「予想外のどんでん返しにびっくり」教皇選挙 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)
予想外のどんでん返しにびっくり
日本でのキリスト教信者(クリスチャン)は人口のわずか1%という。
クリスマスなどの宗教行事が受け入れられ、ミッション系の学校が全国各地に存在することを除けば、キリスト教はまったく日本に根付かず、ほとんどの人には遠い世界である。
本作も、キリスト教の知識や教養があれば一層身近に感じられるかもしれない。
息子が幼稚園と中高でカソリックの学校に通ったことを除けば、評者にはまったく縁のない世界であり、知識もない。
しかし、本作は急死した教皇の後継選びを背景にした人間ドラマがなかなかに面白く、最後までひきつけられた。
舞台はローマにあるバチカンであるが、どうせ役者は英語をしゃべっているんだろう、と思っていたのだが、イタリア語やラテン語その他がうまい具合に混ぜられている。
加えて、黒人やアジア人の枢機卿、さらには教皇庁で働く女性=シスターも登場し、バチカンの多様性や今日的テーマも取り入れて、現代のバチカンでも実際に時代にアップデートする存在なのか、と思わされる内容だった。
先のオスカーで脚色賞に輝いたほか数部門にノミネートされただけはある映画だ。チェックして損はない。
結果的に教皇に選ばれた人物のなぞが最後に明かされるのは衝撃に近かった。
監督がドイツ人と知り、そうした視点がハリウッド映画らしからぬ作りにもなったのかもしれない。
原題は「CONCLAVE(コンクラーベ)」。なぜ、これを生かさなかったのだろうか。教皇が死ぬたびに、ニュースでも教皇選挙=コンクラーベと報じてきており、そこそこ教養のある人ならわかるだろうに。
サービスデーの水曜に鑑賞。昼間ながら、都心の映画館はほぼ満席であった。
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