「8手先を読む教皇とその継承者たちにより仕組まれた静かな変革」教皇選挙 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
8手先を読む教皇とその継承者たちにより仕組まれた静かな変革
2024年製作/120分/G/アメリカ・イギリス合作、原題または英題:Conclave、配給:キノフィルムズ、劇場公開日:2025年3月20日。
実際にバチカンで長年にわたり、リベラル vs 保守派の争いがあるらしく、虚構と現実との交差をとても興味深く感じた。そして現実においても映画と同じく、先日教皇がリベラル派からリベラル派に継承された。原作者の想いが成就したということなのだろうか。
映画で印象的だったのは、亡くなった先代教皇(8手先を読むチェスの名手と言われていた)が全てを見越していたという設定。選挙の展開すら事前に読んで手を打っていた。主人公ローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)の選挙遂行上の生真面目さ、自分への投票、不正者の糾弾も全て読みの範囲だったというストーリー展開は、実に凝っていて面白かった。
年配男性ばかりの中、全教皇の意思を貫徹するためシスター(イングリッド・バーグマンの娘イザベラ・ロッセリーニ)が大きな仕事をするのも、意外性が有って面白かった。加えて、新教皇(カルロス・ディエス)は前任者の指示に反し子宮摘出手術を受けないことに決めるというのも、現代的で“とてもいけてる”と感じた。
一方で全体的に、ローマ教皇の神格性や権威性を下げてるようなところがあり、プロテスタント国の米英がこうした映画を作ることは随分チャレンジングとは感じた。実際カトリック界から批判もあると聞くが、カトリック信者たちは実際にこの映画をどう感じているのだろうか?、しっかりと知りたいところだ。
終盤、ローレンス枢機卿による礼拝堂内にいた亀を水場へ運ぶシーンは、最初意味不明であった。ただ前教皇がとても可愛がっていた亀ということなので、「前教皇、貴方のほぼ思う様になりましたよ。ご活躍、お疲れ様でしたと」の趣旨なのであろう。
そして最後、シスター3人のカットで終わるのは、映画館外に出た時「アレは謎だった」との声も聞こえてきたが、これからのカトリック教会を動かすのは、彼女たち女性というメッセージに感じた。声高に言わない、未来への予感と。
監督エドワード・ベルガー、製作テッサ・ロス 、ジュリエット・ハウエル 、マイケル・A・ジャックマン 、アリス・ドーソン 、ロバート・ハリス、製作総指揮スティーブン・レイルズ グレン・バスナー 、アリソン・コーエン 、ミラン・ポペルカ 、ベン・ブラウニング、 レン・ブラバトニック 、ダニー・コーエン 、マリオ・ジャナーニ 、ロレンツォ・ガンガロッサ 、エドワード・ベルガー 、レイフ・ファインズ 、ロビン・スロボ 、ピーター・ストローハン 、トーマス・アルフレッドソン、原作ロバート・ハリス、脚本ピーター・ストローハン、撮影ステファーヌ・フォンテーヌ、美術スージー・デイビス、衣装リジー・クリストル、編集ニック・エマーソン、音楽フォルカー・ベルテルマン、キャスティングニーナ・ゴードン マーティン・ウエア。
出演
ローレンス枢機卿レイフ・ファインズ、ベリーニ枢機卿スタンリー・トゥッチ、トランブレ枢機卿ジョン・リスゴー、ベニテス枢機卿カルロス・ディエス、アデイエミ枢機卿ルシアン・ムサマティ、オマリーブライアン・F・オバーン、サバディンメラーブ・ニニッゼ、テデスコ枢機卿セルジオ・カステリット、シスター・アグネスイザベラ・ロッセリーニ。
亀ですが、誰も気にしないような存在ですが、気づけばずっと生き延びてしかも長生き、誰よりもその場を知っている存在だったり、両性具有だったりで、教皇が愛していたということで見る人の想像力や推理を掻き立てるものがあります。ラストのシスターたちも、彼女たちにも未来が開けたのを暗示しているようで、小さな部分も見落とせない緻密さがあるようでした。まだ気づいていない小ネタや暗示がありそうです。よくできた脚本、アカデミー賞脚色賞は当然でしたね。
もう“性別”にこだわる決め事には無理が来ている時代ではないでしょうか。
心の性も身体の性も、化学的に立証されているように、それは流動的であり、グラデーションでもあります。
僕はあのオリンピックは、性別はもちろんのことパラリンピックの小ざかしいクラス分けなども一切がっさい撤廃して、競技ごとの人類最強の勝者を決定するルールに変えれば良いのだと思っているのです。
例えば水泳。
視覚障害者も、両腕欠損の者も、メダル常連の健常者も一緒に予選に出れば良い。
車椅子バスケット競技にもMBAのプロも脚の無い人も男も女も、平等に予選に出れば良いのです。
男女の別なんてものは、前時代の神話にして迷信。
真の無差別級 でやればこんなにスッキリする事はないのに。
僕はそう思いますね。
どうですか?
(笑)
共感ありがとうございます。
女性に拘った新教皇、自分には野望の一歩に感じられたのですがもうこうならざるを得ない社会情勢だと思います。ただ彼女?の秘密が表に出た時、凄まじいスキャンダル(前教皇との関係とか)になるとは思いますね。
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