「人智を超えた存在の描き方」教皇選挙 バタピーさんの映画レビュー(感想・評価)
人智を超えた存在の描き方
数年に一度くらいの頻度でやってくる、エンドクレジット中に茫然としてしまう映画。
最後10分ほどの展開と予想のさらに向こうへ連れて行ってくれる感じ。すごかった。
教皇というものの立場がどこまでのものなのか、私は存じ上げないが、ベニテスは神が作り出した奇跡であるというような描き方なのかなと思う。
いろいろな立場によって、さまざまな見方ができる作品なんだろうと思う。
私は男(30)だが、
おじいさん達が自分の欲とプライドに溺れてゴタゴタやっている間のストレスは、非常に嫌なものだった。教皇選挙でなくともよくある光景。
しかしそのストレスがなぜいやらしく感じるのか?というところまで考えは及んでいなかった。
最後にベニテスが性別についてのカミングアウトをした瞬間(ベニテスは男女両方の特徴を持つ、インターセックスということで良いのだろうか?)、あの選挙の場にいるのが男だけだったことに初めて気がついた。
男性特有の強欲傲慢さがぶつかり合っている光景をとてもいやらしく感じていたんだと、気がついた。
しかし、良かったことはローレンスが教皇を押し付けられなかったこと。そしていろいろ考えた結果おじいちゃん達がちゃんとベニテスを選んだことかなと。
“普通”の人ではないベニテスがまとめる教会はどんなものなんだろう。
現実ではないのに、気になってしまうね。
今思い返すと、ローレンスは自分の名前を書いて入れた。でもテロが起こって仕切り直しに。そこで次に自分に入れたんだろうか?それとも考え直してベニテスに入れたのか?
暴力に訴える市民が起こした爆発によってローレンスの自分への投票がキャンセルされるという描写が何とも気になる。
神の御業か?
No.1653
