教皇選挙のレビュー・感想・評価
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確信と確信の狭間にあるもの
下から見上げる高みは美しく輝き、気高く見える。その輝きは下々の者の歩みを導く。しかし眩い輝きはその実態を隠す。高みへの歩みは厳しく、誰もがたどり着けるものではない。そして輝きの正体を知る。
際立った高みは、近づけば近づくほど空気が薄くなる。その薄さに気づける者は幸いである。慣れるか降りるか、命がけでさらなる高みへと向かうのか選択ができる。気付かなければ、自らを蝕むのみ。
途中までサスペンスとして面白いと思っていたのだが、後半から人間の業の深さを描いたドラマとして面白いと思った。
結末の具体はともあれ、排除された者であり最も苦しんだ者であり無垢に自らを受け入れた者が高みに昇る姿には希望がある。あると信じたい。
神を理想とする彼らが1番人間らしい
突然のローマ教皇の死により、次の教皇を決めるために世界中から100人以上の候補者が集められ、外部と完全遮断された礼拝堂で教皇選挙〈コンクラーベ〉が行われる。
文字に起こせばこれだけの話ではあるのに、その話の中に保守派とリベラル派の対立、聖職者のスキャンダル、野心、汚職、多数派と少数派…様々なテーマが次々と何重にも重なってくるのがおもしろい。
神を信じ、神という理想に少しでも近づけるよう生きる彼らが、むしろこれでもかというほど、生々しく人間らしい姿を曝け出すのも、おもしろい。
選挙を取り仕切る主人公ローレンスの息遣いや足音が作品内でもすごく強調して響き渡っていて、それがより一層緊迫感や焦りみたいなのを感じさせてくる。それもあってか、まるで自分もあの場で選挙に参加する1人になったかのような気持ちになった。まさにスリリングなサスペンスエンターテイメント作品!特に最後の衝撃は、是非映画館で味わってほしい。
また、劇中色彩として赤がところどころで印象的に描かれていて、それが絵画のようでとても美しかった。
色彩だけでなく、選挙の準備ひとつをとっても、歴史や気品を感じられる作法や衣装に、思わず「美しい…」と見惚れてしまうシーンが度々あり、その手もこの作品が魅力的だった部分のひとつだった。
宗教に対しての新たな気づきもあり、音と色彩と巧みな脚本で満足度の高い作品だった。
最後に驚きはある
新教皇を決める教皇選挙のことを「コンクラーベ」というらしい。世界中から集まった100人を超える候補者たちが、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうでただひたすら投票を繰り返すその様を執拗に丁寧に描き出している。ちなみに「コンクラーベ」とは「鍵をかけた」という意味で日本語の「根比べ」とは無縁とのこと。
権力を前にするとどんな聖職者とされる人間でさえも時に俗物に成り下がる。観ている私たちは観てはならないものを観せられた気がして気が滅入る。決して同じではないと願うが、普段私たちが直接見ることのできない総理大臣選挙など清廉や潔白を求められる選挙が、この映画のように絶望すべき俗物感情のメロドラマだとしたら最悪だと想像してしまう。
ストーリーは地味で単調なのに、役者の重厚でしっかりとした演技と美しい映像が見応えがあり不思議と長いとは思わない。観客は次第に投票を見守るオーディエンスの立場から投票者側の心情に変化していく。一体誰が教皇に一番相応しいのか?答えを探しながら物語に没頭していく。故ローマ教皇の真意はどこにあったのか?その真意と思惑通りに教皇選挙は進んだのか否か?
ラストにもうひと波乱あり?!
うん、驚きはある
なるほど🧐
選ばれるべき人はいつも一番遠くで変わらぬ心を貫き通す人なのか…
【この映画をオススメな人は】
寝不足ではない万全の体調の方
じっくり味わい深い映画が好みの方
アカデミー賞受賞作品はぜひ押さえておきたい方
多様性尊重と反動。疑うことと確信。宗教にとどまらない、現代の問題を突きつける
原作は、やはり映画化された「ゴーストライター」など複数の邦訳がある英国人作家ロバート・ハリスが2016年に発表した小説「Conclave」。映画化作品が日本で2025年3月20日に公開され、約1カ月後に当時の教皇フランシスコが死去しコンクラーベが実施されたことで関心が高まり、2カ月を超えるロングランヒットにつながった。原作のほうは8月時点で未訳だが、翻訳出版業界は絶好のタイミングを逸したのでは(どこかの出版社が今頃大急ぎで準備しているかもしれないが)。
ローマ教皇選挙を舞台に、候補者となる有力な枢機卿たちに関する謎や不正をめぐり、選挙を執り仕切るローレンス枢機卿が“探偵役”として真相を探っていくミステリー。レイフ・ファインズをはじめとするキャストらの滋味豊かな演技、重苦しい緊迫感をあおる演出、映像の美しさに引き込まれる。たとえ予備知識がなくとも、ローレンス枢機卿の謎解きによって一人また一人と候補者が脱落していくさまはスリリングだし、思いがけない“アクション”シーンにも驚かされる。とはいえ、先々代のローマ教皇だったベネディクト16世と次の教皇になるホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(フランシスコ)の対話を描いた「2人のローマ教皇」や、カトリック教会のスキャンダルを米新聞紙ボストン・グローブの記者らが暴いた実話を映画化した「スポットライト 世紀のスクープ」をあわせて観ると、フィクションとはいえ本作が21世紀の教会の現実をかなり反映していることがよくわかるだろう。
宗教の話にとどまらない、現代の世界の問題に通じるテーマを扱っている点も、製作国の米英をはじめ各国でヒットした一因だろう。枢機卿らの論争では、多様性の尊重を進めるべきだとする革新派と、昨今の多様性は行き過ぎだとする保守派が衝突する。またローレンス枢機卿は、疑うことが大切であり、疑いなき確信は敵だと説く。原作者ロバート・ハリスの時代感覚を効果的に表現したピーター・ストローハンの脚本も、アカデミー賞脚色賞にふさわしい匠の技だ。
ルックが良い
現実にもローマ教皇が亡くなったことで俄然注目度が増している本作だが、そうした外的要因抜きにしても、非常に面白い作品なので、ぜひ多くの人に見てもらいたい。
まず撮影の見事さ。荘厳な宗教画のような雰囲気が全編に漂うが、登場人物たちは電子タバコを吸っていたり、スマホをいじっていたりして、そのギャップが面白い・古くて厳かなものと新しいものが混ざりあう空間になっているのだ。
古いものと新しいものが混ざり合うというテーマは、物語にも反映されている。保守的な勢力と改革派の勢力が権謀術数を用いながら選挙戦を戦うさまにそれが表れている。史上初のアフリカ出身の教皇誕生の可能性もあったが、保守勢力の策略で失脚。女性の方が信徒としては多いカトリックだが、ここで話し合いをやっているのは男性ばかりという現実。そこに楔を打ち込む存在のメキシコ出身でアフガンの協会からやってきた枢機卿。
亀が印象的だ。亀のようにスピードは鈍いが、ゆっくりとカトリック教会も変化しているのだということの現れか。
レイフ・ファインズはじめ、役者がみな素晴らしい。印象的な顔がいくつもあった作品だった。
選挙という名の極上の密室ミステリー
ヴァチカン中枢の深紅の世界を舞台に据えるという宗教的なリアリティに挑んだ知的興奮もさることながら、本作は選挙という民主主義的過程を通じて浮かび上がる推理小説然とした面白さを併せ持つ。それこそ『裏切りのサーカス』のストローハンが脚色を手掛けたのも、一筋縄ではいかないキャラをチェスの駒のように冷静沈着に動かす手腕が最適とみなされたからではないだろうか。兎にも角にもまるで容疑者の如く候補者が浮かび、一人一人が脱落していくその根拠に至るまでの入念な捜査過程があり、しまいには真犯人登場さながらに最後の一人が、動かぬ説得力と確信性をもって選出される。選挙とはかくも先読み不能なミステリーであり人間ドラマなのかと荘厳な描写力に溜息が出る。まるで『サーカス』のスマイリーのように任務遂行するレイフ・ファインズの機微の演技、さらには自らの信仰心と向き合いながらの葛藤も秀逸。久々に極上の密室ミステリーを仰ぎ見た。
聖職者も人間なんだな
陰謀策謀渦巻く選挙へようこそ!
聖職者って高潔だと思ってた
ほぼトップの枢機卿なんて高潔オブ高潔だと思ってたけど、やっぱ人間なんっすねー
権力権威バリバリ好きじゃん!
対立候補のスキャンダルとか談合して票集結するとか色々やってる
人間じゃん
どうしようもなく煩悩の塊、人間じゃん
枢機卿になっても救い求めてんのな
どこまでいっても所詮は人間
信仰の対象に近づいても欲望を捨て切れるわけもなく、一生救いを求め続ける
でもそれが信仰なのかもね
救われたら。求めることをやめたら信仰なんかいらんわよね
不完全だから人間なんだ
求めるから人間なんだ
生きづらさを少しマシにするのが信仰なんだ
認めることが始まりなんだ
失敗して後悔して認め、失敗し続けるんだ
そんなどうしようもなく人間の中の人間たちのわちゃわちゃした選挙!
面白くないはずがないだろ!
興味深い内容で引き込まれる
教皇選挙で候補者たちがドタバタする話。
選挙の裏側を知れたり、
候補者たちの思惑や陰謀などが
絡み合っていて面白かったです。
音楽や演出も緊張感を高めてくれて
見応えありました。
ただ評判がかなり良かったので、
もっとスリリングなものを期待してしまった、、
予備知識があればもっと楽しめたかもしれない。
異文化を知る
日本で公開される、本当にコンクラーベが開催されるということで見に行きました。
ローマ法王は枢機卿の投票で決まることと、日本にも枢機卿がいることくらいしか知らなかったので、見に行く前にちょっとお勉強もしました。
ニュースで見るだけだと、そこにいる枢機卿のひとたちを記号的にとらえてしまうんですけど。
それぞれに家族や大切な人たちがいて、思惑や感情もある。
そんな中であの選挙を行うんだと、当たり前なことに気づきました。
カトリックの教義的には突っ込んだテーマで。
原作が二千年前の掟は現代で通用するのか、という問いがテーマ。
そんな映画を作っていいよってのが許されるんだなぁというのが、1番驚きでした。
実際この先、宗教ってどうなっていくのかなと思いました。
この人が教皇になるのかな?までは予想できたが…
実話と言われたら信じそう
美しい舞台と、人間の権力争いのドロドロの対比が良い
夫が観たがっていたので、AmazonPrimeで観ました。
面白かったです!
面白かったポイント
■美しい舞台と、人間の権力争いのドロドロの対比
まず舞台が美しくて、この景色観てるだけでもう素敵だわ~と思いました。
白い教会に、教皇の洋服の赤が映えてきれいです。
それに対して、権力争いのドロドロしている感じが対比になっていて良いなと感じました。
■嘘みたいにトラブルがどんどん起こる
「そんなにトラブル起こる?」と突っ込みたくなるくらい、ガンガントラブルが起きます。
ですが、こういう内輪もめって会社とかでもありそう~と思ってしまうところがすごいなと思いました。
教皇というとても神聖な人物を描いているのに、内容は共感しうるものが多くありました。
この取りまとめ役は誰もがやりたくない…と主人公の追体験ができます。
自分がこの主人公の立場であれば、
「もうとにかく、誰でもいいから穏便に決まってほしいな」
と思ってしまうタイプなので、共感できました。
■ラストは考えさせられる
多様性が叫ばれる中、多様性と伝統とをどのように両立させていくのか、どちらを重んじるのか、という問題は今後いろいろなところで出てくるのだろうなと思いました。
名前を呼んではいけない人
個人的には無宗教なので、教皇選挙にもあまり興味はありません。
閉ざされた世界なので神秘的にも思えますが、聖職者と言えど所詮すべては人間社会の出来事です。
作品としては、映像が美しく、スキャンダルが絡み合ってミステリアスに進んで行きます。
どちらにしても、私としては、ハリー・ポッターのほうが好き (-_-)† アーメン
教皇選挙は こんくらべ 。。。
何百年もこんな感じなんだろうね
久しぶりに意思の入った映像を見た
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