劇場公開日 2025年3月20日

「滑稽な権力闘争」教皇選挙 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 滑稽な権力闘争

2025年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

小説を基にしたサスペンス風味の探偵ミステリー映画。
ドキュメンタリーではないけれども、一般人が生涯目に出来ない宗教儀式の様子が描かれると、本当にこんなことがあるのではというワクワクを感じます。

前半は多種多彩な登場人物の紹介とそれぞれの立場、コンクラーベのルール説明でやや眠くなりそうな展開ではありつつも、密室ともいえる教会建物内での情報戦は、緊張感にあふれていました。
中盤以降は、権謀術数乱れ打ちとひねりのある展開で、作品世界に引きずり込まれていきました。
権力と承認への欲求と自分の主義を押し通したいという欲に満ちたクソ聖職者たちの醜さと、カトリックの禁忌と差別を描いていて、まさに舞台はバチカンならぬバカチン。
やっと選ばれた新教皇に隠された秘密が大笑い。
亀の使い方がまた意地悪いほど皮肉がたっぷり。

これ、カトリックからクレーム来ませんか?(苦笑)
基本は描かれてる教会がそのものではなく、「俗社会の縮図・暗喩」であり、世界各国で起きている普遍的な権力闘争の愚かさを描いたものだから、カトリックの心の広さで許してくれるのかもしれません。
現実の問題を過剰に典型・類型化しすぎて、後半に行くに従いリアリティが損なわれていき、逆にドラマとしての面白さが増していきました。
その点で、面白かった。

それから、ラスト近くで右派闘争主義のキャラが「宗教戦争だ」と言い始めたシーンで、モンティ・パイソンの「スペイン宗教裁判」ネタを思い出して吹いてしまいました。
後半、ギャグっぽさが増していきますから特に。

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コージィ日本犬