダー枢機卿
そして彼(彼女)がまさかの教皇になるとは
女性の枢機卿など100%ないと言う思い込みが余計に衝撃を大きくした
こんな映画が生まれる時代がやってきたのか
抗う伝統を牛歩のごとくゆっくりと覆しながら少しずつ時代は進んでゆく
きっと「アノーラ」と「教皇選挙」はアカデミー賞の水面下で一騎打ちだった事だろう
テロに襲われる街で行われるコンクラーベはまさに世界の縮図
世界のそこかしこで、この映画と同じ戦いが繰り広げられている
世界にもっとたくさんのベニテス枢機卿のような思考をもつ人間が産まれなければ世界滅びの道へ進むだろう
平和ボケした社会からはきっと産まれにくい思考をもった人材をいかに産み出すのか
社会の重要な課題にすべきだ
最後の投票の場面
テロによって穴のあいた天井から風が吹き込む
閉ざされた部屋で枢機卿と言う権力者だけの密室で行われていたコンクラーベに外部からの新しい風
世界に必要ものは何なのか
あの場面が素晴らしいクライマックス
と、思いきやその後に明かされる衝撃の秘密
伝統をぶち壊す衝撃の事実の大きさに戸惑う彼の目が見るのは開いた窓の先を楽しそうに歩く若いシスター達
これから目の前にある大きな壁がぶち壊される衝撃的な時間がやってくる
知識があれば…
コンクラーベという、名前は知ってるけど詳しくは知らないテーマ。
それをミステリー風に仕立て作品でした。
結論としては面白かった!
それぞれの陣営の思惑や、それに対しての対応など見応えもあり、現代の問題も取り上げていて楽しめました。
最後のオチは何となく読めたけど、十分面白かったですね。
なるほど……
枢機卿って街にいたらすっっごく偉くて
普通なら会うことすら出来ないくらいの人なのに
この映画では会社でいう定年間近のジジイ集団が、空気の読み合いで社長を決めるみたいな印象で
神やキリストへの信仰もあまり感じないし
本当にコンクラーベってこうなの?
何か思ってたのと違う( ̄▽ ̄;)
隔離からの解放のシーンは良かった
私も新鮮な空気が吸えた気がする
亀の意味はイマイチわからない
前教皇が持ち込んだのなら
すべては前教皇の掌の上でした
ってこと?
流石にバチカンに気を使って?
新教皇のお披露目シーンは無かった印象
(法衣も着せていない)
女性は聖職者になれないのに
新教皇は両性具有なわけで
いつかそのことを公表するのか
女性にも聖職者の道が開かれる可能性があるのか
いろんな可能性が未来にはあるよ
って伝えたかったのかな?
キリスト教徒の方々の感想を知りたいところです
不愉快に感じてない?怒ってない?
レイフ・ファインズは
ヴォルデモートの印象が強いので
この役は良かったと思う
公開している映画館
意外と少ないですね
おもしろい
法王がなくなって、コンクラーベで次の法王を選ぶ数日間を描いているけれど、その中で陰謀や工作がはりめぐらされている緊張感あふれる内容。最後の最後まで目が離せない。アカデミー脚本賞納得のできです。
時事性も織り込んだ、傑作ミステリ
結論。
とっても面白いミステリでした。
一般常識的な知識があれば、予習も不要。
人の名前が少し多いので、ちゃんと覚えながら観るとより早く馴染めます。
(ここから先、ストーリーとネタバレに触れます。)
カトリック教会の「教皇」という、支持者の数で言えばアメリカ大統領を遥かに凌駕する影響力や名声を手にする権力者を決めるコンクラーベ。
こんなに興味深いテーマなのに、これまで映画などでもあまり取り上げられて来なかった気がする。ま、情報が無さすぎるからなんだろうけど。
閉じられた空間の中、「聖職者」が聞いて呆れる権謀術数。
その地位を手に入れるために、説得や駆け引きはもちろん、買収や謀略が繰り広げられていき、有力な候補者が次々と舞台を去ることに。
成り行き上(当初望んでいなかった)主人公が、先代の遺志を継ぐいわば「リベラル」派の代表としてついに立ち上がる意思を示した時、テロによる爆破事件が発生し、投開票の会場となる大聖堂の高い窓が破壊される。
密室でお互いが疑心暗鬼になりながら、自分と自分の仲間のことしか頭になかった彼らの前で、主人公の「リベラル派」、先代までの方針に批判的な「保守派」とは異なる第三者である、中東の紛争地域で活動する枢機卿ベニテスが放つ「敵は自分の中にいる」「教会は前に進まなくてはならない」という言葉。
まさに、破壊された窓の外から吹き込む外界からの風を感じた枢機卿らは、閉じられた場所で内向きな争いを続けてきた自分達を振り返り、外を向いて前に進むための選択をする。
ここまでは、コンクラーベをテーマにした物語として、「いい話」ではある。
しかし、ここで話はおわらず、本作最大のサプライズが明かされる。
選ばれた新教皇ベニテスは、インターセックスであったという衝撃の事実。
ベニテスは前教皇承知のもと、このコンクラーベに、あえて子宮や卵巣の摘出などを行わずに臨んだ。
「この身体も神の御業であるから」と。
まさにキリストのとなえた「神の前では皆平等」。
女性の枢機卿、ひいては女性教皇の何が問題なのか。
今回のコンクラーベで、30年前の女性への暴行で失脚した枢機卿は、アフリカ系の黒人という、西欧社会では差別されてしまう側にいながら、LGBTQに対しては差別的な思想を持っていた。
差別は、誰の中にでもある。
ベニテスが言った「戦う相手はいつも自分の中にある」という言葉は、そうやって他を排除してしまう自己を省みよという意味でもあり、また、ベニテスにとって自身のまさに「中」にある「女性としての自分」との向き合い方にも繋がっていく。
ベニテスが好きだと語った亀は、キリスト教世界においては「不動」「忍耐」「知性」のイメージで語られるらしい。
自らを外界から隔離し、視線を「中」に向け続けるコンクラーベというステージだからこそ、見えなくなるものがある。
自分たちがどうあるべきか。それは、外界との関係や立場を踏まえてこそ初めて答えが見えてくるのでなはいか。
そして、これはコンクラーベなどという特殊は場所だけでなく、世界の多く、我々の周りでもあちこちで見られる内向きで不毛な派閥争いを表している。
彼らは、テロリズムによって数十名の市民の命を失ったことでようやく前に進むことができたという皮肉でもある。
「私たちは教会につかえているのではない。神につかえているのだ」
「裏切り者、ユダめ」
印象的なセリフもたくさん。
普遍的な内容でありながら、「多様性」や「民族紛争」などといった時事的なテーマも織り込んだ、よくできたミステリ。
レイフ・ファインズの渋い演技に、ジョン・リスゴーの巨体悪役感も健在。
黒と赤と白の画面デサインも美しい。
おじさん集団
シンプルな作品でしたが、ラストが意外でした。リアルではまだまだできなそうですが、作品中では現代にアップデートできてたバチカン。あと男性優位とかおじいさん・おじさんだけの集団って本当気持ち悪いですね。ある意味、今の日本の権力中枢みたいでした。服装が違うだけで。
コンクラーベの室内に風が流れる
静やかで、息遣いや老眼鏡をかける音などが大きく感じるような空間だった。それは厳かであり、排他的でもあった。
そこに、小さな風が吹く。完全に閉じているはずのコンクラーベに、風穴が空いた描写は、宗教性を感じた。
しかしこの作品は、見る人によって感想が大きく変わりそうだと感じた。
敬虔あるいはそうではなくともクリスチャンが文化や思想に根付いてる人と、そうでない人でも違うだろう。またこの作品のバランスは、保守もリベラルもどちらも評価しづらそうだな、と感じた。昨今のその手の目線で評論しなければならない立場の人ほど、評価をすることをし難いのかもしれない。正直、クリスチャンが文化思想に根付いておらず、中庸な人の方が色んなものに引きずられずに最もこの作品を楽しめるのではないか、とすら感じた。
私の目線では、聖職者の枠を超えるような悪がいるわけではなく、しかし否定したいようなことはそっと否定され、否定したくないものはちゃんとそこに在って、何か大きな改革が起きた訳ではなく、しかし少しだけ窓が空いた気がしなくもない。一貫した温度感と質感が、とても良い作品だった。
ミケランジェロだって本当はやりたくなかった
ローマ・カトリックのトップ(教皇)を選出するための会合(コンクラーベ)を舞台にした小説の映画化。
教皇からの信任厚く、他の枢機卿からも一目置かれるトマス・ローレンス主席枢機卿(猊下と呼ばれていたけど、教皇は何て呼ばれてるんだろう)。
上昇志向も権力欲もない彼は辞任を申し出るも許されず、教皇の急死によって開かれるコンクラーベを自分が執り仕切ることに。
コンクラーベの会場はシスティーナ礼拝堂。有名な祭壇画『最後の審判』が映し出されるが、焦点は合っていない。
設営する神父を見上げるようなアングルでカメラが旋回するが、決して他の天井画を捉えない。あとで考えると、閉鎖性、秘匿性の高いカトリックの暗喩にもみえる。
コンクラーベは上位得票者による決選投票などなく、誰かが有効得票に達するまで延々繰り返されるという、冗談みたいだがまさしく根競べ。
決着がつかずに焦燥感を募らせるトマスは『最後の審判』にたびたび視線を向けるが、彼の主観で映し出されるのは荘厳に描かれたイエス再臨や美しい聖母ではなく、苦悶する人間を地獄へと引き摺り込もうとする醜怪な悪魔。
神に最も近い場所に仕えながら、他人を蹴落としてでも玉座を勝ち取ろうとする聖職者の内面を象徴しているかのよう。
ある媒体によると、原作者はフランシスコ現教皇選任の際のコンクラーベから想を得て起稿したそうだが、シチュエーションはどちらかといえばヨハネ・パウロ二世の時の方に近い(現教皇の前任は生前退位)。
有力候補が次々と脱落するなか、トマスはリベラル派の仲間から教皇になるよう促され「自分はジョン(ヨハネ)を名乗る」と決意する(因みに、英語圏でのヨハネ・パウロ二世の呼び方はジョン・ポール・セカンド)。
しかし、物語は予想外の結末に…。
急逝した前教皇の人間性やポリシーが不明なので、個人的にはいろいろ邪推したくなる。
対抗馬のアディエミと関係を持った修道女を呼び寄せたトランブレは、前教皇の指示だったと主張し、前教皇が彼を解任しようとした理由もほかにあることが発覚。でも亡くなった前教皇から証言を得られる訳もなく、真相は藪の中。
もし本当にアディエミの教皇就任を阻みたい意向を前教皇が持っていたとすれば、それはスキャンダルゆえなのか、それとも有色人種だからか。
メキシコ出身のベニテスの容貌はメスティーソ(白人との混血)というより、純粋な先住民に近い。
しかも彼の場合、非白人というだけでなく、身体の特異性は厳格なカトリックの立場からみればキメラ(怪物)のようなもの。
彼に紛争地ばかり担当させていたのは、バチカンから遠ざけたかっただけ?それとも、偶発的な排除を期待していたから?!
現実のバチカンも保守派とリベラル派のせめぎ合いが厳しいと聞く。
そんな中、リベラル派の現教皇は健康が不安視され、本当にコンクラーベが開催される可能性もかなり濃厚。
次はどんな人物が教皇の座に着くのか。
システィーナ礼拝堂の天井画や祭壇画を製作したミケランジェロは彫刻家としての自負が強く、絵画至上主義のダ・ヴィンチと対立した話は有名。
礼拝堂の絵画も当時の教皇に無理強いされてやむを得ず引き受けている。
作中のトマスもベニテスも本来なら教皇になりたくなかった人物。そのことを踏まえると、どんな人物が教皇にふさわしいかは、システィーナ礼拝堂自体が示唆しているように思えてくる。
ほぼ対話だけで成立する120分の映画を、熟練の俳優陣が弛緩なく見せてくれる。
予備知識がなくても十分堪能できる作品。
■追記■
猊下は本来、仏教用語で、日本なら座主や管長といったトップ中のトップにしか使われない敬称。
NO.2のトマスが猊下と呼ばれていることに違和感があったので、調べてみたら教皇には「聖下」という特別な敬称が用いられるのが一般的とのことでした。
シンプルイズベスト
原作者のロバート・ハリスはNetflix配給「2人のローマ教皇」で描かれた2013の教皇選挙にインスパイアされたフィクションだそうで、同じくNetflix配給「西部戦線異常なし」のエドワード・ベルガー監督が手掛けたということで国境のないNetflixだからこそ描けたかような教皇選挙の舞台裏を短期間で2本も観れて本作で本当にお腹いっぱいになれました。
脚本を手掛けたのは2重スパイを暴く難解映画「裏切りのサーカス」の脚本家ピーター・ストローハーン。本作「教皇選挙」でアカデミー脚色賞を受賞!
「裏切りのサーカス」でも会議室という閉ざされた部屋の中で、2重スパイをどう暴いていくかという濃密な密室劇だったのに対し、本作でもやはり選挙が行なわれるシスティーナ礼拝堂という隔離された空間の中でのサスペンスとなっている。
礼拝堂から一歩も出ない。聖職者以外は一切出てこない。色もモノトーンと赤のみという徹底したミニマルなつくりで(差し色に教皇の指輪の純金"金色"をタイトルに使用。)とにかくデザインが洗練されていてカッコいい。
後半、いざローレンスが教皇に選ばれるか?!というところで突如教会の高窓が爆破されるという事件が発生。選挙は仕切り直しになり、その間トランプ大統領的なレイシストであるテデスコ枢機卿にトドメを刺すベニテス枢機卿の感動的なスピーチにより選挙結果が覆ってしまう。
教皇の地位を望まぬものが選出されるように導かれるような、神の存在を薄っすらと感じさせるつくりになっていた。
ラストで前教皇の象徴でもあった亀を池に連れ戻すという描写は、引退してバチカンを去ろうとを考えていたローレンス枢機卿が結局は重大な秘密を抱える歴代教皇と同じような重荷を背負ってしまい、結局はバチカンから逃れられない。という描写だったと思います。
ローレンス枢機卿を演じたレイフ・ファインズをはじめとする役者陣の演技もよく、エッジの効いた音楽、ラストの衝撃展開など非の打ち所がない映画だった。
周囲は絶賛していますが、背景を思うと…
<致命的なネタバレを含みます>
映像をはじめ演出がとても美しく、俳優陣の迫力もとてもよかった。
ミステリーとしてもよくできているし、心理戦も素晴らしかった。
でも私はこれを手放しで人に薦めようという気持ちには、
今のところまだなっていません。
以下、これをご覧になっている方はすでに鑑賞済みという前提で書きます。
最後に選出された人についてはその人となりや属性から、
「希望が見いだせる」「よかった」という声が感想として多く聞こえてきました。
ですが、私はどうしても空しく悔しい気持ちが大きかったのです。
最後に仕切役が頭を抱えるその姿から私の耳に聞こえてきたのは
「ああなんということだ」という悲嘆でした。
本作の肝となる人物は、前教皇の進言に寸前のところで思いとどまりました。
その姿で今後に臨むことが本作の明るい未来なのだ、
きっとそう印象付けられているのだと思います。
しかしながら、おそらくその人物に対して見る目が変わってしまった仕切役の心、
あくまで秘密が明かされぬまま任務を遂行するであろう未来、
(仮に明かしたとすれば命すら脅かされないであろう現実)
これを思うと、なんとも居たたまれない気持ちになりました。
2025年、教皇庁の主要な役職に女性が就いたそうです。
ですが、これまでどれだけ優れていてもその座に就くことが叶わなかった人たち、
「見えないものとされた(今もなおされている)」人たちのことを思うと、
なんとも歯がゆい気持ちが残ります。
おそらくキリスト教、カトリックの世界を知っている人たちと、
私たちのようにキリスト教の普及率がそれほど高くない地域の人では、
この映画に対する感想も異なってくるのだと思います。
それはおそらく映画に造詣の深い男性なのか、
特に映画鑑賞を趣味としない女性なのか、
個人個人の背景によって着目するところが違うでしょうし、
各々にどのようなバックグラウンドがあるかによっても、
捉え方が変わってくるのではないでしょうか。
そのような意味で私は中央の点数をつけました。
声に出さないだけで、同じような思いを抱いた誰かと共有したくて。
なお、メタファーとしての亀やカナリアは膝を叩いた。
音響がすごい
満席の劇場で鑑賞。
若い美男美女はいっさい出て来ず、かわりにいい顔のおじさんおばさんがいっぱい出て来て見ごたえある!
実際のコンクラーヴェにどれぐらい忠実なのかわかりませんが、今日どんな組織でも保守(伝統重視)とリベラル(多様性重視)が争っていることが描かれた現代的なストーリーでした。
音楽だけでなく、どうやって録音してるのか息づかいとかちょっとした物音が「ここまで強調しなくても?」というぐらいデカくて、サスペンスが否応にも盛り上がります。
投票の途中で聖堂が爆破(予告編にも出てくる)はちょっとやりすぎと思いましたが…
レイフ・ファインズ(内心の苦悩を静かに表すすばらしい演技!)はじめリベラル派枢機卿たちは多様性を称揚するが全員男性で、男たちの権謀術数のかげで料理とかを準備するのは全員女性、という非対称性がこれでもかと描かれなんだかなあと思っていたら、最後そう来たか! このエンディングはカソリックのあいだで賛否が分かれそう。個人的には、貧しいものは幸いなりというキリスト教の教えにもかなったものだという気がしましたが。
サスペンス・ミステリーとしてもとても面白いです。
ミステリーとして静かに物語は迷走していく
映画の雰囲気や曲が重厚で、私は凄く好きな映画になりました。
とても面白かった。
もっとドタバタと展開する映画かと思っていたけれど、ミステリーとして静かに物語は迷走していく。
山場が来たと思っても、土俵際で二枚腰で粘られて、最後はすくい投げで決められる、みたいな感じ。
何となく思っていた予定調和を最後まで覆される心地よさが残りました。
タイトルなし(ネタバレ)
こちらの方がアカデミー賞に相応しい、なんて感想を見る度になんか保守的な映画の見方してるのではとか思ってましたが、実際観てみると現代世界のアクチュアルな問題を描いてるし、選挙の駆け引きもエンターテイメントとして面白いしとんでもない傑作でした。
アカデミー賞は尖った映画にはとりあえず脚本(脚色)賞だけあげとけて傾向はありますが、この映画もそんな感じの扱いされたのかもしれません。
※以下、ネタバレになるかもしれない余談
30年くらい前、コンクラーベて名前の競走馬がいたのですが、牝馬にこの名前つけるとは先見の明があったのかもしれません。
認められる人、認めさせる人
カトリック教会の最高位聖職者であるローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ」の裏側に迫るフィクション。
世界中から集められた枢機卿がバチカン宮殿に隔離され、根回し牽制し合いながら、3分の2以上の得票者が現れるまで投票が行われていくドロドロなドラマをみせていく展開で、何かと言えば死人に口なしな教皇は知っていた…。
早々に有力候補は数人に絞られた上で話しは進んでいくけれど、映画的に登場の仕方でピンと来てしまう人がいるし、いよいよ白煙というところから後も、問題が…の時点でなんとなくそんな気が…まあ流石に半陰陽的な感じだったのは意外だったけれど。
信仰心の強い方、特にカトリックの方にはショッキングだしセンセーショナルな作品なのかも知れないけれど。
映画とはいえこういう問題が、教皇にまで及ぶ様子を描いたのはなかなか良かったかな。
取り上げている問題は違えど、ゴッドファーザーPart3が何度も頭をよぎった。
荘厳な作品だが、トロい前半がマイナスに ★3.7 (途中からネタバレ)
荘厳なサスペンスだが、前半が起伏なくトロい印象でマイナスに。
(原作がある本作は脚本賞「Original Screenplay」に属さず脚色賞「Adapted Screenplay」となる)
教皇の死または辞任に伴い、世界から100名以上の枢機卿がバチカンに集まり、社会から閉ざされたエリア内で、次の教皇をその中から選出する。
3分の2以上の得票を得る者が現れるまで、何度でも再投票をするそのシステムがコンクラーヴェ。
本作はその一部始終を描いてる。
が、各枢機卿も人の子。 皆それぞれにその座に就くには難点を持つ。
●不正に他者のスキャンダルを煽ってまでその座を狙う狡猾者
●収賄を甘んじて受け入れてしまう者。
●その座に相応しい品格を持たない者。
●十分な資質を持ちながら、当人がその座を望まない者。
●その混沌とする状況の中、正論を説く者。
キャスティングはまずまずなので
誰がその役を演じているかは、想像してからご覧を♪
まるで政治家の選挙までのロビー活動が、コンクラーヴェでも行われていて、
根回し合戦が横行。 これがもっと面白く描かれてもよかったのではとも感じる
作品的には冒頭からやたら暗い映像が私の感覚では40分以上続く。
枢機卿の衣装や建物は本物?と感じるくらい作り込まれていて、(セットか現地ロケかはチェックしてないが)厳かな映像は流石ハリウッドと感じる。
が、物語も厳かににゆったり進行し、それほど起伏がない前半は暗い映像も相まって睡魔も醸す。 後の事件の伏線も描写しているが、さほどインパクトなく進行し中盤まではまあ我慢タイムか・・。
黒人シスターとある枢機卿のトラブルから、物語がようやく動き出し引き込む展開に。
犯罪サスペンスほどの緊迫感はないが、心理的に働きかける描写は通の映画ファンほど高評価するのではと感じる。
私が一番残念に感じる点は、各人物の行動の思惑は十分表現出来ているが、各自の人格や癖などの魅力が描かれてない点。
レイフ・ファインズは、苦悩する複雑な心境を巧く表す丁寧な演技は流石だが見てる方が気に入る様な描写がほぼない。
様々な謀略が暴かれている中盤以降は重厚な進展で引き込むが、前半のマイナスで私的には★3.7という評価に。
厳かな作品でも微笑ましいシーン等で、もっと寒暖を付けてほしかったと感じた。
ロッテンの評価は高い様だが、IMDbでは★7.4が示すとおり一般者の評価は「重い」印象を与えたのか、まずます止まりでアカデミー効果で上昇するはずが厳しい評価と言わざるを得ない。
ベルガー監督前作「西部戦線異状なし」も私的には違和感ある演出があり、あまり評価していない。
おなじ聖職者のサスペンスでも、ショーン・コネリー主演「薔薇の名前」(1987年)の方が私的にはもっと高評価。
ラストネタバレ↓
終盤の混沌状態でのカブール教区のベニテス枢機卿の、
本当の"聖職者たる言葉" は見事で聖人の様な容姿も相まって、意外だが適格者の登場にこの人こそ・・。と思わせる演出は見入る♪
見事に選出されるシーンにハッピーエンドかと喜ばせてからの、
よもやの LGBT !
またか!
しかもカトリック教会は女性司祭を認めていないので、それが教皇となるとあり得ないほどの大問題。
本作では、ベニテス枢機卿は完全な女性ではなく、
男性と女性の両方の身体的特徴両性具有者両性具有者かもしれないような曖昧な表現での結末。
それは人により「是」か「非」で評価が分かれるだろう。
さらなるテーマと深い余韻を与えようとの魂胆かもだが、
視聴者まかせのラストは私的に後者の判断。
全169件中、121~140件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
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