教皇選挙のレビュー・感想・評価
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寛容の正しさを“確信”するという不寛容
正直、この映画が終始一貫して主張する多様性だの寛容さだのは、実際に政治的文脈で昨今主張する人々が徹底して無視する巨大な矛盾から全く不自由で、正直失笑モノだと思ってます。
多様性を主張するほどに「多様性こそ唯一絶対の正義である」という画一的な思想が強要されるし、寛容さを声高に主張する人ほど「不寛容な(と自らが思う)主張に対しては驚くほど寛容でない」矛盾に無自覚だったりする。
平和平和と無闇に連呼する人に限って、自らの主張を通さんとする時には、平気で暴力的手段へ訴えるのに似た、なんとも堂々たる自己矛盾。
要するに自分とお仲間達だけを一段上に置いて、下へ向けて垂れる寝言に過ぎないと思っちゃうんですよね、ぶっちゃけ。
ただ、まあそれは別にいい。
映画なんだから。ハリウッドのおハイソな人達は変わらないなぁって思うだけ。
とにかく、この映画は「高級と娯楽」を両立した素晴らしい映画だった。
相変わらず主にテレビ屋さんの支配する日本の映画に置き換えては絶対に考えられない、画面の高齢化。男たちの顔面に刻まれた深い皺が画面を埋め尽くすシルバー映画!
だが、なんと贅沢で豊かな絵面だろうと思った。
まあ世界最高位の聖職者たち(腹の中がどれだけ黒くても!)が一堂に会するイベントを描く訳だから、建物も衣装もやっぱり尋常じゃなく美しい訳で。
音楽も主張し過ぎず、むしろ登場人物達の履く(おそらくとんでもなく高級な?)靴が磨き上げられた教会の床を鳴らすコツコツという音が非常に印象的だった。
で、その道具立てを使って繰り広げられるドロッドロの政治劇。主役のローレンス枢機卿の、生真面目な調停者でありながら、誰を通したいという明確な意思を持ちつつ、しかしできるだけ公正でありたい...という揺れるキャラクターがいい。
それぞれの有力な枢機卿達のキャラクターも良く立ってるし、名探偵の助手君がまた絶妙なテンポで新情報を耳打ちしてくれるもんだから飽きる暇もない!
「俺は今映画を観てるんだ〜」という気分に毎秒浸れる重厚なルック(昨今貴重!)で面白い事をドゥンドゥンやってくれるんだから最高に決まってる。
何気にさりげなくディテールの細かい描写で、どこまでがホントなのかは知らないけど(パンフ売り切れの為...)、カトリック総本山での高位聖職者の生活や、勿論コンクラーヴェの進め方もヘェーと興味満点で楽しめる。
残念なのはオチかなぁ。まぁこれがやりたかったんだろうなとは思うけど、正直「ふむ。で、だから何?」感が否めなかった。蛇足だったんじゃないかなぁ。主張としてはともかく映画としては。
あんなんを最後のドンデン返しにするぐらいなら「犯人はヤス」オチで良かったんじゃないか。(ぶっちゃけ少し疑ってた。お話に奉仕して便利使いされ過ぎだし。)
マジメな話、密室での宣誓の場面をカットして誰が選ばれたか(まああの時点では大体読めてるけど)をぼやかしたまま進めて、最後にバルコニーから広場の信徒達に向けて、新教皇が一席ぶつ、というラストならもうちょい茶番感も薄れて普通に感動できたと思うな。
実際の選挙は5月7日
ネタバレ厳禁
坊主巡り
この映画が制作されていた時には想定だにしていなかったはずだが、先月のフランシスコ教皇の死によってにわかにコンテンポラリーな話題となった本作。いわんや原作は2016年に書かれているので、当時は教皇が積極的に世界各国を歴訪していた最中だった。
実際の教皇選挙がこの映画で描かれたような権謀術数渦巻くものなのかは定かでないが、重厚な語り口と出演者たちの入魂の演技によって、見ごたえのある作品となった。
レイフ・ファインズも還暦を過ぎたが、相変わらずいい役者だと感心する。「シンドラーのリスト」で善人を演じた人は今やすっかりアクション俳優のイメージになったが、片や悪人役だったファインズは芸歴を積み重ねて名優の名にふさわしい存在となった。数々の出演作を見てきて、(シアターライヴで見た「人と超人」も渋かったが)何と言っても「レッド・ドラゴン」のダラハイド役が強烈な印象を残す。
「薔薇の名前」と違って、殺人などの血なまぐさい事件は特に起こらないが、投票の経過そのものが十分スリリングだ。ロマン・ポランスキーの映画の脚本や原作にもクレジットされているロバート・ハリスは基本的にミステリー寄りの人らしく、本作でもいくつかのツイストを効かせているが、finishing strokeはもっとインパクトが欲しかったところ。
煙突から出る黒い煙と白い煙。白い煙を見せなかったのはなぜ?当たり前のように黒澤明の「天国と地獄」の赤い煙も思い出した。
開けてビックリ教皇候補不祥事ビックリ箱
天井の穴から風がそよぐ
眠てえ作品でした
宗教に興味がなくても、ミステリー映画として楽しめる
フランシス教皇の死去に伴うコンクラーベが迫っていることも影響しているのか口コミか、田舎のシネコンでも上映が始まったので観てきました。連休中ということもあるでしょうが、お客さんもまあまあ多かったですね。
100人以上の年寄りの男性が集まって(女性は蚊帳の外!)、密室で3分の2以上の得票者が集まるまで日を改めて選挙を続けるという、画面から加齢臭が漂ってきそうな感じなのですが、票を集める駆け引きや陰謀がうごめき、宗教に興味がなくてもミステリー作品として楽しめます。
前評判が非常によいので、期待しすぎる悪い癖が出たので、思ったほどではなかったので、採点は厳しめです。
レイフ・ファインズも歳を取ったなぁと思ってみていましたが、今調べたら62歳だったので、老けメイクだったのかな…
眠みに負けました
ああ…なるほどそうきたか!
最後にどんでん返しがあるとの情報を持っての鑑賞。
おお!そうきましたか。
今の時代らしいね。
皇帝選挙は、ホント権力欲のためのいろいろ、ドロドロ
だけど、そこは想定の範囲。
途中、ちょっと眠気も💦
だけど賞を取るに相応しい作品ですね。
まさにタイムリー
2025年5月7日からコンクラーベが始まるらしいことで、そんなタイミングで鑑賞できてよかったです。
正直知らないことばかりで、他の方が言う、次々に色んな事が起る極上のミステリーって感じはしませんでした。作品の素晴らしさは理解できるものの、私自身の無知さからか何が起こっても「そういうものなんだ、、」と受け入れてしまい、あまりミステリーを見ているようには感じませんでした。
オチもカトリック教界隈ではとんでもない事なのかもしれませんが、「なるほど、そうなのか、、」と思って見てしまいました。よかっただけに、演出もそういうことならもう少し上手い見せ方もあったんじゃ?と思ってしまいました。
しかし、バチカンの歴史に裏打ちされた厳かな雰囲気や、衣装、なによりレイフ・ファインズの演技は素晴らしくオスカーでもよかったと思いました。(シャラメもよかったですけど。)
ラストが素晴らしい!
老いらくの息遣いが最後までこだまする。
ネタバレされずに観れて幸いだった。素晴らしい作品。
ずっと観たかった本作、公開劇場拡大につき近くの映画館で上映してくれることになり、その初日に鑑賞。
言葉の一語一句聞き逃したくはなかったんだけど、いかせん自分の記憶能力で書き起こすことはかないませんが、素晴らしい作品でした。台詞を書いてしまうとネタバレになってしまうので、そこは割愛します。私はカトリック系の高校に3年間通っていたので、シスターたちにはより思い入れがあります。また最初の食堂でのシーンで彼が現れたときとその彼による食事の祈りの言葉にこそ今回の教皇選挙が象徴されているようで印象に残りました。
確信と疑念、信用と虚偽。枢機卿という立場でさえ人の業というのか、私利私欲で動いてしまう。冒頭から最後まで終始息づかいを感じるのは、どんな崇高な役職だとしても一人の人間なんだという証に見えました。まさに心理戦の醍醐味。ネタバレされずに観れたのが幸いしました。
事前知識なしで評判だけで観に行ったので、登場人物の名前と顔を一致するのに少し時間がかかりましたが、選挙のたびに名前が連呼されるため覚えることができました。なんといってもストーリーが良い、これぞ私が観たかった映画です。観に行けて良かった。吹き替え版もぜひ製作上映してほしいです。
聖職者達は意外にも世俗的だが崇高な映画
本年度ベスト級、重厚な人間ドラマ
遠い地バチカン、世界最古のカトリック教会ローマ教皇を決めるコンクラーベは私にとっては一種のファンタジー。無宗教の日本人だからこそ極上のエンタメとして最高に楽しめました。
薄っすらとしか知らないキリスト教、前情報もあらすじを齧るだけで充分。誰が主演?から鑑賞時始まったのに最後には今作の虜となった。
レイフ・ファインズ演じるローレンス枢機卿の周りには半世紀以上生きた老齢ばかり。選挙という名のパワーゲームではあるものの彼は選挙の進行役であり選挙の参加者でもある。そして次々に彼の胃を痛める事件や新事実が発覚し…。
登場人物の個性も役割も魅力的でした。国、人種、性別など関係なく訴えてくるものがある。
クライマックスは2度あった、どちらも号泣し脚本の巧みさに拍手喝采。レイフの息遣いを拾う音響の拘り。バチカン総本山でのロケーションは素晴らしく画角に収まらない芸術も美しかった。
感想は山程あるが興味のある方は是非足を運んで先読みの出来ないサスペンスと言う名のヒューマンドラマに酔いしれてほしい。
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