劇場公開日 2025年3月20日

「そう、きたか~」教皇選挙 コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0そう、きたか~

2025年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

1 教皇選挙を巡る虚々実々の人間ドラマを描く。

2 教皇が死去し、所定の手続きに則り新教皇を選出する単純なプロットであるが、全世界にいる枢機卿が一堂に集まる直接選挙の為、簡単には決まらない。肌の色といった外見の違いや言語や出自の違い、そして考え方が保守的か民主的かといった内心の違いがある。さらに野心の有りや無しやもある。このため、各グループは神輿に担ぐ人間を立て、票集めを行い、対抗馬の足を引っ張ろうとする。数日間の選挙の結果は・・・。

3 本作は、全体的に重厚な作品となっている。しかしながら、重くはなっていない。投票結果により、票数が動き、投票の合間に人や情報が行き来し、話が二転三転する。スリリングな展開で眠気を誘われる暇もなく興味が最後まで引っぱられる。脚本と編集、演技のアンサンブルによるものである。

4 この映画を見て、女性は枢機卿など上級の役職には付けれないことを知った。かの世界はなんらかの理由で男女差別が残っている。一般社会とはことなる特異な世界である。そうした中、本作の選挙結果は、現代社会とのバランスを保つ形を取った。かの世界の権力者の怒りを買わないような賢明な着地であったと思う。そのうえで、新たな教皇はテロや戦乱が続く困難な時代にリーダーとなる覚悟を平易な言葉で語った。ここに製作者の矜持を見た。

5 選挙を取り仕切ったローレンスを演じたレイフ・ファインズは、厳格にして冷静な役どころを演じきった。途中の演説において、自分のこととして語った確信の罪のくだりは申し訳ないが理解できなかった。ラストの一仕事をやり終えた安堵の表情が印象に残った。

コショワイ
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